第2話 〜美人剣士に出会いました〜
ヒロイン登場しましたー!
魔法とかモンスターについては後々説明していきます。
黒いアイツが迫ってくる、、
太ももの血は止まらず、凄く痛い。
スライムがまたサイズを変えて、大きく広がって自分を飲み込もうとする。反抗する気力もなく、ただ飲み込まれる瞬間をスローモーションのように感じていた。
ああ、死ぬのか俺、、、
諦めかけた、その瞬間だった。
「そこまでよ!」
突如女性の声が聞こえた。
今にも自分を飲み込もうとしていたスライムと自分の間に、サッと人影が入り込むのが見える。
『水魔法付与 魔剣・雪月花』
彼女がそう呟いた次の瞬間、目の前のスライムは一気に凍りつき、完全に動きを止めた。それを見届けると目の前の影は、手に持った剣を大きく振りかぶって、そのスライムを叩き割った。
スライムは粉々になって砕け散ると、煙になって跡形もなく消えた。
「大丈夫、、じゃないわね。ほら手を貸して」
そう言って手を差し伸べたその人は、まさに絶世の美女という名がふさわしいほどの女性だった。
長く腰まで伸びた髪は黄金色に透き通り、彼女の肌の白さをより際立たせている。顔は目鼻立ちがハッキリとしていて、西洋人に近い顔の造りをしている。正直、今まで見てきた女性の中で群を抜いて美人だ。
「ねえ、ずっと手を伸ばしてるのつかれるんだけど」
そうだった、すっかり今の状況を忘れていた。
見ると、彼女が手をプルプルさせている。
「ああ、ありがとうございます」
そう言って彼女の手を取った。正直に言います。めちゃくちゃ柔らかくて幸せでした。
*******************************
「はい、これで治療完了。とりあえず消毒して傷は縫合したから。後でしっかり治療院に行って、神魔術をかけてもらうことね」
「神魔術ってなんですか?」
そう尋ねると彼女は不思議そうな顔をした。
「あなた、神魔術を知らないの?今まで病気の時とかどうしてたのよ」
「病院に行って薬をもらってました」
「病院?聞いたことないわね。あなた、どこの生まれの人?」
きた、異世界に来て最初に乗り越えなければいけない問題。出身地。テンプレ通りにするなら東のはずれの国と答えるのが正解だが、果たして。
「東のはずれにある国から来ました」
「東のはずれ?この国の東はずっと海のはずだけど」
マジか。テンプレ通りにいかないやつだ。
「ああ、海に流されて気がついたらこの国についていたんです」
「ふーん?あのよく分からない木の棒の入った布袋を持って?」
そう言って彼女が示したのは俺の竹刀袋だった。
「それにこの時期は、海が大荒れで危険な海竜が出るはず。生きて辿り着くとは思えないわ。あなた一体何者?」