ティマヌ村
アマンダ一行はティマヌ村へと辿り着いた。
「ドリャアアアアアアア!」
村の中心にいわゆるプロレスリングがあり、そこで半裸の男ふたりが戦っていた。
「いいぞ!」
「やれー!」
「おい! そこでかける技はそれじゃないだろ!」
『神の楽園』と聞いて静かなイメージを持つのはお角違いだったかもしれない……。
村の人たちは俺たちに気が付かないほど目の前の戦いに夢中になっていた。
俺たちは「どうする?」とお互いの顔を見合わせた。
アマゾニスたちなら大声でこの熱狂っぷりの声をかき消せることなど容易いが、この空気感を壊すわけにはいかない。
俺たちがただ、ひたすら、その光景を見ていると、タリパが走ってやってきた。
「お待たせしてすみません! 早速、トタル様とお戦いになりましょう!」
「今から!?」
俺はタリパの言葉につい声が出てしまった。
驚いている俺に対して、アマンダたちは冷静だった。
「どこで戦うんだ?」
アマンダは冷静に、いや、冷淡に近い声でタリパに訊いた。
「この村で一番大きい、神に選ばれたモノだけが入ることを許されたコロシアムがございます」
「トタル以外の神はどうしてる?」
アマンダはウォーミングアップアップにストレッチを始めた。
「戦いを見守ってくれます」
トタル以外の神はいったい何の神なのだろう。
この村の様子だけでは戦闘民族ではないか。
アマンダ……大丈夫なんだろうな……。
「イチロウ心配するな私は神様に……負けない」
俺たちはトルタが待つ、コロシアムへと向かった。




