一話
処女作です。
アーロンがギルドで受けた依頼で帝国に向かう途中の森の中を進んでいる時の事だった。普段ならば森の中を突っ切るような真似をせず、森を迂回するように敷かれた街道をのんびりと行くのだが、どうやら急ぎの品らしく、仕方なしに森の中を行くことになった。ボロボロとは言えないが擦り切れた旅装をし、背中には男の背丈ほどの長さのグレートソードを背負い、腰にはファルシオンが佩かれている。アーロンは今年で28。一般的な人族にしては中々に大柄で、筋肉が引き締まった厳然とした雰囲気をしている。短く硬質な黒い髪を後ろに撫でつけ、顔は冒険者らしく日に焼けて実際の年齢よりもいささか老いてみえる。しかし、黒い目には十分に精気が宿っており、歩き方一つ見ても積み重ねられた経験から来るものか、堂々としており、戦いの心得があっても無くても一筋縄ではいかない、そう思わせるものだった。
森の中は陽が十分に差し込み、足元には道らしきものこそないがコケや雑草が茂っており、まるで城や貴族が住む家の絨毯の様にも見えた。耳には鳥や虫の鳴く声が聴こえ、森の中独特の青々とした草木と土が混じった匂いが鼻孔をつく。しかし嫌な臭いでは無く、むしろ澄み切っており、気持ちのいい穏やかな空気が流れていた。
そうして、幾何歩けば森の出口にも差し掛かるだろうという時だった。アーロンの耳に数人の男の怒声と金属がぶつかり合う様な音が聴こえた。野盗の類か、はたまた同業者が魔物とでも交戦しているのかと独り言つ。この森自体はそれなりに広く、低級の魔物狩りをするルーキーや薬草などを採取しにくる同業者も少なくはない。その為、このまま無視して帝都に向かってしまうか、とも思ったが魔物と争っていると言うにはいささか雰囲気が違い、魔物が発する声も聞こえなかった。
(人同士の争いか・・・?)
もし、人同士であれば、野盗にしろ、そうでないにしろ放置するのは冒険者としての立場からしても無視するのは気が引ける。なにより、野盗ならば近隣の村に被害が及んだり、同業者のルーキーが被害に遭う為、積極的に捕獲、もしくは殺害がギルド、および国から推奨されている。
(仕方ないか)
ため息を1つ吐き、アーロンは音のなる方に足を進めた。
アーロンが近づくまでに戦いの音は消えており、森は静かさを取り戻しつつあった。そうしてアーロンは、音の出所がギリギリ目視できる位置まで来ると一旦、木の陰に身体を隠し、顔を半分ほど出しながら現場に目をやる。そこには3人の男がおり、その足元には1人の人が倒れている様だった。男たちは皆一様に薄汚れた軽装に茶色の短いマントとフードを身に着けており、マントの隙間から分かる範囲ではレザー製のアーマーを着ていた。腰には短刀を佩いており、1人はロングソードを持って周囲を警戒しているようだ。(やはり野盗か?)なにやら話をしているようだがさすがに遠く、内容までは分からない。しかし、彼らの足元に倒れている人にとっては、良くない状況なのは明白だった。
流石にまだ、どちらが正しいのかは分からず、より正確な情報を掴むために近づくことを決める。アーロンは背中のグレートソードと旅道具が入った頭陀袋を地面に置く。そして腰のファルシオンをゆっくりと引き抜き、足音を立てない様にかがんだまま男たちに近づく。そうして一息に切りかかれる位置までつくと足元にある小石をいくつか拾い、いつでも奇襲を仕掛けられる位置で彼らの話に耳を傾けた。
「ハァ・・・で、どうする?こいつ連れていくのか?」
「そうだな、顔を見られているからな、連れていく方が良いだろう。殺すのも勿体ない。獲物が勝手に来たと思えばいいさ」
「ハハハッ!そうだな、ちょうど依頼主の要望にも合っているし、もともとこいつのせいで獲物を逃したんだ」
そう言いながら男たちは談笑する。
(やはり野盗か・・・)
アーロンはそう判断し、先程拾った小石を握り、自分の居る方とは反対側の方に投げ入れた。
ガサッと音がした方向を男たちは驚いた顔で見やり、それぞれが武器に手をかける。その瞬間、アーロンは潜んでいた場所から飛び出すとロングソードを持った男の首にめがけてファルシオンを力の限り振り抜いた。男は声を発することも出来ず、首はそのまま胴体から別たれ、体と共に地面に落ちて行った。その音に残りの男たちもアーロンに気づき、同時に仲間の1人がすでに殺されたことで驚愕と恐怖に顔を染めたが、人の死には慣れているのか、すぐに顔を怒りと緊張で赤く染め直し、そのまま短刀でアーロンを突き刺しにかかる。
「テメェ!」
アーロンは落ち着いて一歩後ろに跳んで、短刀の突きを躱すと左手に隠し持っていた小石を親指ではじき、男の顔に飛ばす。
「グゥ!」
顔に石をぶつけられ、ナイフを突き出してきた男は痛みに思わず目を閉じ、空いていた左手で顔を覆ってしまう。その隙を見逃すことなく、今度はアーロンから接近し、左肩から斜めにファルシオンで切り裂いた。切られた男は痛みに悶えながら血を噴出させ、倒れ込んでいく。そこへずっと仲間の後ろで機会を伺っていた最後の1人が大声で叫びながらアーロンの顔から上半身に目掛けて短刀を振り下ろしてきた。アーロンは振り抜いた姿勢のまま半身になると男の方に跳びこみ、体当たりをして男を地面に転がし、マウントの形をとる。顔を1つ殴り、怯んだところで両足を相手の肩と腕の関節に押し付けて動きを完全に止める。ファルシオンを相手の首筋に置き、未だに殴られた痛みに呻く男に対して言葉を投げる。
「誰に依頼された?」
先程の会話からこの男たちが何かしらの依頼を受けて人攫いをやっていることは明白だった。
「ヒィィ!」
男は痛みと死の恐怖に苦悶の表情と喉がひきつった様な叫びをあげるがアーロンが一切の抵抗を許さず、刃を少しも動かさない為か表情を変えぬまま恐々と話し始める。
「し、知らねぇんだ。ただ、俺たちは子供を攫って来いって言われただけで。あ、あんたが最初に殺した奴なら知っていたかもしれねぇけど・・・」
そう言われ、心の中で舌打ちをする。相手の表情から嘘を言っている可能性は薄く、本当にこの男は言われただけなのだろう。ため息を零し、刃を引く。野盗の男は突然の事に理解が追い付かなかったのか驚愕した顔のまま絶命していった。
アーロンはもう一度、静かにため息を吐くと立ち上がり、ファルシオンから滴る血を懐から出した布で刀身を拭い、刃が欠けていないのを確認して鞘に戻す。辺りは森の静謐な空気の中に血の匂いが濃く漂い、生臭い空気が充満する。このままでは匂いに釣られて魔物が集まって来てしまうか、最悪の場合、男たちがアンデッドの類になる可能性があったため、処理をしなければならない。アーロンはひとまず先程置いてきた荷物を取りに戻った後、襲われて気絶していた者のもとに立つ。気絶していたのは赤茶色の波打った癖毛に三角帽子をかぶり、額に鳥の羽が一本付いたバンドを着け、緑色の旅芸人のような恰好をした少女だった。左の目の下には赤いひし形の印が描かれており、どうやらミクロス族の少女のようだ。一見したところ大きな怪我はなく、かすり傷があるだけで呼吸も静かな事から無事の様だ。
「おい、起きられるか」
そう声をかけてみるが反応はなく、思ったよりも深く気絶しているようだった。
(ふむ、頭でも打ったか)
そう思い、帽子を取り、確認する。しかし、瘤があるだけで失血は無く、殴られ、地面に倒れて気絶したと感じた。
(仕方ないか・・・)
ため息を1つこぼし、アーロンは少女を戦闘があった場所から少し離れたところに慎重に運び、自分の頭陀袋を枕にして寝かせてやる。それから殺した男たちの処理を始める。最後の男が言っていた事から何かヒントが無いか最初に殺した男の身と装備を探る。そうすると確かに他の2人よりは鍛えられており、装備の質も僅かながら良い事が分かる。
(だが所属が分かるものは無いか・・・いや、このロングソードの形は確か小国のものに似ているな)
男の持っていたロングソードは量産品である事は間違いなかったが帝国の隣国に当たる小国の軍が持っていた形に酷似していた。
(きな臭いな・・・この感じではただの盗賊騎士と言う訳でもあるまい。取りあえず回収してギルドに報告するか)
正直、これが国家間の問題であれば冒険者に出来ることなど無く、一旦、思考を止めてギルドにでも丸投げすることを決める。
それから金に換金できそうな装備の類を回収しながら恐らく少女の物だろう荷物を回収する。そして、アーロンは地面の空いた空間に向かって魔術を唱える。
『土精よ、願うは愚者の洞穴』
そう、アーロンがつぶやくと地面が陥没していき、数人余りが入れそうなほど大きな穴が現れた。アーロンは出来た穴に死体を投げ込み、もう一度魔術を唱える。
『土精よ、願うは過去の秘匿』
そうすると穴は消え、もとの状態に戻っていった。後は、周囲に散らばる血痕も消しておかねばならない。アーロンは、ため息をつくと再び魔術を唱える。『風精よ、願うは静謐なる間隙』すると周囲の草木が揺れる程の風が吹き、戦場の匂いと痕跡を飛ばし、元々あった森らしい少し湿った様な空気と土混じりの緑の匂いが戻ってくる。ふと、上を見ると森に差す陽が陰り始めていることが分かる。
(早くここから離れて森から抜け出さないと夜になってしまうな)
このままでは名も知らぬ人を、それも傷ついた少女を抱えたまま夜を過ごさねばならない。アーロンは少女を寝かしていた場所まで戻り、ひとまずミクロスの少女の肩をゆすって起こそうと試みた。少女は大分穏やかな顔で寝ていたが、揺らされると不快なのか、眉間に少し皺を寄せて不機嫌そうな呻き声を漏らす。アーロンは、そのまま揺すりながら声をかける。
「おい、起きろ」
少なくとも気絶した人への対応ではないのだろうが所詮はすれ違い程度の関係。それよりも、もう少しで森から出られるのに足止めを食らう事が面倒であった。少しばかり声に苛立ちが混じりつつも声をかけ続け、肩を揺らしているとようやく少女のまぶたが薄く開かれた。アーロンは、少しホッとすると立ち上がり、少女の様子を見る。少女は呑気な性格なのか、気絶させられた後にも関らず、目をこすりながら少しずつ体を起こし、あくびをした。そうすると何かに気づいたような顔をして、きょろきょろと首を動かし、横にいたアーロンを見ると不思議そうに首を傾げる。
「あれ?さっきまでワタシが追っていた人と違う・・・?とゆうか誰?」
(こいつ、本当に大丈夫か?抜けているのか大物なのか・・・)
起き上がる時も感じたが先程まで戦闘して、気絶させられていたと思えないほど呑気な事を口にし、警戒心のかけらもなさそうな空気を発する彼女に思わず力が抜けてしまう。
「俺はアーロン。冒険者だ。お前が戦っていた男たちはさっき殺して、土に埋めた」
アーロンが冒険者の証であるカードを見せながらそう言うと、少女は少し暗い表情となり、下を向いて「そっか」とやや力なくつぶやいた。しかし、すぐに顔に笑みを浮かべる。
「ワタシはエンリータ、助けてくれてありがとうアーロン」
少し無理したような明るい声でそう言った。
「起きてすぐで悪いが陽が暮れる前にこの森を出たい、身体に問題が無ければ行くぞ。説明が欲しければ後で教えてやる」
アーロンがそう言うとエンリータは、立ち上がり身体を少し動かす。
「うん、ちょっと痛い所はあるけど大丈夫みたい」
アーロンから見ても変なふらつきも見られず、問題はなさそうだった。
「とりあえず俺が先行する、ついて来い」
そういってアーロンは彼女の荷物を渡してやり、自分の荷物とグレートソードを身につけ直すと歩き出した。
道中は先程までの騒ぎが嘘の様に静かで、森に住む鳥の声と土を踏む音2人の足音しかしなかった。もともと森の浅い部分にいたこともあり、魔物の類にも運よく遭遇することもなく2人は森から出ることが出来た。陽はすでに傾き、大地を赤く染め始めており、さすがにこれ以上は危険と判断したアーロンはエンリータに一声かけ、ここで一泊することを告げる。エンリータの顔には、はっきりと疲労がにじみ出ており、息も上がっている。少しばかり申し訳なく思うもアーロンは荷を下ろし野営の準備をする。
「おい、そこらで座っていろ」
そう言いながら水で薄められたワインが入った皮袋を渡してやる。エンリータは小声で「ありがとう」と返事をして皮袋を受け取ると地面に腰を下ろし、大きな息を吐いた。それを横目に見やりながら最初に寝床を作る。とは言うもののアーロンが持っているのは精々が油でなめした布きれ程度。テントの様な嵩張るものは何一つない。そもそも冒険者なんていう集団は荷物をいかに軽くするかが重要な為、寝る時も布とマントなどで身体を包むだけである。しかし今は戦闘で疲労した少女がいる為、寝る場所の地面を整えておく。手早く地面を均してその上に布を敷き、出来た簡易ベッドにエンリータを呼んでやる。
「俺はこれから薪を集めて来る。暫く見張りを頼むぞ。何かあれば大声で呼べ」
そう言うや否やアーロンは森に少しだけ戻り、たき火の薪を集める。道中で少し拾ったものと前日の余りの炭があるものの聊か心もとなく、視界が悪くなっていく中、駆け足気味に薪を拾っていく。
薪を抱えて戻ってくると、エンリータは横になって寝てしまっていた。この少女が冒険者か旅人なのかは分からないが心の中でやはり危機感の足りない少女だとアーロンは思う。しかし野盗と戦い、気絶させられ、起きてすぐに良くも知らない男と森を歩き続けたのだから仕方ないと思い、たき火と食事の準備を始める。火を熾し、持っていたワインを片手鍋に入れると火にかけ、その横で持っていた燻製肉を枝に刺し軽く炙る。その後に木で出来た皿に、獣の皮からできた袋から取り出した酢漬けの野菜、硬く焼き締められた黒パン、炙られた燻製肉を乗せてやる。ワインが温まるまではもう少し時間がかかるだろうがアーロンは取りあえずエンリータを起こしてやることにした。
「起きろ、飯の準備ができた」
そう言うとエンリータは目をシパシパしながら意識を戻した。
「あっごめんね、寝ちゃったみたい」
すこし申し訳なさそうにエンリータは言った。疲れているせいか眠気が強いようで、声にも力は余りなく、少し目を離せばすぐにでも寝てしまいそうだった。
「疲れているのはわかるが明日の為に食べておけ」 アーロンは、皿と少しだけ温いワインをコップに入れてやりエンリータに渡す。
「あ、ありがとう・・・」
申し訳なさそうな顔は変わらないが、目の前に出てきた食事に空腹感がわいたのか少しずつ食べ始める。ワインを一口飲んで、ホッとした顔をした後、燻製肉で酢漬けの野菜を包んで口に入れる。それを見てからアーロンも同じように食事を始める。ワインは香辛料と水が混じっており、アーロンの旅が始まってから時間が経っている為、既に酸っぱさが感じられる。しかしアーロンにとっては飲みなれた味であり、落ち着きを与えてくれる。そして黒パンをワインに漬け、すこし柔らかくしながら食べる。それでも硬い黒パンは確かな歯ごたえとぼそぼそとした食感でお世辞にも美味しいとはいえない。ワインの酸っぱさもあり、普通ならば食べる気も失せるが、アーロンの様なベテランの冒険者にとってはもはや母親の手料理にも似た安心感さえあった。燻製肉と酢漬けの野菜は、肉の強烈な塩味を酢の酸味が多少なりとも中和してくれており、この貧相な食事の中ではかなりまともと言えるだろう。エンリータも特にこの食事に反応を見せないことから旅そのものは慣れているのかもしれないと思う。
(恐らく、誰かと一緒に旅をしていたのだろう、危機感の無さはそこからか)
そんなことを考えながら食事を進める。
もともとアーロンは、喋りが得意ではなく、エンリータも食事をとるのが精いっぱいといった感じで、唯一たき火から木の爆ぜる音がするだけだった。陽は完全に落ちており、空には無数の星が輝き、半円状の白い月が冴え、大地を照らしていた。森から少し離れた草原にはまだ少し肌寒さを感じさせる風が草を揺らす。アーロンが食事を終えるころ、ちょうどエンリータも食べ終えたようで、アーロンはエンリータから食器を渡してもらい、布で拭くと袋の中に食事道具たちをしまう。
「お前はもう寝ろ」
そうぶっきらぼうにアーロンは言うと、自分が普段身に着けているフード付きのマントを脱いでエンリータに渡し、寝床を指さす。
「さすがに悪いよ」
エンリータはそう言ったがアーロンにとっては屋根なしで寝るなど良くすることであり、大地など最も背中を預けた寝床である。
「子どもが遠慮なんかするな。そもそも明日も歩く、少しでも体力を回復させろ」
体力が尽きていることはエンリータ自身、身に沁みて分かっているのもあり、渋々といった感じではあったが寝床に横になり、そう時間もかからず眠りにつき、すぐに寝息のようなものが聴こえてきた。アーロンは、たき火の前まで戻り、革袋からワインを取り出し口に含みながら今日殺した相手の事について考えていた。一見すれば間違いなくただの野盗であった。しかし3人のうち警戒に当たっていた1人は多少なりとも騎士として鍛えた事のある雰囲気だった。回収したロングソードも特に紋章などはついていなかったが帝国の隣国である小国の剣によく似ていた。であるならばやはり単なる野盗騒ぎでは無い可能性が出て来る。単なる騎士崩れが野盗に混じるだけならよくあることだ。ここ最近は国同士の争いもなく、ゆえに魔物や国境の警備の仕事はあれど何らかの事情で職を失った騎士や、争いに心を捕らわれて悪事に走る騎士と言うのは珍しくない。10年ほど前に戦争があったが、小国の国王が己の身の程も弁えず一方的に仕掛けた物であり、帝国の英雄にしてこの大陸全土の英雄に蹴散らされただけに終わった。しかし、今は完全に城門を閉じ、引きこもっている小国の騎士がこの帝国付近で野盗に混じっているのはやはりきな臭さを感じさせる。戦後、帝国の領域にはぐれの騎士が残っていないか英雄が陣頭指揮に立って行っており、あの英雄がわざわざ野盗を見逃しているとは思い難い。だとすればあの小国の国王が再び何か企んでいるか、バカなことをやっているのかもしれない。他にも色々な事がアーロンの頭をよぎっていくが結局のところ情報が足りない。アーロンはコップに残ったワインを飲み干す。それからもう消えかかったたき火に土をかけて、荷を枕に草原に身を横たえる。なんにせよ当初の予定通り、帝国のギルドにこの情報を投げてから判断することを決めて眠るのだった。
良ければ評価、ブクマ等していただければ幸いです。