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耳かき小説

落語っぽい、耳かき

作者: バスチアン

昔、こんな感じの(冒頭部分のみ)のお話が書かれた落語の本を読んだ気がするんですが、元ネタが分からないんですよね。

有識者のミミカキストがいらっしゃいましたら情報お願いします(笑)



今日、散髪屋に行ってきたんですがプロの技っていうのはやっぱり大したもんだ。シャンプーやら、髭剃りやら、毎日自分でやってるはずなんだが、やはり自分でやるよりも他人にやってもらった方が気持ちが良い。あたしの行ってる散髪屋ってのが髭面の親父さんが一人でやってる散髪屋なんだが、そいつが大層な名人だ。散髪、シャンプー、髭剃りに加えて耳かきまでやってくれる。

最近は綺麗なお姉さんが膝枕でやってくれる……なんてお店もあるんですが、実はこの耳かきをやってくれるサービス。江戸時代からあったと言われておりまして、今日はそんな江戸にあった耳かき屋の噺を一席――




 客 :おぅ! 耳の掃除たのむよ。

耳掻屋:いらっしゃいませ。松竹梅とありますが、いかがしましょう?

 客 :ほぉ、松ってのは?

耳掻屋:松は耳掻きの先が金で出来てまして、耳に入れた時の当たりがたいへん柔らかくなっております。

 客 :じゃあ、竹ってのは?

耳掻屋:これは象牙で出来てまして吸い付くような感触が特徴です。

 客 :へぇ、じゃあ梅は?

耳掻屋:梅は釘の頭でやります。

 客 :そんなもん耳の中に入れたら血だらけになっちまう。

耳掻屋:いやいや、うちの釘は特別で、かの東大寺の改修にも使われている由緒正しい和釘なんで。

 客 :それでも釘なんぞ、耳の中に入れられるもんか。竹でやってくれ。

耳掻屋:へい、かしこまりやした。それじゃあ、お耳を失礼して……

 客 :おぉっ……コイツはっ?

耳掻屋:いかがです?

 客 :悪くねぇな。象牙だったか? 耳かきの先っちょの部分が吸い付くようにピタっと当たりやがる。

耳掻屋:大きな声では言えませんが唐からの舶来品でしてね。この先の曲がった部分が耳のくぼみにピタっと当たるようになってるんですよ。ほら、こんな風に――

 客 :おぅっ!

耳掻屋:どうです。耳の穴のくぼんだ部分にピッタリ吸い付くような感触でしょう?

 客 :ああ……穴の側面に吸い付いて……耳クソがごっそり搔き出されてやがる。

耳掻屋:吸い付くように当たるんで、そいつをこうやって耳の中で擦りつけるようにすると……ほら、こんなに取れます。

 客 :おお、すげぇな。こんなにでっかい耳クソが入ってたのか。

耳掻屋:ええ、そんじゃあ、残りの耳垢を――

 客 :ちょいと待ってくれ。せっかくだし、残りは松の耳かきでやってくれ。

耳掻屋:かしこまりやした。では、さっそく耳の中を掻いていきやす。最初は少しひやりとしますが、すぐに馴染んできますんで……どうですか?

 客 :ほぉ、さすがは金の耳かきだ。穴ん中をグイグイ押されてるってのに痛くねぇ。

耳掻屋:当たりの柔らかさが金の耳かきの特徴でさ。特にコイツは佐渡島の一番いい金を使ってますんで。ほら、けっこう奥の方まで突っ込んでるんですが――

 客 :くぅ……っ!

耳掻屋:痛くないでしょ?

 客 :ああ、いい塩梅だ。耳ん中を按摩されてるみたいだな。

耳掻屋:そうでしょう。次はもう少しグイッと強く。

 客 :うぉ!

耳掻屋:ああ、ここが痒いんですね。耳の皮が中途半端に剥がれた部分がある。取りますね。

 客 :おおっ!!

耳掻屋:剥がれましたね。そんじゃ、コイツをゆっくりと外に引きずり出すんで……

 客 :おおっ、ズルズル音がしてんな。穴の外に引きずり出してんのか。

耳掻屋:ええ。こうしてズルズルと――

 客 :おおっ!

耳掻屋:ゆっくりと搔き出していきますんで――

 客 :ぬぁっ!!

耳掻屋:耳の中を綺麗にしていきましょうか――

 客 :はぁ~~~っ

耳掻屋:ほら、取れた。

 客 :おぉ……コイツはまたすげぇ量だ。

耳掻屋:まだまだありますんで、このまま取らせていただきやすね。

 客 :ああ。

耳掻屋:では、ぐいぃ~っと――

 客 :ぬぅ!

耳掻屋:耳垢を掘り出して――

 客 :ぬ〜〜んっ!

耳掻屋:じっくりとズルズルと引きずって――

 客 :ふぉっ!!

耳掻屋:ほら、また取れました。

 客 :ふひぃ〜、いい心地、極楽だ。耳掻き屋、お前さんいい腕してんなぁ。

耳掻屋:ありがとうございます。

 客 :だがな……

耳掻屋:はい?

 客 :もう少し強めで出来ねぇかい? 象牙も金も悪くねえが、当たりが優しすぎてどうにも頼りねぇ。

耳掻屋:左様でございやすか。

 客 :おう、そうだな。


……と、ここで男はぐる~りと首を巡らし、耳掻き屋の手元を見て言いました。


 客 :よし、釘の頭でやってくれ。



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[良い点] 毎度、いい案配で。綿棒片手に読んでます。 [気になる点] 最後台詞、客でわ? [一言] おあとがよろしいようで
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