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下層ボス 英雄の実力

「コイツは……一旦退くぞっ!」

「知ってるんですか!?」

「炎帝竜は全体ブレスを吐く! 火炎対策をしていないと即死するぞ!」

「了解っ」


 言った側から龍の口に光が集まりだす。


「ちっ、仕方ないか!『天剣開放ッ』――」


 次の瞬間、部屋内が地獄の灼熱に包まれる。

肌を焼く凄まじい熱量に、シル以外の3人は成すすべもなく蹲った。

 だが一瞬肌を焼いただけでブレスは止まり、リパルは元凶に視線を向ける。


 そこには頭から真っ二つになった炎帝龍と、神々しく輝く剣を手にするシルの後ろ姿があった。


「シル、さん?」

「リパル、あれが『古代最後の英雄』の本来の実力よ」

「……アシュキーは知ってたの?」

「はぁ、バカ。アンタ童話読んだことないの? シル・バラエスタっていう英雄が本気で戦うときは一撃で全てが終わるのよ」

「じゃあ僕達が居る必要って……」

「どんな英雄もその力を発揮できなければ私達と変わらない。大穴の底で龍に奇襲を受けて壊滅したのがその良い例よ」


 リパルは龍と相打ちになって白骨化したシル・バラエスタを知っていた。

今の光景を目の当たりにすると負けるなどとても信じられないが、余程間の悪い奇襲だったに違いないとリパルは納得した。


 下層を突破したにもかかわらず皆釈然としない面持ちの中、帰還する為に通路を引き返していた。

シルは昔話を始め、自身の最期を語りだした。


「――あれは96層の階段を見つけ、一度帰還する為に大穴に戻ってきた時だった。大穴に戻ってきて全員が一瞬油断したタイミングで、炎帝龍がブレスで奇襲を掛けてきた」

「炎帝龍! さっきのアレが?」

「そうだ、炎の耐性装備を身に着けていた私と魔法使いのレイラ以外即死だった。それで重症を負いながらも天剣を開放し、命からがら倒したわけだが、ポーションを入れていた魔法袋も焼失していてな。私の治療魔法でも治療が間に合わず仲良く全滅というわけだ」

「そんなことが……」

「炎帝流は深層の魔物だ、以前は下層の最終ボスには別の魔物が採用されていたんだが……。迷宮も成長するということだろう」


 リパルは最強の侵入者を倒した魔物をウキウキで下層ボスに変更する迷宮(擬人化)の姿をイメージした。

もしリパルが迷宮の立場だとしたらきっと同じようなことをするから、シルの迷宮成長理論はとても納得がいった。



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