表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地元  作者: 馬
12/12

警察署で

警察署に着くとすぐにマコトが出てきた。



「おおっ!ショウ! もういいってよ!」


ショウは愕然とした。


「なんで?」


「被害者のネエチャンが俺みて全然違うって言ったわ」


ショウは胸を撫で下ろした。


「頭にくるよな! 適当に逮捕しやがってよ・・・」

マコトは警察署の中を睨みつけている。



「俺も帰っていいですか?」

ショウは警察官に尋ねた。


「ちょっと待ってもらえるかな・・・すぐ確認してくるから・・・」

そういって警察官の一人が中に走っていった。




「ったく、面倒な事してくれたもんだな・・・折角の日が台無しになっちまったぜ」

マコトは残ったもう一人の警察官を睨むようにそう言った。


「この怒りをどこにぶつければいい?か?」

ショウは煽るようにそう言ってマコトの肩を叩いた。







ブォン!ブォン!! ブォブォブォン!!




その時、一台の単車が警察署を威嚇するように現れた。


黒のタンクトップを着て、腕には観音菩薩のタトゥーが見えた。

ヘルメットは被っておらず、長い髪をなびかせている。


ダイゴだ。



ダイゴはマコトの存在を確認してニヤリと笑うように通り過ぎていった。


運転してたのは恐らく・・・モトキだ。


「マコト?」


マコトは拳を強く握り締めて震えていた。


「おい?! マコト?」



「まさか・・・あのヤロウにハメられたのか・・・・」

マコトは溜まった怒りを開放しようとしている。



「いや、ちょっと待てよマコト! んなわけないだろっ! 考えすぎだ!」


「仮にそうだとしても、アイツが何の得になる? な?」


ショウはマコトを宥めにかかった。



「あのヤロウ・・・まだあの時の事を根に持ってるかもしれねぇ・・・」





あの時・・・。




ジュンヤを連れ戻しに言った時の事だ。




ジュンヤの変わっていく、悪事に手を染めていく姿に耐え切れなくなったショウとマコトは、

高寺に乗り込んだことがあった、ジュンヤを取り戻すために。


高寺の駅で二人は張り込み、同年代の悪そうなヤツラに片っ端から聞いて回った。


そしてダイゴ達がタムロするゲームセンターの情報を聞いた。


そのゲームセンターの駐車場にジュンヤは居た・・・シンナーを片手に持って。



ジュンヤを連れ戻しに来たという大義名分は、周りの連中には通用しなかった。


そこにダイゴは居なかったが、

マコトはその連中のうち2人を殴り倒した。


そして「文句あるヤツはかかってこい!」と言い放った。


マコトの迫力に押され、誰も手出しはしてこなかった。


ショウはジュンヤの手を掴み、その場から連れ去った。


マコトは自分のツレを染めたヤツを聞いていた、それがダイゴだ。





3人が地元に帰った次の日、天濃町のグラウンドにダイゴは現れた、20人以上の大勢の仲間と一緒に。


公園にいたゲンは連中にボコボコにされ、前歯を折った。


ゲンを大勢で押さえ込み、顔面をエンジニアブーツで蹴り上げたのもダイゴだったらしい。



駆けつけたショウとマコトに向かって、ダイゴは一言こういった。


「文句があったから、来てやったぞ」と・・・。




ショウはその場を収めようと、ダイゴに言い寄った。

「これで痛み分けだ、もう帰ってくれ、ジュンヤにも手を出さないでくれ」と。


つぎの瞬間、ショウも殴られた。



マコトが怒って殴りかかろうとしたが、ショウは言った。


「気が済んだら、帰ってくれ!!たのむ!」



ダイゴは笑うように言った。


「お前ら全員殴り倒さないと気が済まねぇ・・・それか・・・30万用意しろ」



マコトの怒りは頂点に達し、殴りかかろうとしたが、

ショウはそれを止めた。


そして、

「誤りに行くにせよ、金用意するにせよ、こっちから高寺に出向くから・・・今日はもう許してくれ」

とダイゴに懇願した。



ショウの頭は冴えていた。

このままやり合っても大勢に囲まれて袋叩きにあうのが眼に見えていた。


ダイゴはニヤリと笑って、

「気をつけておいで」

といって帰っていった。


そのうち、大勢の中の一人が走ってきて、


「マコト!ひさしぶりだなっ!ツレの借りだけかえさせてもらうぞっ!」

と笑いながら、金属バットでマコトの足を叩いた。


それがモトキだ。


「モ・・・モトキか? てめぇ・・・」

マコトは怒りと痛みに耐えていた。




「お前にやるよ! 使い方良く知ってるもんなっ!」

モトキは笑いながらバットを放り投げて走り去っていった。





この後、ショウ達は仲間を集めて仕返しか、泣き寝入りするかで揉めた。


ゲンの家で言い争っていたら、タケシが現れた。



「クミから聞いたぞ・・・やられたってな」



マコトとゲンはタケシの介入を拒んだ。

ショウとジュンヤは受け入れた。



ジュンヤのために皆でタケシの介入を認めることとなった。



タケシは一人で高寺のゲームセンターへ行き、ダイゴと会ったそうだ。



帰ってきてから、タケシは一言。


「もう、気にするな。 ダイゴも話がわかるヤツだった。 高寺へは・・・あのゲーセンには行くなよ、お前ら」



それで、事は済んだようだった・・・。










「申し訳なかった、君も帰っていいそうだ!」

息を切らして、警察官が確認を取ってきた。



「ッハ! 当然だろ?! 送っていけよ!取りあえず!」

マコトは勝ち誇るように警察官を見下した。


「なぁ・・ゲンに迎えに来てもらうおうぜ・・・」

ショウは正直に言うと、パトカーにはもう乗りたくなかった。



そう言ってショウ達は警察署を後にした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ