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アーロン  作者: ラー
四章

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七話

「何とかなったか。良く生き延びたな」

周囲を見渡し、追加の魔物が無い事を確認したアーロンは疲れを吐きだすようにため息をつく。魔物たちはすべて黒煙となって既に姿はなく、所々にドロップ品が散らばるだけだ。

「ふぅ・・・流石に怖かったぁ・・・上は遠いなぁ」

荒い息を吐いていたエンリータも落ち着いたのか自身が撃ち抜いたデュラハンがいた場所を遠い目で見つめる。

「当たり前だ。むしろお前のランクの上がり方が速すぎただけだ。まぁ、ランク5は地力を上げて対策さえ取れれば倒せるようになる」

そう言いながらアーロンはグレートソードをしまい、置いておいた荷を拾って背負いなおす。

「ほら、もう陽が暮れる。早く行くぞ」

「あ、そうだね。はぁ、疲れたなぁ」


2人はそのまま無人の道をひたすらに行く。魔物は既に居ない為に足取りは軽いが目的の場所まではそれなりに距離がある。ゆったり行くわけにはいかない。何より、別の場所からきた魔物に遭遇しないとはとても言えない状況だ。

そうして陽も赤くなり始める頃、2人は何とか森の入り口までたどり着くことが出来た。

「はぁ~やっとだよ!疲れたなぁ。所でどこらへんに泊まるの?」

全身で身体を伸ばして脱力したエンリータがぐったりとしながら尋ねて来る。

「あぁ、地図通りならこっちに横穴があるはずだ」

左手に地図を持ったままのアーロンが周囲を見渡しながら先導する。

そして少し歩いた所に岩壁があり、其処には確かに大きくはないが横穴が存在した。

「少し、待ってろ。中に何もいないかだけ確認する」

そう言ってアーロンはエンリータに荷物番を任せて、暗い洞窟に入っていく。

魔術で明かりを確保して見れば中はそれほど大きくはなく、入り口から数歩歩けば半円形の空間があることが分かる。高さは入り口こそ屈まなければ難しいが住居区画はアーロンでも立つことが出来る程に広々としている。

(まぁ、誰かが掘ったな。こんな所にわざわざ作った意味は分からんが有り難い)

これならば出口を空気穴だけ残して封じてしまえばかなり快適に過ごせるだろう。中には魔物もおらず、長年使われていない様にも見えるためにここに立ち寄る者は殆ど居ないのだろう。

一通り確認したアーロンはエンリータを呼びつけて早速食事と寝る準備を始める。

「へぇ、かなり良い空間だね!これなら良く寝られそう!」

奥で腰を下ろしたエンリータは楽しそうに話す。

「魔物の出入りもなさそうだからな。これなら使った魔力も回復し切れるかもしれない」

そう言ってはしゃぐエンリータに同意を示す。

「あぁ、只、寝る時は壁を作るが起きている間は開けておくから音にだけは注意を払えよ」

「あ、そうだね。うん、もう夜になるし」

夜は昼と比べれば格段に音が響く。おまけに魔物は眠らない。いくら壁を作っても音が響けば魔物は寄ってくるだろう。

そうして2人は暮れる陽と競う様による支度を終わらせ、火も使わない食事と魔術による壁張りだけを済ませて早々に疲れた体を癒すために横になった。


翌日、朝露が残る時間帯に目を覚まし、食事もそこそこに終わらせて外へ出て身体を慣らす。

(8割ってとこか)

肉体的疲労はない、しかし体内で魔力を回したところ完全とは言い難い程度にしか回復しなかった。尤も過去と比べれば総量が大きく変化しているのだから仕方ない事ではあるだろう。

「今日は森を抜けるのが目標でいいんだよね?」

準備を終えたエンリータが近付いて来て尋ねる。

「あぁ、今日は洞窟の入り口までだ。それよりもお前も身体だけは動かしておけ。森は奇襲の宝庫だ」

今までは見晴らしがよく、障害物も左程ではなかったがこれからは森の中という人の生息圏から明確に外れることになる。仮にエルフ等の森の民が入れば多少は違う可能性はあるものの、今は人間のアーロンと同じように平原に生きるミクロスのエンリータしかいない。そうなれば高ランクの魔物が本気で隠れた場合見逃す可能性が高い可能性がある。尤もここも濃い魔力が漂う異質な森故にエルフでも難しいかもしれないが。

「・・・そうだね、死ぬ時も後悔だけはしたくないもんね!」

そう言いながらエンリータも身体を解すようにして動き始めた。


そうして各々が最後の確認を終えた後、アーロンは腰のファルシオンを引きぬいて森へと踏み出す。

森の中は鬱蒼と茂っており、昼間にも拘らず酷く暗く感じられた。魔力の影響かあまり見たことが無い植物がちらほらと見受けられ、毒々しい花を咲かせるものや怨めしそうに木々に絡みつくツタが目立つ。木々も所々螺子くれているものが多く、不自然な空洞があるものもある。中には魔物に折られたのだろうか地面に何本もの木が倒れ、更にその木を栄養として菌糸類や新たな木々が生えようとしている。それらは悍ましさもあれば自然の底力を感じられるもので不思議な魅力と力を発している。尤も、空気が目に見えない重苦しさを持っている為にそれらを楽しむ余裕もない。

アーロンは慎重に目を森の先へと凝らす。森の中は風に木々が擦れる音に紛れ、何か魔物でも居そうな音をあちらこちらから醸し出すがその実態はつかめず、また姿はない。後ろで同じように目を凝らしているエンリータも今は静かに真剣な顔で右手のダガーを握りしめ、何かあれば反応できるようにしている。


それから暫く歩いて、緊張からか風が涼しいにもかかわらず額に汗が浮き上がり始めた頃、頭上、更に言えば真上ではないが右前からこちらに向かって何かが擦れるような音が向かってくるのが聴こえた。

アーロンは機敏にそちらを見て腰を落とし、更に音に集中する。同じように音を聞きつけたのだろうエンリータはアーロンの背に自身の背を向けるような形で2人の死角を消すようにして動く。暫くジッとしているとアーロンからすれば攻撃圏からは幾分離れた所で擦れる音は完全に消え、代わりに何かが明確にこちらを狙っているような気配が増えた。

(前からだけじゃないか、最悪四方か?)

前からの奴に気を取られ過ぎたのか今、この時になって自分たちが囲まれていると確信する。しかし、それでも姿が見えないことから優れた擬態、ないしは隠密能力がある事とそれなりに高い知能があることが分かる。

(正面、上からが囮なら同じように上からだけではない可能性も出る。いや、流石に土からは難しい。兎に角出たとこ勝負か)

背後に感じるエンリータの背へ後ろ手で合図を送り、後方は一旦任せることと囲まれている事を伝える。そしてその返事を聞いた瞬間だった。

真上からガサリと大きな擦れる音がしたと共に正面と左右から何かが飛んでくるのが視界に映る。


それは4足で顔とほぼ同等の大きさの目を左右に持った緑色の魔獣だった。顔の中央には魚の背ビレのような物が首まであり、体は身体に比べるとかなり細い円筒形だ。尻尾は身体よりも長く、現在は元々居た場所の枝に巻きつきながら伸びている。

ルーカー、魔物の神では無く、獣神由来の魔獣であり、木々が良く茂り、人の手が入りにくい場所に生息すること多い。体を周囲の景色に溶け込ませる特殊な肌をしており、森の中なら隠れられない場所はないと言われている。基本的には臆病で反撃されるとすぐに逃げてしまう事からあまり脅威には取られにくいが縄張りの中なら何度でも攻撃を仕掛ける特性がある。雑食性で基本は森の恵みを主に捕食するが虫や弱った他の魔獣も食べることが知られている。口の中には鋭く細かい歯が幾重にも生えており、肉を削ぐようにして噛みつく。その為、傷口はやすりで思いっきり擦られたようになり、痛みも酷いが治りも悪い事で有名だ。幸いにも戦闘能力はそこまで高くない為にギルドからはその隠遁性能のみが評価されてランクは弱めの3とされる。


(意外なのが出てきたな。だがこれなら対処は難しくない)

高ランクが溢れんばかりに居ることからルーカーの様な下位ランクがいることに少しばかり驚きながらアーロンは迫ってくるルーカーへの対処を始める。とはいっても左程目立ってすることはない。噛まれれば痛いが今のアーロンにとっては正しくかすり傷以外何物でもない。また、隠密性能こそ大したものだろうが割れている奇襲は脅威が半減する。加えて彼らの身体は硬い訳でもない。それ故に面倒だが恐れることは何一つないのだ。それこそすべてエンリータに任せても問題はないだろう。


アーロンは構えていたファルシオンを上から振り下ろす。空を飛んでいる訳ではない為に正面のルーカーは口を開いた姿のまま綺麗に2つに分かたれ、鮮血をぶちまける。勢いは完全に消え、木に巻きついていた尻尾の反動で振り子の様になると木の実の様に釣り下がる。それを後目にアーロンは左からも同様に来ていたルーカーを空いていた左手で殴りつけ、地面に叩きつける。そのまま敵は地面で跳ねると先と同様に尻尾のバネで弾けるようにして元の位置に戻っていくのが見えるが今の一撃で脳にダメージが入ったのか意識はないように見える。背後では右から来たルーカーをエンリータは器用に避けて無防備な瞬間にしっかりとダガーで切り付けたらしく、しっかりと死んでいる。

「さて、少し急ぐぞ。臭いを嗅ぎつけられたら面倒だ」

そう言ってアーロンは身体に血が付着していないかだけ確認してそう促す。

獣神から産みだされた魔物、魔獣は煙に成らないがゆえにこういった環境では非常に面倒だった。また、血は純粋に汚れになる為に冒険者から魔獣は嫌われやすい傾向がある。

「うん、走る?」

同じように準備を整えたエンリータがそう尋ねて来るが流石に走るほどではないだろうと判断して速足で目的地へと足を進める。とはいっても視界が悪く、足場も良くない森ではそれほど速度はでない。加えてオーガやデュラハンと言った大型の魔物は木々が邪魔するために森の中にはあまりいないだろうが小型から中型の魔物はまだいくらでもいるだろう。となればどうしても足取りは軽くはならない。

ザシュ、現に今もまだ隠れていたルーカーがアーロンのファルシオンに切り落とされる。

ピュン、遠くから投げ込まれた石礫にエンリータが矢を返せば短い悲鳴とガサガサと草木を掻き分けて逃げていく音がする。

魔獣は魔物と違って不利だと考えれば引くことが多い。魔物はそこらにいる時は普通に生活をしているが一度人間を見ればいくら傷つこうが最後の瞬間まで人を襲い続ける。大よそ恐怖のような本能というものは持っていないとされており、出会えば逃げ切るか殺しきるしかない。反面、魔獣は人と同じように本能がある為に人と出会えば襲いもするがちゃんと生きているがゆえに駄目なら引くと言う行動を容易く取る。今のも牽制を込めて石を投げ込んだのだろうが効果はほぼなく、むしろ矢で反撃を受けたがゆえに分が悪いと見た可能性が高い。


それからも暫く監視されているような空気が続き、幾度も石などを四方から投げ込んできたがしっかりと避け、その度にアクションをしっかりと返してやればそこまで攻めてこない。

(巣でもあるか?だがそれならもっと激しく来てもいいはずだが)

すこしだけしつこさを感じながらも石を投げ込む以上のものを見せない敵に苛立ちこそ湧くが相手をしなくて済むのならそれがこちらにとっても相手にとってもベストであるのが分かるだけに手が出しづらい。

「・・・矢はどれだけ残ってる?」

ひっそりと後ろで矢を構えているエンリータに聞く。

「う~ん、まだ問題はないかなぁ。それほど撃ったわけじゃないから・・・でもそろそろ温存しといた方が良いかも?」

後ろ手に矢筒を触るエンリータがそう首を傾げる。

「分かった、なら避けるだけで良い。もし調子づく様なら俺がすこしばかり強めに入れる。龍に辿りつくまでに矢が切れる方が問題だろうからな」

一応、即席で矢を作る選択もなくはないがあまり頼りにはならないし余計な時間はかけられない。加えて最悪魔獣を食料にする手はあっても水は確保が難しい。余裕は作っても行動に余分は作りたくない。そう思えば矢の消耗は抑えなければならないだろう。

そうして敵を完全に無視するような形で進めば次第に攻撃は減り、再び2人が歩く音が聴こえるだけになる。

「そう言えば結構森、広いんだね」

疑問に思ったのかエンリータはそう溢す。

「・・・もともとここは山脈だった。それを渓谷になるほどに割り、更に濃い魔力の影響で草木が異常に繁殖した地帯が此処だ。そう言う意味では最初の枯れた谷の方が範囲で言えば狭く、これからここと同じようになる可能性がある。あぁ、それと横方向は左程広くはない。何度も言うが戦いで削れて出来た谷と森だからな」

「へぇ、そうなんだ・・・いや、やっぱりあの人可笑しいね。それとも龍も可笑しいのかな?」

エンリータは口角を引きつらせながらアーロンの説明に相槌を打つ。


2人はそのまま森の奥深くへと潜ると木々がより茂って来たのか光が届かず、空気すらも重くなってきた様に感じられる。足元も乾いた部分は少なくなり、苔むした地面や朽木が目立ち、鼻孔にも湿った空気に混じって土臭さが伝わる。

「ん、少し待て」

そう言ってアーロンは地面に付いた後に目を向ける。

(かなりデカいな。この足跡はシルヴァルムホーンか?)

偶蹄目らしい2つに別れた蹄、ただし尋常ではない大きさだ、それこそ通常の同種と比べて3倍程度は大きいだろう。土の沈み具合を見ても間違いなく巨体だ。それがアーロン達の進行方向へ向かって伸びている。右方向にはシルヴァルムホーンが通ったのだろう道は細い枝の折れた跡、ぶつかったのか根っこが浮き上がっている樹木が見える。傷のついた場所から大体アーロンの身長から更に身体半分は間違いなく大きいことが分かる。かなり高い所にある折れた枝は角のせいだろう。

「どうするの?そんなに古くない、というかついさっきって感じだけど」

同じように足跡を覗き込んでいたエンリータが顔を上げた。

「・・・いや、変に回避する方が面倒だ、まっすぐ行く。それに避けたからと言っていい事があるとは思えん」

通り道は逃げてできたわけではなさそうだった。それならこの一帯はシルヴァルムホーンの縄張りの可能性も高い。それならばわざわざ回るよりも付いて行った方が見つからず他の敵にも当たらないかもしれない。

「そうだ、折角だからお前の訓練も兼ねてみるか」

アーロンは思いついたようにそう溢す。

「?」

それを聞いたエンリータは首を傾げる。

「なに、最近忘れがちだったがお前は狩人でもあるが元は斥候だろう。なら追跡と観察の技術は必須だ。だからやってみたらどうだ?」

これならそう難しくはないだろうからなと付け加えてエンリータにそう提案する。

「う~ん、そう言われると確かにそうだね・・・まぁ最近してなかったしやるよ」

少し考え込むような姿勢は見せたが直ぐに納得したエンリータはアーロンの前に立つと魔術を唱ええる。

『闇精よ、願うは真の目、招かれるは深淵の放浪者』

そう唱えればエンリータの目の周りに魔力が集まるのをアーロンは感じる。


魔術には属性や効果によって区分があるがそれ以外にも神の加護によって可能不可能が決まる魔術もある。今、エンリータが唱えた魔術は暗神の加護を持った者にしか効果を発揮しない魔術で今回のような追跡や探査などに良く使われる。効果は本人の五感、特に視覚の強化がされる。他にも魔力の僅かな残滓を視覚化したり、本人次第ではあるが経験則から来る直感を高める魔術だ。これが有れば肉眼では見落とす痕跡を発見しやすくなり、ベテランであればより幅広い情報を集めることが出来るという事だ。尤も斥候として未熟なうちに使うと本人の素の技量に問題が出るために基本がしっかりと出来るまで使わない方が良いともいわれる。


慎重に周囲を見渡しながら先を行くエンリータに続きながらアーロンも出来る範囲で周囲を警戒しながら進む。しかし、予想通りと言うべきかこの一帯は明確な支配者がいる為かあまり他の魔獣の気配が感じられない。反面、ランクが低く、臆病な魔獣の類は居るようだがこちらを遠巻きにするだけで近づいてくるような気配はない。

そうして暫く足跡に続く様にして行くとエンリータの足がぴたりと止まる。そして後ろ手に合図を送って来た。

(どうした?)

背を屈め、後ろから小声で話しかける。

(この先に多分居ると思う。臭いもするし。あ、あれかな?)

そう言ってエンリータは先を見ているが魔術で強化していないアーロンの目には先に少しばかり陽の明かりが漏れている場所がありそうとしか分からない。だがエンリータがそう言うのならばその陽が差す場所に居るのだろう。

(ひとまず近づけるか?)

アーロンがそう問いかければ少しばかりの思案と共にエンリータは頷き、互いの距離を空けながら近づく。

そうして半分程の距離に来た時、ようやくアーロンにもその全貌が見えた。その場所はこの茂った森にしては珍しく円形に切り抜かれたように木が生えておらず、遮るものが無いゆえに黄金色の日差しが降り注ぐ。中央にはこれまたいっそう大きさ切り株があり、その姿は古くも真新しくも見える。また、通常なら折れたり倒れた木などからは神の力もあり、直ぐに他の草花や新しい木の芽が出て来るのだが全くその気配がないのもその神秘度を高めていると言っていいだろう。そしてその上、切り株を台にするようにして4脚の獣が立っている。全身は秋の麦を思わせるような色合いの長い毛皮に覆われており、降り注ぐ陽に照らされ、風に靡くそれは黄金の麦畑を幻視する。反面、顔は夕焼けよりも赤く、どこか人間の老人のような風貌をしており、体とのギャップが非常に強い。そして人であればこめかみの様な場所から左右共に背中の方に流れる大ぶりな角が生えている。角はあまり攻撃には向かない形に見えるがシルヴァルムホーンの突進と合わさればよっぽど硬くない限り串刺しにするくらいは容易いだろう。また背中に流れているだけあって上部からに攻撃に対応できるのはメリットだろう。また、角は魔力をため込む性質がある為にため込まれた魔力の性質によるが魔術と言うよりも魔法に近い事も可能だ。また、魔獣の中ではかなりの長命種でもあり、滅多に人の行動範囲には出てこないがエルフと同等かそれ以上に生きる個体も過去には見つかっている。年齢は角で分かり、背中に流れる角が等間隔で釣り針のカエシの様になっており、その本数で分かる。大体カエシ一つに付き50年と言った所らしい。今回の個体は5個もカエシがある為に大よそ250歳超と言った所か。


「かなり長生きだな・・・」

見るのも珍しい個体で長生きと来れば思わず興味をそそられるがそれだけ生きているという事はそれだけ強いという事だ。長い間戦いに負けず、龍とヘンドリーナの戦いでも生き延び、それ以降発生した強い魔物も退けてここに君臨していると言うのはそれだけで脅威だ。龍を除けばこの渓谷でもっとも強い個体の可能性も高い。これからまだメインの戦いを残している状態で対峙するのは今のアーロンでも避けるべき脅威だろう。

「ひとまずあれが動くのを待つ」

エンリータに小声でそう言うとアーロンは周囲の警戒をしたまま腰を落とす。

(最悪、あれの縄張りを出られるなら森での一泊も考慮内だな)

溜息を吐き、森の屋根を見上げた。

良ければ評価、ブクマ等していただければ幸いです。

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