プロローグ:長い雨
はい。ということで。ども虎塞桜波です。第二編ということで今回は純愛(?)という設定です。多分、短いと思いますがどうぞ読んでやってください。それと「君と恵まれた偽りの嘘」のほうもよろしくです〜
運命って言葉はなにを感じさせるのか。
感動?絶望?恐怖?
あらゆる感情が頭の中を交差し始めた。
それがある二人を惑わしたかもしれない。
そう。
それが運命の出会いってものかもしれない。
これが、ある二人の運命なのである。
時は5月を終えて、本格的な梅雨の時期に入った。
ザァザァと冷たく降り注ぐ雨は頭から頬へ流れていった。
「はぁ・・今日も雨かよ・・」
ブツブツと文句をいいながら歩いていくとある少年。
少し大きめの黒い傘はよく使われているように年季が入っていた。
「・・お?上がったか?」
そんなこったで朝から降っていた雨は夕方になって上がった。
雨の匂いと湿った空気に慣れ、いつもの道を歩いていた。
少年の名前は“月下水希”高校1年生。
部活は帰宅部。なので毎日暇でしょうがなかった。
「さて、今日はどうしよっかな・・・ん?」
ふと横目で見たのは少し古びた病院であった。
そして水希の目にはいってきたのはそこの駐車場であった。
薄暗い通り道に車イスがポツンと置いてあった。
気になって近づいてみると車イスだけではなかった。
そこには白い服の少女が車イスから倒れていた。
すかさず、水希はその少女にかけよった。
「・・おい!しっかりしろっ!大丈夫か!?」
少女を抱きかかえた。
すると少女は言った。
「・・・?あれ?私、空見てたのになんで男の人がみえるのかぁ・・?」
“えへへ”と力なくわらっていた。
「マジかよ・・。と、とりあえず!」
水希は少女を抱いて病院に入っていった。
「すみませ〜ん・・・」
おそるおそる看護婦に喋りかけた。
「この子、そこの駐車場で・・」
「え!?またですか?」
「いや、またですか?って言われても・・」
「あ、そうですね。すみませんでした。・・とりあえずありがとうございます。」
感謝の言葉を言われると、腕にいた少女はガタガタと震えていた。
「お?寒いんかな?風邪引いてるんじゃないでしょうか?」
「そー・・ですね。はい。では、あとはこちらで。」
「はい。どもでした。」
深く看護婦は頭を下げた。
水希は少女の頭を撫でて、病院をあとにした。
――――数日後。
ていうか、次の日。
また病院の前を歩いていた。
するとまたあの少女が駐車場にいた。
「んぁ〜?またいるんか・・」
普通はそこを通り過ぎるのであるが、足は駐車場の方へ。
「あ」
少女は水希を覗き込むように見た。
「あれ〜?あなたどっかで・・」
「あぁ。昨日、あんたをここで拾った義理の兄です」
「え・・!?じゃあ・・お母さんが再婚したんだ・・!」
「っておいおい。軽い冗談にツッコめよな。」
“ハァ〜”と軽くため息。
「あはは。だってボケたほうが面白いじゃん。」
「まぁそれもそうだが。っていうかなんでまたここにいるんだよ?」
「なんでって?」
「だってほら。お前、昨日風邪引いたんじゃないのか?」
「風邪?」
“んん〜?”と深く頭を傾げた。
「そうだっけ?」
「あのなぁ・・」
こちらは“えへへ”あちらは“はぁ〜”と。
そして、突然
「私ね―――青風ことり(あおかぜ ことり)っていうの」
「な、なんだよ唐突に」
「いいじゃん別に。はい。今度はあなたの番。」
「はぁ〜・・俺は月下水希だよ。よろしくな」
「はい!よろしくね水希。」
それが二人の出会いだった。
さぁ。
お遊びの時間だよ。
運命の時間は今から始まった。
地獄の門は閉まって。
天国の門は開いた。
さぁ。
人間の運命は今始まったばかりだ。
さて――
この二人はどうなるのだろうか。
これからの始まりだ。