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第七章 啓子、酔っぱらう

やがて後期試験になり、試験終了後、亮太が、「終わった~。春休みはどこかに遊びに行こう。」とあかりと啓子を誘った。

春休みは、亮太達はスキーに行った。

今回はスキーツアーに申し込まず、周遊券を購入して民宿も自分達で予約して出掛けた。

夜行列車で朝、東北に到着して、民宿に荷物を置いてスキーの道具を借りて、さっそく滑りに行った。

今回もスキーの道具は、夏に買うと安いとの亮太の助言により貸しスキーにした。

その日の夕方、民宿の食堂に行くと、「陽子さんじゃないですか。」と声を掛けられた。

亮太は、「あら、隼人さん、また会ったわね。」と挨拶した。

民宿のオーナーが、「お知り合いですか?」と確認した。

隼人は、「ええ、そうです。明日の朝食から食事席を一緒にして頂けませんか?」と啓子をゲットするチャンスだと閃いてオーナーに依頼した。

オーナーは、「よろしいですか?」と亮太に確認した。

亮太は、「ええ、いいですよ。」と啓子が目当てかな?と感じた。

    **********

隼人達は食事しながら、「先日の話の内容から、啓子さん達は大学生のようでしたが、皆さん、同じ大学ですか?どこの大学ですか?」と亮太達の事を知りたそうでした。

泉が、「私だけ大学は違うのよ。」と説明しようとした。

亮太が、「歳もね。」と笑った。

泉は、「五月蠅いな。どうせ私はおばあちゃんよ。」と不機嫌そうでした。

隼人は、「泉さんが引率してきたのですか?」と矢張り泉さんがこのグループの中心人物だと確信した。

あかりが、「陽子さんは行動力もあり安心できるから、私は陽子さんについてきたのよ。」と説明すると啓子も、「私もそうよ。」と同調した。

隼人は小さな声で男性グループに、「おい、矢張り、このグループの両輪は泉さんと陽子さんのようだ。」と啓子奪還の為に、二人と仲良くしようと考えていた。

    **********

やがて食事も終わり、それぞれの部屋で着替えて滑りに行った。

隼人達男性グループは、「おい、彼女達の事を聞いていて、今日はどこで滑るのか聞いたか?」などと亮太達を捜していた。

「やめとけ、また陽子さんから上級者コースに誘われたらどうする?男として断れるか?恥かくだけだぞ。」とスキーでは亮太に敵わないと助言した。

「じゃあ、どうする?啓子ちゃんを諦めるのか?」と啓子奪還方法を考えていた。

「夕方、この近くで喫茶店か飲み屋を捜しに行こう。今夜誘って飲みに行こう。」と雑談しながらスキー場に向かい、スキーを楽しみ夕方早目に切り上げて、適当なデートスポットを捜した。

その後、民宿に戻って夕食時、食堂で亮太達をスナックに誘った。

スナックに向かいながら、男性グループが啓子に気を取られている間に泉は亮太に、「亮太の体は誰のかわかりませんが、その女性はアルコールを飲めるの?」と心配していた。

亮太は、「俺は体の調子をみながら飲めるが、あかりと啓子はアルコールを飲んだ事がなく限界を知らないから酔いつぶれる可能性がある。俺と泉とで二人を抱えて帰る事になる可能性もあるから覚悟しておけよ。」と忠告した。

泉が、「私と亮太で止めれば大丈夫だよ。でも亮太だって、その女性の限界を知っているの?手術当時は確か十七だったかしら?アルコールを飲んだことのない女性じゃないかしら。大丈夫なの?」と亮太の事を心配していた。

亮太は「小娘じゃあるまいし、大丈夫だ。」と信頼されていないようで不満そうでした。

    **********

やがて男性グループが捜しておいたスナックに到着して入った。

スナックで飲んでいると、男性グループは啓子のまわりに集まった。

亮太は、やはり啓子が目当てか。と感じて、男性グループの切り崩しを始めた。

亮太は泉に、「男性グループの中心人物だと思われる隼人をデュエットに誘うから、泉、男性グループに割り込んで啓子を救い出して。」と依頼した。

泉は、「亮太ではなく、何故私が割り込むのよ。男性グループに割り込むのは得意でしょう。」と逃げ腰でした。

亮太は、「歳の功だよ。」と笑った。

泉は、「もう、亮太は二言目にはそれなんだから。」と不愉快そうでした。

亮太は、「なに、すねているんだ?男性グループに割り込んで話をするだけなら大丈夫だろう。リーダーがいないから、腑抜けだけじゃないか。それに比べてリーダーは女癖が悪そうで、歌っているときに、肩から始まって腰などいろんなところを触られそうだぞ。泉にそんな事はさせられないよ。俺は男に触られても平気だから。」と泉を説得した。

泉は、「だったら、年の功だなんて言わずに最初からそう言いなさいよ。」と不機嫌そうでした。

亮太は、「説明が長くなりそうだったので、年の功だといっただけだ。そういう事だから啓子の事を頼んだぞ。」と席を立って隼人のほうに行った。

泉は、「了解、任せて。」と啓子を救い出そうとした。

亮太は、「隼人さん、カラオケでも歌いませんか?私とデュエットしませんか?」と隼人を男性グループから引き離そうとした。

隼人は啓子奪還の為に、亮太と仲良くなるチャンスだと判断して了承した。

亮太と隼人が歌っている間に泉が、「盛り上がっているわね。何の話をしているの?啓子ちゃん、ちょっと飲み過ぎよ。」と割り込んだ。

啓子は、「まだまだ、大丈夫よ。」とはしゃいでいた。

    **********

隼人と何曲か歌ってカラオケを終わらせた亮太がそんな啓子をみて、あれはまっすぐ歩けないな。座っているから気付かないんだな。と感じた。

亮太は啓子の近くで、「トイレに行きたくなってきたわ。」と啓子の様子を見ていた。

啓子は、「私もトイレ!」と立って歩き出すとフラフラしたので亮太が支えた。

亮太は、「啓子、歩けないじゃないか。帰ろう。」と泉とあかりも一緒に帰った。

隼人は、「いいところで、陽子さんにじゃまされたな。啓子ちゃんの羞恥心がアルコールでマヒして、胸のボタンを外したり、スカートをたくしあげたりしだしたので、あともう少しで、ブラジャーやパンティーが見えたのにな・・・」と残念そうでした。

    **********

翌朝、啓子は起きられなかったので泉が、「私が啓子ちゃんについているから、亮太はあかりさんと滑りに行っても大丈夫よ。」と啓子を一人にするのは心配で、全員残れば啓子もショックを受けるだろうと判断した。

夕方、亮太が民宿に戻ってきて、「啓子、大丈夫か?」と心配していた。

啓子は、「ごめんなさい、昨日は飲み過ぎました。」と申し訳なさそうでした。

あかりが、「おかげで、今日は陽子さんにマンツーマンで教えてもらったわ。」と嬉しそうでした。

亮太は、「アルコールは足だけではなく羞恥心もマヒさせるのよ。男数人の前で、スカートをたくしあげていたの気付いていたか?これもいい経験だよ。アルコールは慣れるまで、異性と飲みに行くのは辞めたほうがいいわね。」と忠告した。

あかりは、「陽子さん、何故そんな事に気付いたの?私は全く気付かなかったわ。」と陽子さんは色々と頼りになると感じた。

泉は、「陽子ちゃんは男心を知り尽くしているから、男性達が何を考えているのかわかっているのでね。」と亮太を見て笑っていた。

亮太は、「あいつらの考えている事は手にとるようにわかったよ。啓子ちゃんの胸元のボタンを外させる為に啓子の近くで、暖房が強くて暑いなと自分の胸元のボタンを外すのよ。それにつられて啓子も本当に暑いわねと胸元のボタンを外したのよ。男性グループに唆されて、スカートまでたくしあげちゃったわね。」と笑っていた。

啓子が、「えっ?私そんな事をしたの?まったく覚えてないわ。」と顔を赤くして恥かしそうでした。

泉は亮太の腕を引っ張り、「昔、亮太がまだ男性だったころ、私に同じ事をしたわよね。あれは、私に胸元のボタンを外させる為にしたの?」と亮太を睨んだ。

亮太は、「泉が、あそこまで胸元を広げるとは思わなかったよ。」と大笑いした。

泉は、「なんですって!亮太のH!」と怒った。

    **********

あかりは二人が揉めているようでしたので、「陽子さん、スキー歴は長そうですが、今まで何か面白い話はありませんでしたか?」と二人の間に入った。

亮太は、「色々あるよ。スキー客は滑る事しか考えてなくて、あまり周りを見てないのよ。千円札を拾った事もあったわよ。」と泉に攻められていたので助かったとあかりに感謝していた。

泉は、「ちゃんと届けたの?」とまだ怒っている様子でした。

亮太は、「そんなん、わざわざ届けないよ。落とした本人も気付いてないよ。」といつまで怒っているのだろうと呆れていた。

啓子が、「本当に?明日は周りを見ながら滑ろう。」と落し物に期待した。

泉が、「そんな落し物は滅多にないわよ。スキーに慣れない啓子ちゃんがそんな事をしたら、人とぶつかるわよ。陽子ちゃん、変な事を教えないで!」と忠告した。

翌朝、民宿で朝食時、啓子は隼人達に警戒していた。

朝食後亮太は啓子に、「もう大丈夫か?」と心配していた。

啓子は、「心配かけてごめんね。昨日一日ゆっくりしたからもう大丈夫よ。」と亮太達とスキー場に行った。

    **********

しばらく滑っていると啓子が、「下ばかり見ながら滑っていると、曲がるタイミングを見逃して、コースの端まで来てしまったわ。助けて。」と助けを求めた。

亮太が啓子の横に来て、「谷側の足を上げてスキー板を立てて、・・・・。」と亮太はキックターンの説明をしながら見本を見せた。

亮太達は、その後もスキーを楽しみ今回のスキー旅行は終わった。

帰りの夜行電車の中で啓子が、「成績表は大学から郵送されてくるのよね。帰った頃には郵送されているかしら。」と心配していた。

亮太は、「だから、先生は何人の学生の採点をしていると思うのよ。まだだと思うわよ。」などと雑談しながら帰った。


次回投稿予定日は、3月6日を予定しています。

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