#1
寝る前に、物語の続き考えてます笑
そうするとよく寝れるんですわ笑
「はぁ……はぁ……ッ!」
少年は船の上を全速力で走っていた。
そうしなければ、命がないからだ。
「あの村はヤバい…。早く山へ行って、船を断ち切らないと…!」
少年はそう呟いて走り続けた。
船から船へと飛び移っていき、あと300mくらいで山に
到達できるところまできた。
しかし、少年の足は止まってしまった。
次の船に飛び移ろうとしたが、船が切り離されていて遠くに流されている。
「残念だったな〜坊主。お前が俺たちの土地に踏みこんだ時点で、船は切り離してたんだよな〜」
少年が逃げていた対象の男が、ニヤつきながら近づいて来ていた。
「返してもらうぞー。その娘をな。」
そう言って、少年が背中に抱えていた少女を指差した。
少年は、男の方へゆっくりと振り返った。
男は30代くらいの身長180センチはある強面の大男だ。それに引き換え、少年は17歳の小柄で細身だ。
敵う相手じゃなかった。
心臓がバクバクと脈打ってる。冷や汗も止まらない。
最悪の未来を想像してしまう。その度、吐き気が止まらない。
「なんでこんなことに…。こんなことになるならこの子なんか…。いやそうじゃない…。そもそも3年前に起きた『あの災害』が悪いんだ…」
最初はみんな、ただの大雨だと思っていた。
災害なんてものは誰も予想していないうちに起きて、なんだかんだ収まり、時間と共に忘れていく。
被害を大きく受けた人達だけが深く記憶に刻まれる。
しかし、今回の災害に関しては例外だった。
決して忘れることもできず、特定の人だけではなく、全人類の心に深い傷を負わせた。
3年前、それは降った。ただの雨だ。
だが、その雨に世界が崩壊した。
最初の1年間は豪雨が続いた。
当たり前のように川は氾濫し、ダムは決壊し、すぐに海と陸の境など無くなった。
政府は試行錯誤したが、人の手でどうにかなる災害のレベルは超えていた。
あっという間に、建物は水に沈み、人々は山に避難せざる終えなくなった。
幸い山にいれば、当分は安全を確保できたが、寝床も食料も何もない。
人類は、高度な文明の中で裕福に生き、身の回りに危険など存在しないから理性を保って生きているにすぎない。
だが、災害によって今までの生活は全て消えてしまった。山の中で食料も寝床も無ければ、理性など保っていられるわけがない。
すぐに、争いが起き死者も多数出た。
その争いも、政府が食料や寝床を提供したためすぐに治まったが、食料を製造する工場なども全て水の底。
食料が尽きるの時間の問題だった。
その後政府も崩壊した。
政府の職員達も、もうどうにもならないことを察しのだろう。
手の施しようがなければ、他人よりも自分や家族を守ることを優先したのだった。
人々はあてにしていた政府は崩壊した為、山に畑を耕し食料の確保を行った。災害の影響により山を少し降れば水はある為、魚を獲るのも難しいことではなかった。
さらに村を作り小さいながら社会が再構築されたのである。
こうして災害1年目は、それぞれの山で、村が作られ、なんとか人々は生き延びていた。
2年目は、豪雨から小雨に変わった。
人々は雨が弱まり動きやすくなったので、山の木を伐採して水の上に船を浮かべて住まいを増やした。
山の中だけでは、圧倒的に寝床が足りなかったのだ。
今までは、一つの家に何人もの家族が入っていだが、やはりストレスから争いが頻発してしまった。
それを防ぐために、水の上にも居住範囲を広げる決断をしたのだ。
その行動が、意外にも順調の進み、他の山とつなぐことに成功し、他の生存者と出会うことができた。
人々は他の生存者がいることに安堵した。
しかし、村同士が繋がったことで得たものは安心感だけではなかった。
災害前は、日本という大きな一つの社会が存在した。
けれど今は、村一つ一つが小さな社会であり、それが各地に点在しているのだ。
つまり、日本が海外と文化や法律が違うように、村によってルールや方針が違ったのである。
村の人々がみんな平等な村もあれば、人によって地位が決まっている人間格差社会の村も存在した。
食料を自給自足する村もあれば、他の村を襲って奪う村もあった。
2年目は、人間同士が争い始める年となったのだ。
3年目は、2年目に比べて雨が強くなった。最初の年の豪雨ほどではなくとも、水の上に居住範囲を広げるのは難しかった。
また、2年目に比べて、雨の影響もあってか争いは減っていた。
しかし、また雨が弱まればきっと争いが起きるだろう。
村の方針によっては、山々を繋いでいる船を壊して、関わりを断ち切る村も増えてきた。
それと、奇妙の噂が流れていた。
今回の災害は、「不水族」のせいだというものだ。
何やら、何百年も前に、ある一族が、雨の神様の怒りをかってしまい、その一族が再度雨の神様の怒りをかったら、世界は雨に覆われるとかなんとか。その一族が「不水族」と呼ばれるらしい。
大半の人が、正気を失った人間が吐いた妄言だと言ったが、少数の人達が、噂を鵜呑みにして、不水族を生贄に捧げれば雨は止むという都合の良い解釈をして「雨神教」という不水族を探す宗教団体が立ち上がったのである。
人は何かに希望にすがっていきたいのである。
それが、例え真実でなくても。
そしてついに4年目。
人類は、この年で大きく文明が動くのだった。