エピローグ
ここに来るまでの事はよく覚えていない。
学校帰りに、突然頭が痛くなって、それで…
いつの間にか私は、不思議な空間にいた。
淡い色の光の玉がゆらゆらと浮かぶ、綺麗な夜空のような場所。
自分がここにいる意味が、なんとなくだけれど分かる。
(終わっちゃったん…だろうなあ)
私にはやりたい事や夢はなかった。
それでも、友達と遊んでいるだけで毎日が幸せで
最近は気になる人だってできたんだ。
(心残り…あるに、決まってるじゃんか)
もっと色んな場所へ行ってみたかった。
色んな人と出会って、誰かを笑顔にできるような、そんな夢を見つけて
夢に向かって努力がしたかった。
そういえば、来週コンビニで新作のアイスが出るんだっけ。
あれも食べたかったな。
そうだ、明日はバイト代が出る日だ。
買いたい服、あったのにな。
ああ…だめだ、後悔がいくらでも溢れてきてしまう。
私が一人、後悔を思い返していると
「それ、できますよ」
頭上で女の子の声が聞こえた。
私が目線を上げるとそこには
私によく似た顔の女の子が微笑んでいた。
「アナタのしたかった事、見たかったものが」
「叶うチャンスがあるって言ったら、どうします?」
「全部はムリかもしれないですけど」
女の子は私によく似た声で問いかける。
「どうすれば…いいの?」
「アナタの想いを、心を誰かに託すんです」
「アナタの心はまだ生きています」
「誰かって、誰に?」
「おや、乗り気ですね?」
「実…そのヒトはもう決まっているんですよ」
「そのヒトは、どうしようもないヘタレで」
「引きこもりでニートで、髪はボサボサで」
せっかく乗り気になっていたのだから、もう少しまともな事を言って欲しいものだ。
「でも…いいヒトですよ」
いい人…それならまあいいか…
彼女がその人の話をする時の、その柔らかい表情と声を聞いて私は決意する。
「わかりました、それでは行きましょうか?」
彼女は私の手を取る。
キミに出会えるその日が来ることが
少しだけ楽しみになってきていた。




