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転生先は悪役王女?

「の、能力がないなら権力を使えばいいじゃない…」

「マリー様…やはり一昨日の事故から具合が悪いのですか?まだお部屋でお休みになられたほうがいいのではないですか?いつものキレがないようですが…」


キレってなによ!私よ、マリーとしての記憶を思い出せ…!

…相手を見下すように、目線はこんな感じかな。あとは、扇子をそれっぽく使って、口元に微笑をたたえつつ、冷たい声色で、


「能力がないなら、権力を使えばいいじゃない?お前は王家の犬なのだから!おーほっほっほ!」

「・・・やはり具合が悪いのですか?」


えっ、違うの?


「いつもなら、『駄犬が何を言っているの。犬のくせに生意気なのよ。ほら、ワンワン吠えなさい。弱い犬ほどよく吠えるといいでしょう?』とおっしゃると思うのですけれど・・・」


ええい!


「さっさと吠えなさいよ!いつも口先だけで吠えることしかできないこの駄犬が!!!」


「ほっ、よかったです。いつものマリー様ですね」


私マリー・ゴールドスタインには前世の記憶がある。

というか、一昨日、乗っていた馬車が横転して気を失った時に思い出した。

前世は地球の日本で国の会計や経理を監査する、会計監査院に勤めていた。


死因としては横転した車に轢かれたというありきたりな交通事故だった。まぁその車の運転手が警察官である元夫で、無能すぎて、ポンコツ官とか無能令和代表とか、組織内で呼ばれていて、捜査がうまく行かなすぎて私にDVしてきたから離婚を切り出して家を飛び出したら轢かれた、というありきたりじゃない事情はあるけれど、まぁ、それはいい。

前世のことは終わったことなので気にしないけれど、問題なのは、ここがゲームの世界と酷似しており、私の転生先のマリー・ゴールドスタインが悪役王女であることだ。


父親であり、無能すぎて裸の王様と呼ばれている父親を唆し、税金無駄遣いをして国を傾せたタイミングで、王位簒奪を目論むも、ヒロインと攻略対象に断罪されて、処刑される王女である。使用人への虐待も罪状として広がる。


「マリー様、あの・・・」

「えっ、まだ何かあるの?」


私が考え事をしていたら、男性の使用人がモジモジしながら物欲しそうな目でこちらを見てきた。何かあったっけ?


「これを・・・」


使用人から期待の眼差しとともに、鞭を手渡された。・・・あー思い出した。


パチン


鞭で地面を叩くといい音がした。

地面の次はこの使用人ね。


「この!豚野郎!王家の権力がなければ何も出来ない虎の威を借りることしかできない狐が!つけあがってるんじゃないわよ!その無能なお尻を突き出しなさい!教育してあげるわ!!」


犬とか狐とか豚とかコロコロ変わるけど、気にしない!

それと、鞭なんて前世で使ったことなかったけど、今世の体が覚えているようで普通に使える!あまり嬉しくない!


「あ、あぁ!これですこれ!ありがとうございます!」


使用人からうっとりした表情でお礼を言われた・・・


「あふん!」

「えっ、きしょい。何その声」

「その汚物を見る目!ゾクゾクします!」


・・・思わず素が出たけど、なんか好意的に捉えられた。

徐々に思い出してきた他の日課も終わらせましょうか・・・。


「ほら私の目の前に跪きなさい」

「は、はい!!」


そして、私はハイヒールで床に寝転がった使用人を踏みつけた。


「ほら!わたくしは王女!人生の勝ち組よ!あなたは踏まれるだけの負け犬!負け犬らしく吠えてみなさい!

「ワオーン!!ワンワン!ありがとうございます!ありがとうございます!マリー女王様!!」


お分かりいただけただろうか・・・

ゲームの中で使用人を虐待したり、王位簒奪を目論むことになっていた今世の私ことマリーの実態は、ただの女王様プレイというかSM的なあれだった。

それを真の悪役に利用されて、私が悪役に仕立て上げられてしまう。

ちなみに、裸の王様と呼ばれる父親を唆して無駄遣いをして国を傾けさせるというのも、実態は異なる。私は唆してなくて、父親がシンプルに無能だからだ。そう、勝手に、全自動税金無駄遣機と化すだけだ。


現実逃避気味に、「これからどうしよう?どうやって断罪を回避しよう?」と思っていると、やたらと着飾ったおじさんがやってきた。


「これはこれは、王女殿下。事故にあわれたとお聞きしたましたが、お元気そうで何よりです。今日も精がでますな」

「サック・ラダモン公爵。お見苦しいところをお見せしましたわ」

「いえいえ、部下のやる気を引き出すのも上にいる者の務めですからね」


なんかそれっぽく忠臣っぽくしているこの男、ゲームだとマリーを裏切る。

裏切るというか、自分が無能すぎて失敗したあれやこれを、革命に乗じて王族である私に責任転嫁してくる。


「そうですわね。公爵が立ち上げた、警察組織ですか?責任者として、しっかりと機能させてくださいね」

「もちろんでございます!このラダモン公爵の華麗なる手腕をお見せしましょう!」

「期待していますわね。正義ごっこにならないように、しっかりと!作戦立案能力を磨き、物事に対する理解力を高め!人員やリソースを適切に使えるようになってくださいませ!」

「は、はい!承知いたしました!王女殿下の並々ならぬ熱意をしかと受け止めます!このような名誉ある立場になれて、光栄であります!」


上部だけの綺麗事はいいから!お願いだからしっかり警察を動かしてね!!ちゃんと成果を出してね!革命になっても、税金泥棒じゃないと国民を納得させることができるくらいに!

と思うも、さすがにこれを面と向かって言えない。


「ええ。お願いいたしますわ」


この世界は、フランス革命あたりの時代を想定している。なぜか、現代風の警察組織も出来始めている設定になっている。おそらく、わからないけど、ゲーム会社的には、絶対王政や、国家権力である警察を相手にして、国に立ち向かう革命感を出したいのかな?とかそんな感じだと思う。ちなみに、軍もあるけれど、そっちはゲームヒロイン側の味方になる。


まぁ、そんな世界に転生して、しかも悪役王女になった私からしたらいい迷惑だけど!

前世も今世も、無能に縁があるのは解せないけれど!

とりあえず、部屋に戻ったら世界観を整理しましょう!


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