六
食事を挟んだ長い話し合いの末、六人で卓をたたいて柄頭を合わせ、かれらはマダム・マリーの専属となった。報酬の分配はマダム・マリー四にこっちが六。諸掛はマダム・マリー持ち。かなりいい。
また、ペリジーは仕事の合間に会計の勉強ができる契約となった。しかもニキタ・エランデューアの口利きで豪商の子息が通う人気の教師に付ける。これは望外の喜びだった。
「ただし、かなり厳しい方です。指定されたところまでの予習はもちろん、課題の未提出は許されないと思ってくださいね」
ニキタの言葉にペリジーは真剣な表情でうなずいた。マールは意外そうに見ている。そこまでの決意とは思っていなかったらしい。
ディガンが口を開く。
「よかったな。小僧。街の私塾とは大違いだ。でもエランデューア様、なぜそこまでしてくださるのですか」
「実を申しまして、あなた方の実力に注目しています。全員元軍人で実戦経験ありと言う護衛運送隊はいそうでいないのです。それにクロウさんという火球の魔法使いがいるので高価値の物品や郵便物の運送を引き受けられます。ほかへ行かせたくありません」
「ちょっと待ってください」
クロウが口を挟んだ。
「柄頭を合わせておいて申し上げるのはなんですが、犬鬼やブレード家の差し向けた者たちとの戦闘について真相をご存じでしょうか。マダム・マリーに説明したとおり、わたくしの火球は五発撃つと充填時間が生じます」
ニキタとマダム・マリーが同時にほほ笑んだ。お互いにゆずりあうような仕草をしたが、ニキタが口を開いた。
「正直な方ですね。気に入りました。もちろん情報は複数の源から収集済みです。超越能力を持つ少女がいたが今後支援はない、と。それでも結構です。火球五発もあれば賊など追い払えます。それにみなさんの剣もありますし」
クロウは笑ってうなずいた。
「それならいい。あともうひとつよろしいですか」
今度はマダム・マリーの方を向く。
「この事業に投資をさせてください。二世を三枚」
マダム・マリーは茶を噴き出しそうになったがこらえた。ニキタは笑っている。ほかの三人はぽかんとしていた。
「クロウさん、そりゃこっちとしちゃ投資は歓迎だが、なんでだい?」
「中央に行かず、当分ここにいるなら持ってても仕方がない。なら俺が働いてる間に金にも働いてもらおうと思う」
面談の時のようにたるんだ顎をなでる。じいっとクロウを見た。
「利子や配当は通常の相場でいいかい?」
クロウは卓をたたくと短剣を抜き、二人だけで柄頭を合わせた。ほかのみんなはおやおやという仕草をした。




