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「つーこーぜー!? 道通るだけで税取るの?」

 ペリジーの素っ頓狂な声が部屋に響いた。前のようにマダム・マリーの後ろに座っているニキタ・エランデューアは思わず笑ってしまい、失礼、と小さな口を覆う。

「そうさ、小僧。うっとうしいがね」

 マダム・マリーは顎をなでながらうなずいた。

「運送料に上乗せかい?」

 そう言って口をゆがめるのはディガン。

「そうなるでしょう。貴族議会で反対を表明した家はエランデューア家をはじめ少なくなかったのですが、王室に押し切られました」

 ニキタはもう笑っていない。

「しかし変だろ? 戦前から道の税は取ってたじゃないか。やれ道普請だ整備だって。今度はなに名目だ?」

 不機嫌な声はマールだった。

「治安維持」

 短く答えたのはクロウ。みんなに見られ、さらに付け足す。

「運送業が盛んになって賊や鬼が道周辺に現れるようになった。俺たちみたいに自分で火の粉を払える奴ばかりじゃない。王室は街道専門の治安維持部隊を編成するらしい」

「大砲、詳しいな。でもそれだったら軍でいいだろ?」

 まだ不機嫌が残っている。

「噂だけどな。街道専門にして安上がりにするつもりさ。それと、軍がまた力をつけるのを怖がってる。新たに戦力を持つなら自分たちの完全な制御下に置きたいんだ」

「つまり、軍とは別の王室直属部隊って、そりゃ揉めるぞ。やな感じだな」

「おやじ、あんたの悪い予感、当たるだろうな」

「あの、もう一つ悪いお知らせが……、」

 済まなそうに小声で口を挟んだのはニキタだった。

「……通行税は王室が定める分と、その街道が領地内を通っている各家の裁量に任される分の二段になります。こっちは議会の反発を抑えるための飴ですね。そのせいで我らは負けました」

 四人はもう言葉もない。マダム・マリーは頭を抱えている。

「もちろん、エランデューア家や反対に回った家は二段目を取るつもりはありません。しかし、他がどう出るかは分かりません」

「じゃあ、計算上はどうなるの? 遠回りしても二段目を取らない街道を使ったほうが安上がりになる場合もあるのかい?」

 マダム・マリーがしわの奥からペリジーを見た。

「いいところに気がつくね。小僧。うちで働かないかい? ま、それは置いといて、どこがどのくらい二段目を取るか、情報収集がいるね。運送料と経路を決めるのはそれからだ」

「そりゃあんたたちの仕事だ」

 ディガンは手を振った。そんな業務までやらされるのはまっぴらだった。マダム・マリーの歳の割に鋭い目が四人を順に見ていく。マールもクロウも断った。ペリジーだけうなずいた。

「俺、やるよ。先生とか、ほかの生徒たちと仲良くなったし、その線で情報集めてみる。お代よろしく」

 二人は柄頭を合わせた。ニキタはくすくす笑っている。


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