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「魔王に実体はない、そう言いたいのか」

「いや、おやじ、そう結論を急ぐな。魔王は自動演算する呪文の複雑化したものって思ってるが、宿る物体があったかもしれないしな」

 わざと大きな音を立てて茶をすすったのはディガンだった。

「で、なにを自動演算しようとしたんだ? 魔王の元になった呪文は」

「そりゃ決まってる。戦闘か、あるいは戦争をだろ」

 クロウはわざととぼけた口調で答えた。

「だれが?」

「さあ。国か、貴族か、なにかの組織か、それとも頭のおかしな奴か。俺にゃさっぱりだよ」

 ペリジーはそれぞれの顔をうかがっていた。話についていこうとしている。マールが付け足した。

「そして、失敗したんだな? 魔王の戦い方はなっちゃいなかった。作戦らしいものはちょっとはあったけど、ほとんど力で押すだけだった」

「そう。幸いにもね。荷札を見て考えたけど、自動演算が設計通りに働いたら人間じゃかなわない」

「さっきの正義と倫理の話だ。仮に魔王が自動演算呪文だったとして、いま行われている開発計画は全部止めるべきか」

「そりゃ止めなきゃ、だろ? すくなくとも一旦は」

 やっと口をはさめるようになったペリジーが言った。言葉に合わせるようにカップをとん、と置く。マールが即返す。

「小僧、おまえが貴族の家の家長だったとして、はいそうですか、と止めるか? 例えばエランデューア家がどれほど投資してるか、会計を勉強したおまえなら分かるよな。止めてる間は損が積もってくんだぜ」

「それに、発達した自動演算呪文が必ず魔王と化すって証拠はない」

 クロウはペリジーにというより、卓の皆に向かって言った。マールがかぶせるように言う。

「大砲よ、おまえが考えつくくらいだ。上の方、大魔法使いや王室所属の研究者やなんかは想定してるんじゃないのか」

「そう思う。ただ、かれらが止めてないってのは安全って思っていいのかな? そりゃ単純すぎるって俺は考えてる。おやじはどう思う?」

「どう思うもなにも材料がなさすぎる。でもな、規制条約がある以上、締約国から魔王が生まれるってのはないと思うが。必要な魔力はちょっとどころじゃすまないだろ?」

 ディガンと、それからペリジーが同時に顔を上げた。ディガンは笑ってペリジーに譲る。

「まさかトリー?」

 クロウはうなずいて茶をすすり、目を細めた。


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