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キミに心臓をあげたい  作者: ニケ
3/12

3

彼女がボクの目の前に現れてから数日たったある日の事。


「律くんは、今日も部屋にいるんですか?」


今日も、Uはボクの部屋のベッドにちょこんと座っている。


「そんなのボクの勝手だろ」


「何時間もパソコンに齧りついて、疲れませんか」

「外に出て気晴らしがしたいとは思わないんですか?」


「思わないね」

「別に今の時代、外になんか出なくたって生活はできるし」


「生活はできるかもしれませんが」

「健康には悪そうですね」


「ちょっと静かにしていてくれないかな?作業に集中できないから」


ボクがあえて厳しい言葉を選んでも

感情のないアンドロイドの彼女には、たいして効果がないようで。

彼女は、呑気に足をプラプラと宙に浮かせてくつろいでいる。


(売り言葉に買い言葉のようなUとのやりとりにも、いつのまにか慣れてしまったな)


Uがボクに気を使う事は一切ない。

悪く言えば、彼女は空気を読まずに思ったことを口にする。

それは、彼女が人間のように心…すなわち心臓を持っていないからだという。


「ずっと気になっていたんですが」

「大学を休学して、律くんは一体何をしているのでしょうか?」


「何って…」


適当な説明で、話をはぐらかそうかとも考えたが


(Uの性格を考えると、かえって面倒な事になりそうだな)


ボクは彼女からの質問に正直に答える事にした。


「曲を作っているんだよ」


「曲を…ですか」

「凄いですね」


「別に凄くなんかないよ」

「ボクよりも人気のある作曲家なんていくらでもいるし」


「律くんはあまり人気がないんですか?」

「…直球だな」

「少しは気を遣ってくれよ」


「すみません」

「ワタシには心がありませんから」


「アンドロイドなら、そのくらいの機能搭載しておいてくれよ」


「引きこもりへの気遣い機能ですね」

「善処します」

「しかし…そうですか」

「律くんは伸び悩んでいるのですね」

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