第6話 〜またやられてしまいました〜
今回はアンナ視点が中心になります。
アンナお姉様の声と身体が吹き飛ばされたのがほぼ同時だった。激痛が体を走る。結局死んじまったのか、俺、、
英雄の意識はそこで途絶えた。
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〜アンナ視点〜
しまった。完全に油断していた。
まさか、この街道でこんな高ランクが出るとは、
「エルダーウルフ。ランクBが何故こんなところに。最近この街道で商人が行方不明になってるとは聞いていたけどコイツが原因だったのね」
腰に差した愛用のロングソードを抜く。ランクBなら1人でどうにかなるはず。生憎、さっきまで一緒にいた男は一撃で吹き飛ばされてしまった。早くケリをつけないと本気でまずい。
「まずは小手調べからね。水属性付与」
水属性魔法の膜を剣全体に張り巡らせる。そうしないと魔物には攻撃がほとんど通らない。中段に構え、エルダーウルフと対峙する。瞬間、目の前から姿が消えた。咄嗟に剣の腹で爪撃をうける。
早い。さすがは犬型、スピードが違う。
「魔剣・雪月花」
剣を横凪に振るう。雪月花は剣の軌跡から2メートルにわたり空気を凍らす中級魔法の派生形だ。よし。どうにか、やつの両脚を凍結させた。一瞬怯んだ隙に横から攻め込み、後ろ足の腱を切る。ダメージが大きいのか、エルダーウルフが大きく吠えた。
「ウォオオオオン!!!」
「どうやら効いたみたいね。畳み掛けるわよ。」
剣先を地面に突き刺す。件を中心にして魔法陣が浮かび上がる。
「水魔法派生。『我、白氷の女王にて宣言す。地に眠りし恵みの雨よ、今一筋の刃になれ』」
魔法陣から一直線に白い線が伸びる。その直線上にいるエルダーウルフがどうにか逃げようとしたが、足の腱が切られており避けるのが間に合わない。
「雪月花・氷刃」
地面に伸びた線から一直線に氷の刃が突き出た。逃げきれなかったエルダーウルフの下半身がそれにより切断される。一瞬にしてその姿は煙になり、風に乗って消え去った。その地面に黒い玉が落ちていた。それを拾ってよく見るとほんのりと赤く芯のほうが光っている。
「なるほど。このエルダーウルフの属性は火だったのね。やつが魔法を使う前に決着つけれてよかったわ」
そう言って手持ちの袋にしまい、急いで吹き飛ばされた英雄に駆け寄る。肋骨は折れてると思うがまだどうにか息はある。
「仕方ない。師匠のところに急いで運ぶしかないわね」
担架で運ぼうにも1人しかいないため、諦めて背中に背負いラナシータの街から少し離れた隠れ家まで急いで向かった。
思った以上にアンナが圧勝してしまいました。
やはり、Aランク冒険者は強いですね、、