パーティ解散
少年の加入していたパーティは解散になった。
転移罠での失踪は捜索が困難な為、ただ冒険者組合の掲示板に失踪届が出されて処理された。
少年はパーティメンバーを失い、実質冒険者として活動ができなくなった。
冒険者御用達の酒場で、二人は食事を摂りながら今後のことについて話し合うことになった。
「シルさん! 僕を弟子にしてください!」
「駄目だ」
にべもなく断られる現実に、少年はガックリと肩を落とす。
現在の少年ではシル・バラエスタの活動の邪魔にしかならないのに、断られないと考える方が無理がある。少年もそれは分かっているようで、ただ自棄になって言っただけだった。
「ですよね……」
「そうだな、仲間にならなっても構わないぞ」
「え?」
「丁度今、新しい攻略パーティを作ろうと考えていてな。私が前衛アタッカーで、リパルはサポーターだ。あと後衛アタッカーと中衛バランサーも探さなければならないが、居なければ育てて行くしか無いな」
「え? え?」
突然明かされる彼女の考えに、リパルは目を白黒させる。
「でも僕はシルさんのように強くはないですし、……多分足手まといにしかならないですよ」
「弱いなら強くなればいいだけだろう。アタッカーは火力が求められる分才能が必要になるが、サポーターは魔導書で強化系と弱体化系の魔法を習得すれば、あと必要なのは経験だけだ」
「魔導書って……、シルさんは知らないかもしれないですけど、今は最低でも一冊百万金貨はしますよ」
「私の鎧を売れば百冊は余裕だな。まあこの鎧は金を幾ら積んでも今は手に入らない代物だから、ヘルム以外は売れないが、それでも十分だ」
「そんな! 幾ら何でもそこまでお世話にはなれないです!」
「はぁ、そんなに言うなら冒険者として十分稼げるようになった後で返してくれれば良い。とにかくこれは決定事項だ」
勝手に決定事項にされてしまったリパルは、愕然とへたり込む。
対して何とも思っていないシルは晴れやかに料理を頬張っていたのだった。