顔合わせ
日は変わって、冒険者御用達の酒場に4人の姿があった。
病で亡くなった母を復活させる為に迷宮制覇を目指す有名な魔法使いアシュキー・ノートレン。
世界中の食材が手に入る魔法袋を手に入れたい魔剣士シェフ、オルフィ・ヴェンディッヒ。
古の英雄、龍殺しのシル・バラエスタ。
最強のサポーターになりたい少年リパル・ジェニファー。
「――本気で迷宮制覇する気があるんでしょうね?」
語気が強く高圧的な雰囲気のアシュキーは、ひ弱そうなリパルを見て疑わしい気な表情で言った。
「ああ、このメンバーで最終的には九〇階層以降へ向かう」
「速攻死にそうな奴が居るけど?」
「九〇階層に転移して私を蘇生して生き残るような奴は、早々死なないよ」
「アンタがね……、それならコイツは?」
全員の視線が無言を貫いていたオルフィへと向く。
くりっとした目の穏和な雰囲気の女性がリスのように頬を膨らませて巨大なステーキを次から次へと口に放り込む姿は、異様な雰囲気を放っている。視線を向けられても食べるのを止めないところを見るに、精神の図太さはこの中の誰よりもあるのは違いない。
「腕は確かだし、迷宮制覇の意思はハッキリしている。性格も問題ないが――、酒場に集まるべきではなかったな」
「全く、冒険者って変な奴ばっかで嫌になるわ」
「そうか? 私は面白いと思うが」
それぞれがジュースに口をつけて一呼吸を置く。
「まずは連携がとれるか確認だな。リパルは昨日覚えたスキルの使い方を実戦で感覚を掴め」
「はい!」
「オルフィは中衛で前衛と後衛の補助を考えて動いてくれ」
「んんっ はぃ」
「アシュキーは後衛で取り敢えずこれまで通り動いて見てくれ」
「分かったわ」
「――よし、それじゃあ早速迷宮へ行こうか」