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1ー⑥愛されて


何度目かのデートで初めてキスをした。




小雨が降るなか、傘を目隠しにして



「キスしてもいい?」



「…えーっと…」



それ以上の言葉は唇を塞がれて発する事が出来なかった。



彼はその後、私以上に照れて、改めて真面目な人なんだと思った。




私の成人式の日、車で迎えに来てくれた彼は、晴れ着を着た私をそのまま、彼の家に連れていった。



彼は親に結婚を前提に付き合いをしている、とその場で宣言した。



とても嬉しくて、恥ずかしかった。



私もその当時は純粋で…

悪い意味でも純粋で…




大学を卒業する頃、彼から婚約の申し出があった。


お互いに社会人として、別の場所で働く。


離れる不安もあったのかもしれない。



「お互いに社会人になるし、もう婚約してもいいだろう?」



「でも、まだ二人とも若いし、社会に出てみないと色々わからない事もあるから、もう少し先にしましょう」



彼の申し出はとても嬉しかったが、私は憧れていた会社で働ける事に胸膨らませ、気持ちが仕事に傾いていた。




社会人になっても、休みが合えば必ず会っていた。


新しい職場の話やこれからの二人の事を語り合った。




社会に出て暫くしてから、彼は積極的になった。


ラブホテルに連れていかれ、初めて彼の前に素肌を晒した。


身体を重ね、彼のぬくもりを感じる。



付き合ってから4年、今迄二人の関係はキス迄だった。



おそらく彼はかなり我慢してくれていたのだろう。



「お願い、やめて」



最後の一線…


彼を受け入れる事が、突然無性に怖くなった私は懇願した。



「…ごめん…」



「私こそ…ごめん」



「初めてだと怖いよね」



「でも、男性はきっとそのままは辛いんだよね…」



臆病な自分を恥じ、申し訳なくなって下を向く。



「大丈夫だよ」



顔をあげると、彼は微笑んでいた。



「えーっと…本当にごめんね…」




そんな私を優しく抱きしめてくれた彼が私は大好きだった。




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