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アーロン  作者: ラー
三章

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六話

結局船が出るまでの3日間、4人は共に行動して遂に別れを迎えた。現在立っているのはカリステオンの船着き場。周囲には屈強で日に焼けたケルタム族の男たちが怒号を飛ばしながら積み荷の整理や人の乗り降りを見守っている。天気は運が良い事に晴れ渡り、程よい風が吹き荒んでいた。

「お世話になりました」そう言いながらマリアベルは頭を下げた。

 「気にしなくていい。乗りかかったなんとやら。それにお前にとってはここからが本番だ、気を付けろよ」

彼女の言葉にいつも通りの空気で返す。

「元気でね!アリウスも頑張って!」

エンリータは少しばかり寂しさを残すもののいつもの元気な声と顔で別れの言葉を掛ける。

「あぁ、ありがとう。余計なお世話かも知れないが2人も元気でな」

アリウスも3日の間で大分打ち解け、今の所警戒は消えた。


そうして短い別れを最後に2人は船に乗り込む。どうやらアーロン達が最後の乗客だったようで桟橋を渡り切るとすぐに取り外され、錨があげられる。それからすぐに大きな銅鑼の音が響けば船乗りたちの歓声が聴こえ、船の横に虫の足のように生えたオールたちが掛け声に合わせて規則正しく動き出す。

「じゃぁね~!!」

船のヘリからやや身を乗り出すようにしてエンリータは手を振っており、徐々に小さくなるマリアベルも手を振りかえすのが見えた。

「おい、そろそろやめておけ。落ちても事だ。それに死ななければまた会える」

そう言うと自分たちに振り分けられた部屋へと行く。


船旅は気持ちがいいほどに順調に進む。取り付けられた3本のマストが風をたっぷりと受け、ぐんぐんと海を割る様にして突き進む。もし、上手く動かなくなっても力が生まれつき優れ、戦士の種族たるケルタムの男が多数乗っている為に動かなくなることはまずない。

(これなら後、数日で着くか)

カリステオンを発ってから3日、代わり映えのしない景色をデッキでヘリに寄りかかりながら眺める。乗客は左程多くない為に閑散としており、開放的だ。巨大なマストの上部には見張りがいるくらいで後は海鳥が休める場所を求めてマストに居座る程度。もっとも、これから行くイナニス島は観光地でもない為妥当ではある。宿命を見通す巫女がいると言っても危険を冒してまで行くものもそうはいない。

(ふう、暇だな・・・)

アーロンがそうぼやいていると奇妙な格好をした人間が寄ってくる。酷く整った顔をしており、線の細さもあって傍目には男か女か分からない。背丈も少年の域を出ず、顔と合わせてどことなく妖しい雰囲気を漂わせる。それこそ色町にでも居そうとでも言えば良いのだろうか、そんな不思議な子であった。服装はやや灰色がかった白い道服のような物をきっちりと着込んでいる。

「やぁ、初めましてお兄さん」

見た目通りの中性的な、しかしどこか淫靡な声色で話しかけられる。

「・・・なんの用だ」

顔を半分だけやりながら不承不承に返す。

「ふふ、ボクはニィス。お兄さんは?」

何が可笑しいのか手を口に当て上品に笑う。

「・・・アーロン」

敵意は感じない、しかしどこか自分の奥底まで見られているようなそんな雰囲気を感じる。はっきり言って不気味ともいえた。

「そんなに警戒しないでよ、少しばかり暇だから話そうってだけだよ」

そうは言われてもアーロンは乗り気にならない。

「はぁ、まぁ良いよ、勝手に話すからさ」

焦れたのか、ニィスはアーロンの横で同じようにヘリに背を預けると本当にべらべらと語りだす。

そうして暫く聞き流していると「ねぇ、お兄さんさ、力が欲しいでしょ」と話の流れをぶった切る様に迫ってくる。

今までと違い、どこか確信めいたような、嘲笑うような声で聴かれ思わず振り向く。

そこにはあまりにも薄気味悪い、しかしどこか見惚れそうな笑みを浮かべる少年がジィとこちらを見る。

「ふふ、やっと見てくれた。お兄さん、もし興味が有ったらアウローラ王国の城の裏口まで来てよ。そうしたら続きを聞かせてあげる」

そう言うとニィスは右手を振る。同時に強い突風が吹き、思わず目を瞑る。そして目を開けるとあの少年はどこにもおらず、化かされたような感覚に身を包まれた。

「何だってんだ・・・」

空を見上げて思わずつぶやく。

「アウローラか・・・」

この先で会う巫女次第ではあるが帝国に一旦帰るのであればアウローラにはまた寄る事にはなる。ならばそこで先程の真意を尋ねるのも悪くはないと思う。実際、力を求めているのは現実だった。


変な少年との邂逅後、船は何の問題もなく、なんなら予定よりもやや早く目的地であるイナニスへとたどり着いた。

掛けられた桟橋を下り島に足を着ければ心地よい海風が頬を撫でる。

「ん~やっとだね!久しぶりの地上は安心するよ」

小型ではないが船はやはり揺れる。エンリータは船があまり好みでは無かったようでとても安心したように息を吐いている。

「さて、悪いがこの船が戻るまでには用事を確実に済ませたい。今日は早めに寝て、早朝には発つぞ」

船の戻る日時を確認して来たアーロンは彼女に忠告する。

「えぇ~でも仕方ないか・・・」

一瞬、うなだれて反抗しようとするがアーロンの有無を言わせない眼光を受けて渋々承諾する。


そうして、2人は島に一つしかない宿に泊まり、予定通りにそうそう床に着いて朝を迎える。

「はぁあ、眠いなぁ・・・」

薄靄がかかる街並みを眺めながらエンリータは欠伸を浮かべる。

「まだ、構わんがさっさと目を覚まさないと死ぬぞ」

隣に立つアーロンは半目で彼女に忠告を飛ばす。

「そう言われてもね・・・ん~!頑張るかぁ!」

そう言って彼女は自身の頬を叩いて気合を入れる様に声を出す。

「そう言えばこれからあの山に登るんでしょ?」

まだ薄暗い街並みを歩きながらエンリータは島の4分の3は占める山の天辺を指さす。

「そうだ、ここからは見えないが天辺には神殿があるらしい。もっとも俺も行ったことはないから、詳しくは知らんがな」

「へぇーアーロンでも行った事ないんだ。なんだか楽しみになって来たよ!」

そういいながら彼女は笑顔でブンブン手を振り始める。

「まぁ、行く用事もないからな・・・何より魔物が普通に出て来る。街は結界が張られているから問題ないが警戒しろよ」


そうして話していると2人は少しばかり整えられた山道への入口へとたどり着く。入口には一人の老兵、恐らく門番が椅子に腰かけており、アーロン達の姿が見えると立ち上がり声をかけて来る。

「やぁ、旅のお方。参拝ですかな?」

特に警戒などはされておらず、ほんの挨拶程度に思える。

「あぁ、巫女に用事があってな。・・・登るのは大丈夫だよな?」

門番がいるなら最悪通してもらえない可能性がある為に確認を取る。

「えぇ、恰好的には冒険者様でしょうか?ならランク5以上の方がいるなら入れますよ。なに、こちらには巫女様のお蔭で魔物は来ませんが道中はかなりはびこっていますから」

5以上、少なくとも中堅として活躍できる力が求められる。通常ならそれなりに厳しい条件でもある。エンリータ一人ならば無理だが、今はアーロンがいるために何の問題もなく通れる。

門番にカードを見せて、少しばかりアーロンのカードに門番は目を開くが直ぐに感情を抑えると「えぇ、問題ありません。どうぞお気を付けて」と笑顔で通される。

その声を背に2人は山道へと踏み入れるのだった。


山道は人通りは多くなさそうにも関わらず案外整えられており、定期的に誰かが手入れをしているのだろうか平らにならされている。勿論道を外れれば直ぐにでも木々がひしめき、地面にもコケを筆頭に草花が生い茂っている辺り最低限と言った所だろう。空気は驚くほどに澄んでおり、呼吸をするたびにどこか清められていると思うほどに心地よい。

「なんか、聖地って感じだね・・・魔物がいるって聞いてるけど本当か疑わしいくらい」

澄んだ空気にエンリータがそう感想を溢す。別に空気の澄み具合で魔物の有無が変わるわけでは無いのだが何となく彼女の言いたい事も分かる気がした。

そう、あまりにも静謐な雰囲気が向かう先から溢れているようにも感じられるのだ。思わず平伏したくなるような空気とでも言えばいいのだろうか、そんな雰囲気が山頂から流れ込んでいる。

「とにかく警戒はしておけ。ランク5以上が求められるのはそれなりに危険だ」

そう言いながらアーロンが先行する形で山を登り始めるのだった。


山を登り始めて幾らか経った。それほど急な坂でもなく慣らされた道のりであるからか息は切れることなく、精々肌にじっとりと汗が出てくる程度で済んでいる。

(これなら今日中に登り切れそうだ)

アーロンは心の中でそう思う。流石に頂上で一泊はすることになるだろうが暗い中の移動は自殺以外の何でもない。神殿の中は厳しいかもしれないが庭の端程度なら貸してもらえるだろう。

そんなことを考えながら更に山道を登っていくと今度は少しばかり遠くから異質な風が頬を撫でた。

「ん?なんだ?」

気にする程では無かったかもしれない、しかし先程からこの空間に流れる風とは明確に違う流れがあった様に感じられた。

「どうしたの?」

突然に声を出し、足を止めたアーロンを不思議に思ったのか横にいたエンリータが首を傾げる。

「分からん。だが恐らく魔物だ。警戒しろ」

そう言い放つと大剣を抜き、周囲を見渡しながら歩を進める。避けられるのならば避けておきたいのが本音ではあるが一本道の先から来るのでは仕方ない。ならばせめて先手が取りたいと思うのは普通だろう。


風は徐々に強くなり、エンリータでもその異変ははっきりと感じられる。相も変わらず前から吹いており、何とも不気味な空気だ。

「そろそろ見えるか・・・」

腰を低くして、木の陰に隠れながらそうぼやく。何やら唸り声と大きい翼が羽ばたいているような音が風に乗って聴こえ、加えて乾いた風のような臭いが鼻孔をくすぐる。

「先に俺が行く。お前は周囲の観察を頼む」

まさか目の前のものに気を取られて関係のない横やりは入れられたくない。エンリータに警戒を頼めば無言で返事が返ってくる。

そこから更に慎重に音の出所に辿りつき、陰からこっそりと顔を出す。


そこにいたのは予想通り魔物ではあった。しかし、アーロンも未だ見たことが無い。・・・最近、見たことが無い魔物に出くわすことが多いがアーロンが見たことが無いと言うのはそれなりにレアだ。

(この島の固有種か?火山地帯のサラマンダーと雰囲気は似ているが)

魔物は大陸中に居るがそれでもある程度、分布と言うのがある。暗い所を好む者、温暖な気候、水中、墓場と挙げていけばきりがない。つまるところ魔物にも住みやすい環境と言うのがあるのだ。今回の魔物も全身に風を纏っている様に見えることからこの地の固有、ないしは精霊に近い魔物だと推測できる。


顔はトカゲのようで頭部には硬そうな棘を持ったヒレが風に揺れている。全身は棒の様な形をしており、蛇を真っ直ぐ、そして膨らましたらぴったりだろう。手足は無く、その代わりに龍のような羽を持っている。全身は緑色で頭部のヒレが唯一赤い。動きはゆったりとしており、まるで海に漂う魚の様に宙に浮いている。どう見ても羽ばたきに対して浮き具合が可笑しく、何かしらの魔力で浮いている事がハッキリと分かる。何よりそのサイズはかなり長く、そこらのヴァイパーほどもあるだろう。因みに先にあげたサラマンダーは羽では無く、4足歩行だが似た様な風貌で背中一杯に火の背びれがある。

「デケェな・・・」

思わずと言った感じで口からこぼれる。以前に異空間で戦った化け物や神器を付けた奴ほどではないがなるほど、ランク5の冒険者でもパーティ出なければ間違いなく苦戦するだろうと思える。基本的に大きいと言うのはそれだけで強いのだ。龍が歩き、羽ばたくだけで地形が変わる様に大きさは力だ。

「まぁ良い、どうにも動きそうにない」

尤も最近の激戦で感覚が若干ズレ始めたアーロンはこの程度にしり込みなどしない。己の直感を信じるならば難なく踏破出来るだろう。

「エンリータ、俺が正面から気を引く、お前は相手の・・・そうだな目を狙え」

そう言うや否やアーロンは駆けだし、敵に迫る。

「■■■■ッ!!」

突然奇襲を仕掛けられた敵が慌てた様に声をあげる。それを後目にアーロンはまず厄介そうな羽を切り落とすために接近して勢いよく大剣を振り落とす。

刃は相手が纏う風を切り、左翼の付け根の辺りに向かって吸い込まれていく。ガキンッと中々に硬い鱗にぶつかり、更に滑ることで威力をいくらか殺されるが、アーロンの手は止まらず更に押し込み、骨が砕けるかのような手ごたえと共に左翼が切り落とされる。しかし、血のような物は噴き出ず、風が水のように溢れだす。

「やはり精霊もどきか」

その様を見て後退しつつ相手の正体をおおむね掴んだ。敵は風の魔力から生まれた魔物であり、この地に溢れる風の精霊の影響を強く受けているのだろう。

ならば謎はほぼ解け、敵の攻撃手段などにも大よその見解が付く。

「■■■ッ!」

羽を切られ、怒り狂った様にこちらを見ながら吠える敵の口からは小型の嵐が土を削りながら迫る。それに呼応する様に残った右翼で羽ばたかれた風が鎌鼬の様にアーロンへと迫り狂う。両方とも風なだけあって速度は上々、生半可な存在なら全身を切られ、無残な姿を晒すだろう。しかし、立っているのはランク7の最上位冒険者、この程度でやられることはない。アーロンは落ち着いて構えていた大剣を風に向かって力強く振り切る。

すると吐きだされた嵐は真っ二つに裂け、解けてしまう。それを見たアーロンはすぐさま風の間を走り抜ける。その直後、無人の場所には遅れて鎌鼬が殺到するが土を切りつけるに終わる。

それなりに大技ではあったのだろう、敵はブレスを放った形で硬直してしまっている。そしてヒュンという音と共にアーロンから見て右側から弦が弾け、矢が風を切るのが聴こえる。矢が吸い込まれる様に敵の左目を穿ち、その痛みに首を仰け反らす。当然、その隙を見逃すようなことはなく、アーロンは今までで一番力強く踏み込むと大剣を横薙ぎにする。首の下は構造上少しばかり柔らかいのか羽を切った時よりも軽い手ごたえで肉を断ち、処刑された人の様に首が飛ぶ。すると周囲に残っていた空気が解け、敵自身の身体もさらさらと風に乗って何も無かったかのように溶けてしまう。

「こんなもんか。もういいぞ」

矢が飛んで来た方、エンリータに向かって声をかける。

「は~い。にしても変な魔物だったね」

そう言いながら彼女は魔物がいた場所を見つめる。

「この地独特の魔物だろうな。似た様なのを火山で見たことがある。恐らく精霊の魔力を糧に魔物になったんだろうさ。さぁ、先を急ぐぞ。少なくとも山中で泊まりたくはない」


それから同様の魔物を筆頭にハルピュイアに酷似した魔物と風に関連した魔物に多数出くわしながら2人はようやくと言った雰囲気で山の八分目あたりに辿りつく。早朝に出たおかげか陽は反対方向に傾き始めたと言った頃だろう。とはいえ山の夜は早い事を思えば実質夕方といってもいい。

「ふう、ようやく神殿も見えてきたな」

アーロンは手を目の上に翳しながら山頂を見やる。下から見ると霧がかりその全貌は見えなかったがそれなりの大きさを誇っているようで城の様にも思えた。尤も城と違い華美では無く、周囲に石柱と旗が掛けられている程度で清貧と言った様にも思える。

「こんな山の上にあれだけ大きいのが建ってるなんて凄いね!魔物も想像よりもずっと居るのにどうやって生活してるんだろう?」

エンリータもすぐ横で神殿を見ながら不思議そうにしている。

「さぁな。まぁ気になるなら後で聞いてみたらどうだ?それとここで少し休憩したら後は一直線だ。しっかり休めよ」

今、2人が居るのは石で造られた階段の前だ。どうやらここからは人の手がより一層入っているらしく、所々欠けている部分はあれどしっかりと職人が手間をかけて作ったことが分かる。ただ、魔物はここにもいるようでその痕跡が散見されるために気は抜けないと言った所だろうか。

(それにしても一層、不思議な気配が強くなった。やはり山頂には何かがいるらしい・・・まさか巫女がという事はあるまいな)

アーロンはこの山に入った時から続く不可思議な気配に気を取られる。それこそ普通ならここまで異質な気配などと言うものは感じられるものではないがここに来てからはずっと感じるのである。

(それこそあの異空間での英雄の圧力に匹敵しかねない)

荒々しさこそないが格が違う何か、と言った点でこの気配は一致する。

「まぁ、気にするだけ無駄か・・・」

もし、英雄に匹敵するなら気にしても相手にすらならないのだから無駄と切り捨て、アーロンは石柱を背もたれに息を吐くのだった。


最後の休憩を挟んだ後、2人はひたすらに階段を登っていく。登るにつれて見晴らしが良くなっていき、晴れていたことも幸いしたのかふと振り返れば島から海の彼方までが一望できる。もし、アーロンが芸術家であれば詩か絵にでもしたのだろうかと思うぐらいには美しく心が洗われるような気持ちになる。しかし、物事は良い事ばかりではない。見晴らしが良くなったという事は敵にも見つかりやすい事と同義であり、山中を歩いていた時よりも明らかに魔物の数が増えている。階段に隠れる場所など無く、踏み外せば大けがを招きかねない。それに加えて横から落ちれば一段目に逆戻りである。

「チッ!思ったよりも面倒だな。おい、矢はまだあるか!?」

襲い来る魔物を幾度も切り捨て、階段を駆け上るのはアーロンでも疲労が溜まる。幸い、もう目と鼻の先に神殿への入り口だろうか、屋根がある建物が見える。

「ハァハァ、もう、半分もないかも!ッ!指も痛いなぁ!」

飛んでいる相手に撃つために回収が難しい事もあって消耗が激しい。更に体格で劣るエンリータにとってこの場所での戦いはもう限界も近そうだ。

「よし、なら一回ばら撒く様に撃て!道は俺がこじ開ける!あそこまで突っ走るぞ!」

そう言うと、アーロンはエンリータの射線の邪魔にならずに守れる場所までいったん後退する。

「了解!行くよ­~3・2・1!」

その掛け声で同時に10数本の矢が無差別に空に放たれ魔物を怯ませる。

「ハァァァァ!!」

それを最後まで見届けることなく、アーロンは彼女の腕を信じて駆け出し、邪魔になる魔物だけを切り払い、時には大剣の腹や足も使って押し出す。

「跳び込め!!」

そうして入り口の目前でなだれ込むようにして2人は転がり込んだ。

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