5-2 自作剣技<2>
ネタバレが少しあります。
見たくない方はpixiv版を用意しますので、そちらをご覧ください。
(完成予定―7月末から8月末)
少し説明したが、改めて。
俺、カズキこと和川周樹。
訳あって今は現実の方にいる。
そして、向かい側に座っているのは『ソードエンズ・オンライン』というゲームのGMをしていた、ボルタという男だ。
「で、本当は新ゲームの製作援助を頼みに来たんだろ?」
「・・・やっぱりこの人に隠し事は出来ないな」
どうやら図星らしい。そしてボルタは話を続ける。
「そう、あの最近出た・・・のかどうかは知らないが、またゲームを作る仕事をしようかな、と思ってね」
―――怪しい。
「また引っ掛けたりして・・・」
「だから言ったじゃないか。約束すると。――最初に頼むときに」
身に覚えはないが、続ける。
「・・・最近は少し信じても良いかなって思ったりしていたとこだ。協力しよう」
「協力感謝する。では本題だ。―――まず、EN:Oはどんな感じだ?」
「どんな感じも何も、完璧な異世界だけど――」
ここでボルタは首をかしげた。疑問に思っているように。
「本当の異世界かね?少なくとも、私には違うと思うんだが」
俺は、絶句した。―――そしてこの男からはまたとんでもないものを作る気もした。
「・・・つまり、本当の意味の異世界を作ろうとしているのね」
と、ここで遠い昔、しかしはっきりと記憶に残っている声を聞いた。
―――リーナだ。
(いまだに知らないが、ソードエンズ・オンラインのリーナとEN:Oのリーナは同一)
「・・・リーナ、だっけ?」
「そうよ、カズキ。あと、呼び方間違ってる」
「・・・そっちもだろ・・・」
その会話を聞いていたボルタは、微妙にだが笑った。
「さて、全員揃ったかな?では、話を続ける」
そうして、少しの間話が続いた。
「さて、ここまでで質問は無いかな?」
「あるけど」「あるわよ」
俺とリーナのタイミングは同時だった。
「んじゃ、カズキからどうぞ」
そう言われ、すっと答えた。
「そのゲーム、本当に人に害は無いんだな?聞いたところ、結構危なそうだけど」
リーナも同感と言わんばかりに頷くと、ボルタが答えた。
「無い」
即答だったが。
「その証拠というか、きちんと説明してくれないか?」
「説明がないと、誰も納得しないわよ」
俺の後のリーナの追撃が、割と強かったらしい。
「・・・分かった、きちんと説明し直そう。―――真・異世界プロジェクトを」
俺は息をのんで、その話を聞くことにした。それはリーナも同じらしく、俺と同一の行動をとった。
ボルタは話し出す。
「これまで、一度の大きな過ちをしてしまった。君たちも知っているだろう?それはともかく、『ソードエンズ・オンライン』によって大勢の人が亡くなってしまったことだ。君たちがゲームをクリアした時、いや、それ以前から私の手元に警察の色々な書類を貰った」
「「・・・」」
「・・・それからは良い人間になろう、と決心したんだよ。そうして、とあるサイトによって流れてきた『英雄・カズキ』という名前と書かれてあった電話番号を頼りに・・・」
ボルタの指が俺に向けられ、彼は続けて、
「君、カズキ君を見つけたのだよ」
ここで、ん?と一つ疑問に思ったことがある。
「ちょっと待った。俺たちと出会った場所はあのカフェだろ?どこから情報を手に入れたんだ」
「ん?・・・それはね、広まっていたからなんだよ」
『情報が』という言葉が抜けていたが、意味としては充分だった。――少なくとも俺は。
「なるほど、それで待ち伏せていてそれらしき人に声をかけていったんだな」
少なくとも納得しただろう――リーナの事だ――が、質問の答えにまでたどり着いていない。
ボルタが、少々申し訳なさそうに話を続ける。
「・・・ここまで、分かってくれたかな?知っている事も多かっただろうが、続けるぞ。
その後、6年の末に異世界一時的転移ゲームである『異世界サーチライト』が開発されて、ようやく分かったんだよ。――私は、ゲーム開発をしてこそこの世に必要な人材になれるのだと」
ここまでが、ボルタの軌跡だ。そして、その道が、さらに切り開かれようとしている。
「・・・しかし、『ソードエンド・オンライン時代の仲間は全員ゲーム業界に手を出さないと決めたらしく、全員が他の仕事をしていたらしい。呼んで答えてくれた人は一人もいなかった」
少しボルタは目を逸らして、また話し出した。
「そうして、藁にも縋る勢いで手伝ってくれる人を、と思って君たちを今日呼んだんだよ。
それと、確か安全なのか、とか訊いてきたな。それは保障しよう。――というより、まだ作成段階でね」
そう言ってカバンからスティック状のものを取り出した。
「これが、作成段階のデータだ。とくと見たまえ」
「・・・?」
使い方が分からず、困っていたところ・・・。
スティックが青白く光りを放ちだし、ヘルメットの様な形のデータが壁に映し出された。
「・・・何だろう、すごく懐かしい」
そう、このヘルメットは、『ソードエンズ・オンライン』で使われた機械を再現した形になっていた。
「分かって頂けたかな?・・・これ以降の判断は君たちに任せるよ」
そうして、ボルタは置手紙をして、店から出た。
いい加減、区切りをつけたいですがまだ続きます。