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エネクトロニック・オンライン2  作者: milink
本編2―広がる世界―
8/25

5-1 自作剣技<1>

 シュータは、端の知れない森の中で、匍匐前進をしていた。

 正直、意味のあることじゃない気がするが、弓使いに当たると厄介だからこの格好ということだ。


―――――


 このとき僕、シュータは、リーナの使っていた剣技、それも自作剣技の事を考えていた。

 自作剣技。それは、戦闘で大いに活躍し、一気に敵を倒したり、一点集中技を作ったりなど、使いようによって様々だ。しかし、それほど強い分、デメリット、つまり難点も存在する。

 1つ目。その人の動きによって、隙が出来ること。今のが、この技の最大と言っていい難点だ。

 プレイヤーには、無数ともいえる性格と、行動法がある。行動法とは、その人の行動に対する得手、不得手の事だ。

 ()()()()()()()()()()()()()()のも、このゲームの特徴だ。というより、ゲームでなくてもそれは関わってくる。

 そして、リーナの作った自作剣技は何とも言えない程、システムに任せきっていた。技の組み方を、単純にしすぎていた。

―――それが、リーナの弱点であったのも、事実だ。



 ここまで考えていた頃、推測25メートル先のプレイヤーが、弓での射撃をしてきた。

 やっぱり使うしかないのか、と思いながら僕はあるものを取り出した。それは対ボス用に取っておいた、グレネード。それを、容赦なく投げて、敵が―――

 そのグレネードを撃ち落とした。そんなことができるのに、まだ僕が倒されない理由が分からなかった。

――1秒前までは。というより、近くにもう1人いたことに気付かなかっただけだった。

「まだいるのか!!」

 小声で、相手に聞こえないように、しかしはっきりとそう言った。

 マップだと、今は森の東端、そのまた東には岩山があって、弓使いのほうは森に、もう一人は森に来ようとしたところのようだ。

 その弓使いは明らかに手錬で、恐らくもう一人の方は片手か両手の剣使い。剣士の方が矢を弾き落とせるならまだしも、行動法がリーナと同じ、つまり初心者という事だ。

―――その後なら、こっちに来るだろう。

 僕はそう予想して、今後を考え始めた。

 今からは逃げて、次出会えば攻撃するか。それとも、今から二人を敵に回すか。

 前の方が安全だが、ここで逃げて勝てる可能性が高いとは言えない。とはいえ、後の方だともっと危険だ。―――もう、これでどうするべきなのか分かった。

―――逃げる!!

 そうして、少しの音を立てながらだが、僕はその場から立ち去った――否、逃げた。

(お願い、しばらくは敵とは遭遇しないで!!)

 そう願い、もの凄い音を立てて走り出した。



―――――



 倒された後のリーナは、街に戻るまでの間、

「ここ、どこ?」

 なにも無い空間の中で、一人彷徨っていた。

 説明は難しいが、薄暗い空間の中に、線上に何本もかすかな青白い光が差してくる。

 そして、その中に一人、閉じ込められているのだ。

「・・・」

 リーナはいつものようにウィンドウを出そうとする。ここまでは良かったが。

「・・・?」

 真ん中に『スキャニング中』としか書かれていて、その下には『58%』と書かれてある。

「何、これ・・・」

 分からなかったが、何かが起きている事は確かだ。


 そして、数分後。

 数値が100へと変化し、眩しい程の青白い光を見た直後。

―――街に、戻っていた。

「何だったんだろう・・・」

 分からないまま、その場に立ち尽くしていた。



―――――



 その頃、カズキは、現実(リアル)の方にいた。

「なんか、懐かしいな」

 ここはとある喫茶店。珍しく『ここに来てくれ』と招集されたので、仕方なく来たような感じだが、少しだけ懐かしんでる。

「・・・珍しいな、自分の足で来てもらう事なんて」

「質問なんだが、あんたが呼んだんだよな」

「・・・そうだけど何か?」

 なんか会話内容が馬鹿馬鹿しくなり、溜息をついた。そして、その人に訊いた。

「で、今日呼んだ理由は?」

「久しぶりでさ、なんかまだいるのか気になってね」

「まさかだけど、生存確認?」

 その人はこくりと頷いてきたので、言い返そうとしたがこの後始末が面倒臭いのでやめた。

「じゃあ、こちら側からも訊かせて貰うよ。私が誰なのか、本当に覚えてるか?」

 そんな質問だろうと予想はしていたが、見事に当ててしまう自分が、もしくは相手の質問の内容が情けない。

「当たり前だろ。『あのゲーム』のGM、ボルタさんだろ?」

 ボルタと呼ばれたその男は、あのゲーム――詳しくは外伝にて――のゲームマスター、つまり、あのデスゲームの運営代表なのだ。どうやら改心したらしく、いつの間にか「一度だけ」として手を貸した後、頻繁に俺が呼ばれては手伝わせられる事になっていたのだ。

「正解。六年も前の話なのに、よく覚えてるね」

「・・・あんなに忘れたい記憶は無いけど、残念ながら記憶力だけはいいんでね」

「つまり、こう話すことは良いってことかね?」

「これも忘れたい思い出の一つだよ!!」

 流石に突っ込まずにはいられなかった。


この部分より、不思議な進行を開始します。

そして、続きます。5-2「自作剣技<2>」は6月上旬ごろ。

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