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4章:渦巻く感情

五月も終わりに近づき、東海西高校野球部は夏の大会に向けて、一層の熱を帯びていた。友生は、武藤とコーチの助言を受けて始めた新たなフォームの習得に、日々黙々と取り組んでいた。体幹トレーニング、そしてブルペンでの投球練習。肘と手首の柔らかさを意識した、身体の後ろに腕が隠れるようなテイクバックと、鞭のようにしなる腕の振りをひたすら繰り返した。結果はまだ伴わず、ストライクゾーンへの安定性や球威には課題が残っていたが、友生は自身の「武器」を見つけるため、試行錯誤のただ中にいた。

夏の大会のメンバー発表が間近に迫り、寮内は独特の緊張感に包まれていた。だが、1年生たちの間では、その緊張感は薄く、大半の者がどこか他人事のように捉えていた。一部の意識の高い者だけが、真剣な面持ちで話題にする程度だった。

ある日の夕食後、1年生が集まる共同スペースでは、この話題で持ちきりだった。

「今年の夏のベンチ入り、どうなると思う?」

誰かがそう口火を切ると、あちこちから声が上がった。

「そりゃ、神野は確実だろ。練習試合でも結果出してたし」

「1年生はアイツ以外、厳しいんじゃねぇか?」

そんな声が上がる中、一際目を引く、肩幅が広くがっしりとした体つきの飯田が、ニヤリと笑って割って入った。飯田は1年生ながら、天性の腕の振りから繰り出される豪速球が持ち味の左腕だった。

「おいおい、俺のことを忘れてんじゃねぇぞ? エースの武藤先輩は右投げ、2番手の高尾先輩も右投げ。ってことは、左投げの俺がベンチ入りする可能性、十分あるだろ?」

飯田は自信満々に胸を張った。すると、その隣にいた小柄な体格の小高こたかが、冷めた目で飯田を一瞥し、鼻で笑った。

「ねーよ。お前が入れるほどここは甘くないな」

小高の言葉に、飯田はムッとした顔をする。小高はそのまま続けた。

「それより、左投げと言えば秋本はどうだろうな?」

秋本という名が出ると、その場の空気が少し変わった。秋本は入学当初、その素質から将来を期待されていた選手の一人だった。しかし、二軍の練習に参加するようになっても、どこか手を抜いているように見えたり、練習を途中で抜け出したりする姿が度々目撃されていた。周囲の期待とは裏腹に、真剣さに欠ける行動が目立っていたのだ。

「いや、無理だろ。野球の実力があっても素行がな……」

飯田が吐き捨てるように言った。他の1年生たちも、その言葉に静かに頷くしかなかった。


そして、運命のメンバー発表の日。練習後、グラウンドに整列した選手たちの前に、監督の岡田が立った。その手には、白い紙が握られている。静まり返ったグラウンドに、岡田監督の声が響き渡った。

「これから、夏の大会のベンチ入りメンバーを発表する。選ばれた者は、このチームの代表として、選ばれなかった者の分まで戦い抜け。選ばれなかった者も、ここからが終わりではない。来年、再来年、必ずお前たちの力が必要になる。決して腐ることなく、日々の練習に励め。」

重苦しい空気の中、監督は一人ずつ背番号と名前を読み上げていく。

「背番号1、武藤!」

友生は、武藤先輩のあの投球を思い出した。右腕から繰り出される球速こそ突出していないが、コースを厳しく突き、切れ味鋭い変化球で打者を翻弄する、まさにエースの貫禄。マウンドでの彼の集中力は、チーム全体に伝播するようだった。

「背番号2、松田!」

キャッチャーでキャプテンの松田。どっしりとした構えで投手の球を受け止め、正確な送球でランナーを刺す。打席では、常に状況を読み、要所で勝負強い打撃を見せる。チームをまとめる精神的支柱だ。

「背番号3、加藤!」

友生の部屋の先輩である加藤。普段はフレンドリーな先輩だが、不動の4番ファーストとして打席に立てば豹変する。相手ピッチャーに向かって吠え、感情をむき出しにするその一打は、常に強烈で、相手投手を打ち砕く豪快さがある。

「背番号4、毛受めんじょう!」

2年生の毛受は、ピッチャーもこなせるユーティリティプレイヤーだ。走攻守、すべてのバランスが取れており、どこでも高いレベルでプレーできる器用さを持つ。チームにとって欠かせない存在だった。

「背番号5、石濱いしはま!」

3年生の石濱は、チームのムードメーカー。守備では、どんなに強烈な打球でも身体で止め、ガッツ溢れるプレーでチームを鼓舞する。彼の明るさは、常にチームの雰囲気を明るくする。

「背番号6、成田!」

1番ショートで副キャプテン。プロからも注目され、今年のドラフトで指名されると噂されるチームの顔。独特の竹バットでのバッティング練習、そして一回り小さい特注グラブでワンテンポ早くボールを握る守備。彼のプレイの一つ一つに、プロに行くための高い意識と、並外れた技術が凝縮されているのが見て取れた。

「背番号7、高尾!」

3年生の高尾は、武藤に次ぐ2番手ピッチャーだ。しかし、今年の夏は打撃能力と強肩を買われ、外野でスタメン出場する。右腕から繰り出す球は速く、投手としても野手としても高い実力を持つ選手だ。

「背番号8、山内やまうち!」

2年生の山内は、足が速く、小技も上手い。バントやエンドランなど、チームの攻撃の幅を広げる重要な役割を担う。守備でも広い守備範囲でチームを助ける。

「背番号9、中野なかの!」

3年生の中野は、細身ながらミート力が抜群の外野手。確実性の高いバッティングで、チャンスメイクや繋ぎ役としてチームに貢献する。

監督の声が続き、背番号10番以降の選手たちの名前が次々と読み上げられていく。友生は固唾を飲んで聞き入っていた。

「背番号18、神野裕生!」

友生は、はっと顔を上げた。呼ばれたのは、兄の裕生だ。めったに喜びなどを表に出さない裕生が、この時ばかりは歓喜に震え、小さく拳を握りしめていたのが、友生の目にもはっきりと映った。


発表が終わり、監督が選手たちを解散させる。選ばれた者には安堵と興奮が、選ばれなかった者には悔しさと落胆が入り混じる。

友生の視線の先で、3年生の斉藤がうなだれていた。彼の名前は、最後まで呼ばれることはなかった。

結局、1年生で夏の大会のベンチ入りメンバーに選ばれたのは、神野裕生ただ一人だった。友生はもちろん、飯田や小高、清水の名前が呼ばれることはなかった。

グラウンドの隅で、友生はただ立ち尽くしていた。夏のベンチ入りメンバーが発表され、友生の耳には、自分の名前が呼ばれなかった現実が重くのしかかる。友生だけではない。飯田も、小高も、秋本も。期待されていた1年生のほとんどが、ベンチ入りを逃した。

「くそっ……!」

飯田が、悔しそうにグラウンドを蹴った。その表情には、自信満々だったいつもの笑顔はもうない。小高もまた、静かに唇を噛み締めている。

「わかってたけど、こうして改めて発表されると、やっぱり悔しいな……」

彼らの言葉に、友生は小さく頷いた。自分もベンチ入りできるとは毛頭思っていなかったが、それでも、どこか胸の奥に小さながっかり感はあった。

グラウンドでは、ベンチ入りを果たした選手たちが喜びを分かち合っている。その中に、双子の兄である裕生の姿があった。小さく握られた拳に、普段は感情を表に出さない裕生の喜びが凝縮されているのがわかる。友生は、兄の努力を知っているからこそ、心から祝福したい気持ちと、どうしようもない悔しさが混じり合い、複雑な感情に襲われた。

その時、堂々とした態度の秋本が、監督の岡田の元へ向かっていった。周囲の選手たちが呆れて見守る中、秋本は堂々と岡田監督の目の前に立つ。

「監督、ちょっといいっすか?」

秋本は、全く悪びれる様子もなく、どこか気だるげな表情で尋ねた。岡田監督の眉間に、深い皺が刻まれる。

「なんだ、秋本。何か不満でもあるのか?」

監督の低い声に、秋本はヘラヘラと笑いながら答えた。

「いやぁ、俺、ベンチ入ってねえっすけど、正直、監督の人選ミスじゃねぇかと」

その言葉に、グラウンドの空気は一瞬にして凍りついた。監督の顔が怒りで真っ赤になる。

「この野郎! 貴様のような素行の悪い奴をベンチに入れるわけないだろ!」

「素行って……実力ありゃいいんすよ、実力が。ま、俺がいなくても勝てんなら、それはそれでいいっすけどね」

秋本はそう言い放つと、あくびを一つして、監督に背を向け、グラウンドから出て行った。岡田監督は怒りに震えながらも、秋本の背中を睨みつけることしかできなかった。友生は、そんな秋本の常識外れの行動に、ただただ呆れるしかなかった。


ベンチ入りメンバーが決定し、チームの雰囲気は大きく変わった。ベンチ外の選手たちの練習は、応援団としての役割が増えた。練習時間の多くが、声出しや応援歌の練習に割かれるようになる。友生も例外ではなかった。

ーーこのままじゃ、せっかく始めたフォームの練習が進まない……。

友生の焦りは募る。新しいフォームは、まだ身体に馴染みきっていない。ストライクゾーンへの安定性や球威も、満足いくレベルには達していない。このままでは、せっかく見つけようとしている「武器」が、手に入らないままになってしまう。

友生は、応援練習が終わると、夕飯を済ませてから、すぐに室内練習場へ向かった。休日も、身体を休めることはもちろん重要だと理解しつつも、自主練習はできる限り行った。時間は限られている。だからこそ、その限られた時間を最大限に活用しようと、友生は必死だった。寮の消灯時間後も、加藤先輩が寝息を立てる中、友生は押し入れの中で寮から借りられるタブレットを使い、武藤先輩に教わったフォームの動画を何度も見返した。


一方、ベンチ入りを果たした裕生は、喜びとは裏腹に、チーム内の複雑な空気に晒されていた。友生は、裕生に直接話しかけられることはなくても、練習中の兄の周りで漂う、重苦しい空気を肌で感じていた。

ベンチ入りメンバーに選ばれた裕生の練習は、以前にも増して過酷なものになった。朝早くから夜遅くまで、裕生は常にチームの中心で動き続けていた。疲労の色は隠しようもなく、練習中、ふとした瞬間に裕生の顔に苦悶が浮かぶのが友生の目にも見て取れた。それでも裕生は、一切弱音を吐かず、黙々と与えられたメニューをこなしていた。

ある日の練習中、裕生は捕手としてシートバッティングの球を受けていた。二塁への送球練習の際、裕生が矢のような送球を投げ込んだ。

「いい送球だ、神野!」

ショートの成田の声が響く。しかし、その直後だった。裕生が捕球のために屈んだ時、友生のすぐ近くで、3年生の先輩たちがわざと聞こえよがしにため息をついた。

「チッ、調子乗ってんじゃねぇよ、1年坊主が」

友生は、その言葉に思わず兄の様子を伺った。裕生は一瞬、ぴくりと反応したように見えたが、すぐに表情を変えず、次の送球練習の準備に取り掛かった。何事もなかったかのように、ただひたむきに、正確にボールをさばき続ける裕生の姿は、友生の目には痛々しく映った。

別の日の守備練習では、裕生がフライを捕球しようとした際、わざとぶつかるように近づいてくる先輩がいた。衝突は避けたものの、裕生のすぐ隣をかすめるように走り去っていく先輩の横顔には、明らかに敵意がこもっていた。それでも裕生は、転がり落ちたボールを拾い上げ、何事もなかったかのように送球した。その一挙手一投足に、友生は兄の内に秘めた強さを感じずにはいられなかった。

寮の食堂でも、友生は裕生の周りの空気が冷たいことに気づいていた。裕生が食事を運んでいると、わざと道を塞ぐように立つ先輩。遠巻きに、ヒソヒソと話す声が友生の耳にも届く。

「あいつ、マジで気に食わねぇな」

「実力があるのはわかるけどさ……」

そういった声が聞こえてくるたびに、友生は胸が締め付けられるような思いがした。しかし、裕生は決して弱音を吐くことはなかった。どんな嫌がらせにも、どんな陰口にも、一切表情を変えることなく、ただ黙々と野球に取り組んでいた。その姿は、友生に「兄として」というよりも、「一人の野球選手として」の裕生の覚悟を強く感じさせた。友生は、そんな兄の背中を見て、自分もまた、どんな困難にも負けずに努力を続けようと、改めて心に誓った。


夏の大会が迫る中、チーム内の不穏な空気が蔓延していることに、キャプテンの松田と副キャプテンの成田も気づいていた。特に、裕生への一部の先輩からの露骨な嫌がらせは、チームの結束を蝕むものとして見過ごせなくなっていた。

ある日の練習後、グラウンドに全選手が集められた。普段の練習後の解散とは違う異様な雰囲気に、選手たちはざわつき始める。松田と成田が、硬い表情で前に立った。

「皆、静かに聞け」

松田の低い声が響くと、グラウンドは水を打ったように静まり返った。

「夏の大会が目の前まで来ている。俺たちは、このチームで、一つになって甲子園を目指すんだ」

松田はそう言い、成田に視線を向けた。成田はゆっくりと話し始めた。

「しかし、今のチームは、決して一つになっているとは言えない。特に、一部の選手による、実力のある選手への不当な言動や嫌がらせが目に余る。これ以上、チームの空気を悪くするような行為は、絶対に許さない」

成田の言葉に、思わず顔を伏せている数名の先輩たちの姿を探した。彼らは居心地が悪そうにしている。

「ベンチ入りメンバーに選ばれるかどうかは、監督が決めたことだ。納得いかないなら、グラウンドで結果を出せ。練習で、監督に実力を見せつけろ。チームメイトに、私情で当たるのは筋違いだ!」

松田の声が、グラウンドに響き渡る。その視線は、不満顔で裕生を見ていた数名の先輩たちに注がれていた。

「これは、チームの勝利に関わることだ。俺たちは、全員が同じ目標に向かって進まなければならない。そして、その中で、裕生にも話してもらいたいことがある」

松田がそう言うと、裕生が一歩前へ出た。裕生は、落ち着いた、しかし力強い声で話し始めた。

「俺は、正直先輩たちに快く思われていないのは分かっています。でも、俺はこの東西のユニフォームを着て、甲子園でプレーしたい。そのために、これまでも、これからも、全力で野球に取り組みます。俺がベンチに入ることが、チームの勝利に繋がるなら、どんな困難も乗り越えてみせます。だから、どうか、チーム一丸となって、夏の大会を戦いましょう」

裕生の言葉に、グラウンドには静かな拍手が起こった。友生も、思わず胸が熱くなるのを感じた。

不満顔だった先輩たちは、複雑な表情で裕生を見つめていた。その顔には、悔しさだけでなく、どこか困惑の色も浮かんでいるようだった。

「わかったな、お前たち」

松田が、改めて釘を刺すように言った。先輩たちは、小さく頷くことしかできなかった。

「俺たちは、仲間だ。グラウンドで、全員で最高の野球をしよう」

成田がそう締めくくり、全員集会は終わった。チーム内の軋轢がすぐに消えるわけではないだろう。しかし、友生は、この集会がチームにとって、そして裕生にとって、大きな一歩になることを信じていた。


全員集会が終わった夜。友生は、いつも通り自主練習のために室内練習場へと向かった。疲労困憊の体を引きずりながらも、新しいフォームをものにしたいという一心で、黙々とシャドーピッチングを繰り返す。

しばらくすると、友生のすぐ近くに人影が近づいてくるのが見えた。視線を向けると、そこに立っていたのは、武藤に次ぐ2番手ピッチャーの高尾だった。友生が軽く会釈をすると、高尾も小さく頷いた。

高尾は友生の隣に立ち、友生が黙々と投げ込みを続ける様子を、しばらくの間、何も言わずに見つめていた。その視線には、いつもの淡々とした雰囲気とは違う、どこか複雑な感情が宿っているように見えた。

「おい、神野」

不意に、高尾が低い声で友生に話しかけた。友生は投球を止め、高尾の方を向いた。

「はい」

「お前さ……毎日、よくやるな」

高尾の言葉は、友生に向けた素直な称賛のように聞こえた。しかし、その声にはどこか、諦めのような響きも混じっている。友生は、どう返していいかわからず、ただ黙って高尾の次の言葉を待った。

高尾は、ゆっくりと話し始めた。その視線は、遠くの壁に向けられている。

「俺さ、ずっとエースになりたかったんだ。武藤がいるから、なれないってのは分かってたけど……それでも、毎日必死にやってきた。でもさ、もう3年だし、正直、自分の球じゃあ、プロには行けねぇってのは、よくわかるんだ」

高尾の声は、普段の練習中の彼の投球とは裏腹に、弱々しく響いた。友生は、高尾がこんな悩みを抱えていたことに驚いた。

「身体も、あんまり大きくなんねぇし……この先、野球続けて、意味あるのかな、って、たまに思うんだ」

高尾は、友生に視線を戻した。その目には、これまで見たことのない、深い苦悩の色が浮かんでいた。

「お前はすごいよな。正直、裕生みたいな圧倒的な壁が目の前にいても、毎日これだけ努力を怠らずに打ち込めるなんてさ。俺には、もう、そんな気持ち……ないのかもしれない」

友生は、高尾の言葉に、言葉を選びながらも、熱いものがこみ上げてくるのを感じた。目の前の先輩もまた、自分と同じように、見えない壁と戦っているのだと、友生は静かに受け止めた。そして、その高尾の苦悩を前に、友生の口から自然と、素直な言葉が溢れ出た。

「高尾先輩がいるからこそ武藤先輩も思いっきり投げられるんじゃないですか? 気持ちがないことはないですよね。だって今だって練習をして、毎日ピッチングだって140キロ超える速球をバンバン投げてるじゃないですか。武藤先輩がこのチームの軟投派のエースなら高尾先輩は速球派のエースですよ!」

高尾は、友生の予想外の言葉に、目を見開いた。

「……っ」

高尾は、友生に背を向けた。その肩が、小さく震えているのが友生には見えた。

「ありがとな……」

背を向けたまま、高尾はかすれた声でそう呟いた。高尾は、友生に顔を見せることなく、室内練習場の出口へと向かった。

友生は、高尾の背中が完全に視界から消えるまで、ただじっと見送っていた。高尾の言葉と、その後の沈黙、そして震える肩。友生は、先輩の抱える苦悩の深さを、改めて感じ取った。同時に、自分の言葉が、高尾の心に少しでも届いたのなら、と静かに願った。

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