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第二章 亮太、女子大生になる

亮太は、新しく取得した戸籍で芹沢陽子として生活していた。

泉は、トイレや風呂や生理の事など、苦労しながら亮太に教えていると、あっという間に一か月が過ぎた。

その頃には亮太も顔はふっくらとしていて、すっかり女性っぽくなっていた。

女性について何度も教えていると、少しは覚えてきた。

亮太も、女性の事を色々と覚えると少し落ち着いたので、次の段階に入ろうとした。

泉は、「やっと落ち着いてきたわね。亮太は何も考えられないようなので、保険証の事など手続きが大変だったのよ。免許証は、ほっとけば失効になるから、芹沢陽子として教習所に通いなさいね。男性との結婚に抵抗があれば、高卒認定試験を受けて大学受験しなさい。卒業後、社会人になるのよ。」と将来の事について提案した。

亮太は、「取り敢えず、大学進学する事を目標にして大学生になり、その時に色々と考えるよ。」と大学に進学する決心をした。

亮太は、やがて高卒認定試験に合格した。

亮太は、「一生で二度も大学受験勉強をするとは思わなかったよ。」と呟きながら受験勉強する一方で、受験するする大学を検討していた。

泉が、「そんな大学は駄目よ。女性に慣れる為に女子大を受験して女子寮に入寮するのよ。」と亮太は、まだ女性に成りきっていないと判断していた。

それに、スカート姿でパンツ丸見えの体制になるので、男性と会わせたくない様子でした。

亮太は、「女子寮だなんていやだよ。共同風呂だったらどうすんだよ。入浴時、自分の裸を見るだけで興奮するのに、他の女性と風呂に入ればぶっ倒れるよ。」と拒否した。

銭湯だったら、子供やお年寄りもいて若い女性は少ないと判断して、共同風呂だったら、銭湯に行くように促そうかとも思ったが、亮太一人で行かせると、男湯に入って問題にならないか不安でしたので、女子寮は諦めて、もう少し女性に慣れれば亮太を銭湯に連れて行くことにした。

泉は、「将来的には銭湯にも行けるようにならないとダメよ。急には無理だから、今回は女子大に入学する事が目標ね。大日本女子大などはどう?」と大学内部の事までは手が回らないので、男子学生がいない女子大入学だけさせて、女子寮に入寮させる事は今回諦めた様子でした。

亮太は泉に押し切られて、女子大を受験する事にした。

女子寮に入る事は何とか断ったので、まあいいか。とあきらめた様子でした。

受験する大学が決まったので、受験勉強をしながら大日本女子大の傾向と対策を研究していた。

受験当日、泉は、「頑張ってね。」と亮太を送り出したものの、亮太が女子大に入学する事を嫌がっていたので、わざと不合格になるように悪い点を取らないか心配していた。

亮太が受験から戻ってきた。

亮太を信じて余計な事は亮太に聞かなかった。

数日後、大日本女子大から合格通知が郵送されてきた。

泉は、取り越し苦労だったと安心して、亮太に余計な事は聞かなくてよかったとホッとしていた。

    **********

亮太は女子寮に入寮しなかった為に、泉は大日本女子大の近くに下宿する事を勧めた。

泉は、通学電車に亮太一人乗せると何が起こるか心配で、下宿屋さんだと恐らく女性ばかりだから大丈夫だろうと考えていた。

亮太は、生理の処理など泉に手伝ってもらっていたので、そのままズルズルと泉と同居していた。

泉も、今の亮太を男性がいる場所へは行かせたくなかったので、無理には追い出さなかった。

数ヵ月後、泉は、「亮太、授業が終わればすぐに帰っているの?それだと女子大生の友達ができないでしょう。何の為に亮太に女子大に進学する事を勧めたと思うのよ。」と不満そうでした。

亮太は、「女ばかりだから、すぐに帰っているよ。」と友達を作る様子はありませんでした。

泉は、「女子大だから、女性ばかりなのは当たり前でしょう。」とため息を吐いて、亮太の友達作りに一肌脱ごうと思っていた。

泉は亮太に、「通学が大変でしょう。大学の近くに引っ越そうか。」と泉の通学が大変になるが、女子大にも顔を出したかったので引っ越しする事にした。

学費や生活費は親の遺産があったが、こんな体になって将来どうなるかわからない為に、無駄遣いできないと考えて近くの喫茶店でウエイトレスのアルバイトをしていた。

泉は亮太の事が心配で、内緒で喫茶店のマスターに亮太の事をそれとなく聞いていた。

「陽子さんの友達ですか?あれだけ美人なのに、男みたいにがさつでもったいないですね。もっと女性らしくすれば、玉の輿も夢ではないと思いますよ。」と女性らしくすれば、喫茶店の看板娘になり売り上げ増も夢ではなく、それとなく泉に協力依頼していた。

    **********

泉は亮太の事が心配で、たまに女子大に様子を見に行っていた。

女性と、うまく友達になれない亮太の為に、泉が間に入り、資産家の娘で少しオッチョコチョイなセミロングの小川啓子、お嬢様育ちの冷静なショートカットの津村あかりと友達になった。

亮太は二人に泉の事を、ルームシェアーしている友人として紹介した。

泉が帰ると亮太は啓子から、「陽子がルームシェアーしている友人、何?あれ。姉か母親気取りで陽子をコントロールしようとしているように感じたわ。あんな友達とは別れて一人住まいしたほうが陽子の為よ。」と泉にいい感情は持っていませんでした。

亮太は、「泉は俺の親友だ!悪口言うな!」と最愛の女性、泉の悪口を言われて黙っていられなかった。

啓子は、「俺?陽子、いままでもそうだけれども、興奮すればたまに男言葉になっているわよ。」と言葉づかい悪いなと感じた。

あかりは、「年上の彼女を“泉”と呼び捨てにしている事から考えて、二人は親友なのね。信頼できる友達がいるだなんて羨ましいわ。」と納得していた。

    **********

泉と一緒に帰った同級生が戻ってきて、「陽子、あなたの友達の泉さんが校門をでた所で不良に絡まれているわよ。」と亮太に知らせた。

亮太は急いで校門に向かい、「この娘に手を出すな!」と不良達と争って追い払った。

泉は亮太に、「亮太、怖かった~」と泣きながら亮太にすがりつき、思わず男の名前で呼んでしまった。

啓子は、男言葉を使うだけあって強いなと感心していた。

あかりは、泉が陽子の事を亮太と呼んだ事を見逃さず、二人には何か秘密があると確信した。

その場に居合わせた柔道部員の野口多津子が、亮太が不良を撃退する様子をみて、「あれは柔道だわ。」と柔道部に勧誘した。

亮太は、「アルバイトもしているし、その他にも色々とあり忙しいのよ。」と通院している事を説明すれば、その場にいた、あかりや啓子を心配させると判断して説明しなかった。

しばらく説得しても亮太は入部しなかった。

多津子は諦めて柔道部に戻り、先輩に相談した。

先輩は、「わかったわ。柔道部に勧誘しましょう。明日校門で張り込んで、尾行して入った教室を確認して私たちに知らせて。」と明日、みんなで説得に行こうと考えていた。

    **********

翌日教室に柔道部の先輩数人がきた。

亮太は、昨日、校門で私を説得していた柔道部員が校門から俺たちを尾行していたが、やはりきたか。と思っていた。

柔道部の先輩が柔道部に入部するように説得した。

亮太を説得しても無駄でしたので、一人の先輩が亮太に手をだすと、亮太はその先輩を簡単に柔道で撃退した。

他の先輩達が、「やる気か!」と亮太に襲いかかったが、全員亮太に柔道で倒された。

柔道部に逃げ帰ると、柔道部OBの本田恵理子が様子を見に来ていて、先程の出来事を報告した。

恵理子は、「お前達、試合が近いでしょう?確か勝ち抜き戦だったわよね。彼女が相手選手だったら、一人も倒せず完敗ね。勧誘するより、ここは試合だけでも力を貸してほしいと依頼すればどうかしら。」と助言した。

翌日から毎日柔道部員が、代わる代わる教室まできて、亮太に試合だけでも力をかしてほしいと頼んでいた。

その様子を見ていた泉が帰宅後、「この様子だと、そのうちに私達のマンションにまで押し掛けてくるわよ。試合だけでも力を貸してあげれば?」と柔道部問題に巻き込まれたくなく、亮太に柔道の試合に出場するように、助言した。

亮太は、「男が女の試合に出場してもいいのか?」と乗り気ではありませんでした。

泉は、「亮太の体は女性だから問題ないわよ。」と柔道部問題に巻き込まれたくないので亮太を説得した。

    **********

数日後、亮太は柔道部の多津子より、「来週、柔道の試合があるので試合に参加してほしい。」と依頼されて了承した。

試合当日亮太は、大日本女子大の代表選手として試合に参加した。

先方の亮太は、第一試合、五人抜きで、亮太一人で相手選手全員を一本勝ちで倒した。

多津子は、「あの大学には去年敗退しているので、今年はどうなる事かと思っていました。陽子さん、強いのね。」と他の柔道部員と感心していた。

その後、第二試合もその後の試合も、亮太は五人抜きで他の選手の出番がありませんでした。

決勝戦も、結局亮太は五人抜きで優勝した。

オリンピックからの誘いもあったが、体を調べられるとさすがに不味いので、泉とも相談した。

「亮太はセックスチェンジではないので、体を調べられても大丈夫だと思うけれども、体の動きは脳が覚えていて男性のような柔道なので、金メダルを獲得できる可能性があるわ。あまり有名になると検査ではなく、そこから亮太の事がばれる可能性は否定できないわ。下手すれば金メダル失格になり、世間の笑いものになる可能性があるわよ。」と指摘された。

泉の指摘に納得して、オリンピックは辞退した。

    **********

その後も亮太は、啓子やあかりと楽しく大学生活送っていた。

啓子は亮太がいろんな事で頼りになると感じていた。

あかりは時々亮太が男っぽく感じていた。

啓子が風邪で休みの日、亮太と二人っきりになった時に、思い切って先日泉が陽子を亮太と呼んだ事を問いただした。

亮太は飲んでいたお茶が鼻に逆流してうろたえていた。

あかりは、「その慌てようは、やはり何かあるのね。セックスチェンジしたの?だから、あれだけ強いの?泉さんもセックスチェンジしたの?二人はセックスチェンジ仲間なの?」と疑っていた。

亮太は机を強く叩いて立ちあがり、「泉は俺と違って、生まれた時からずっと魅力的な女性だ!」と怒っていると泉がきた。

泉は背後から亮太の肩を叩いて、「ばれちゃったわね。そんな大きな声を出すと、他の人に聞かれるわよ。」と亮太を落ち着かせようとした。

あかりは、「やはり何かあるのね。あなた方はどんな関係なの?」と二人の関係を知ろうとした。

泉は、「場所をかえましょう。」とあかりを二人がルームシェアーしている部屋に連れてきた。

泉から説明を聞いたあかりは、「嘘でしょう?」と信じられない様子でした。

亮太が男だった頃の顔写真が、陽子とそっくりな事や、首の手術痕や入院時の記録などから泉の話が真実であると確信して、あかりはSFのような話に混乱して絶句していた。


次回投稿予定日は、2月14日を予定しています。

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