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「律くん…律くん」
ボクの名前を呼ぶ、心地よい声が聞こえる。
瞼を開けると、Uがボクの顔を覗き込んでいた。
彼女との距離の近さに、今更ながらドキッとしてしまう。
「ああ、Uか」
寝ぼけ眼のままスマホの画面を確認すると、時刻はまだ朝の5時だった。
「どうしたの?こんなに朝早くに」
「律くんに、提案があります」
「今から、外に出て見ませんか?」
「外に…?」
「はい、これだけ朝早ければ人通りも少ないと思うんです」
「誰とも会わない…とまではいかないかもしれませんが」
「それって…」
「ああ、勘違いしないでくださいね」
「ワタシの為に、ですよ」
「Uの為に?」
「はい、ワタシ実はアウトドア派なので、ずっと家にいるとストレスが溜まってしまうんですよ」
「だから、ワタシのストレス解消に付き合ってもらえませんか?」