19 過ちとその償い<2>
お久しぶりです。
「大丈夫か!? 一度意識が飛んでたぞ!?」
この声は、カズキの声。しかし、どう足掻こうとも声一つでない。
恐らく、毒が発言を拒否しているのだろう、私、ネオは何もできずにいた。
「早くこれを飲んで回復するんだ!!」
瓶を渡してくる。これは多分、解毒薬だ。
それを私の口に入れようとした時、不幸にも、相手の目線が。そして、状況を悟り、こちらに近づく。
そして、敵の一番の武器である毒針を、カズキの体へ。鈍い音とともに、カズキの悲鳴が伝わる。
「・・・・・・後は頼んだぞ、アント」
近くにいた情報屋のアントは、すぐにこちらへ駆けつける。
「まだ駄目だ! カズキがいないと、この闘いに勝機は無い!!」
「・・・・・・せめて、ネオだけは」
カズキは一言そう言ってネオを押しだす。直後、蜘蛛の毒針が迫りくる。
二度目の毒針。カズキは致命傷といえるほどの傷を負っている。
――そして、肝心の本人は、意識がなかった。
「・・・ん!」
誰かの声が聞こえる。知らない人、では無いと思う、その声。
「早く勉強しなさい!」
叱りつけてくる声。これは恐らく母親。高校受験目前にして、ゲームをしていて、叱られた。
そう言えば、この時俺は何のゲームをしていたのだろうか。
これまでいろいろなゲームをしてきたが、ここまで思い出そうとして、思い出せなかったことは一度もない。
それ以前に、今何をしていたのかもわからない。
思い出せ・・・と念じながら、思い出すのを待っている。
そこに、さらに聞いたことのあるような声が聞こえてくる。
「カズキ!!」
はきはきとした、女の人の声。この声は、一体? と考えたものの、誰なのかは分からない。
「・・・カズキ」
今度は大人しい、男の人の声。
「カズキさん」
この声は・・・。ここで、ようやく何をしていたかは思い出せた。
俺は、ゲームをしていただけだ。それも、仲間の死の直前で助けることが出来た後だ。でも、ここで死を迎えると、仲間が心配するであろう。こちらも同様、今が心配ではあるが。
ならば、助けるのが基本だろう。こちらが助けた代償に、自分が倒れ、周りも倒れては意味がない。
助ける、とは、やり遂げてこそ意味がある。
そのような言葉を思い出した。やり遂げなければ、何の意味もない。なら、立ち上がるべきだと、ようやく気付く。
「何でもかかってこい! 全てを終わらしてやるからな!!」
そう決心した。いくら逆境に立っても、諦めはしないという心とともに。
「カズキさん・・・」
俺が目覚めてから数秒後、ネオのそのような言葉が。
俺が目を開け、ネオへ一言。
「・・・ごめん、心配掛けた」
起き上がり、目の前にいる蜘蛛を見る。
俺の残りの体力はもう一割にも満たないはずだ。しかし、やるしかない。
「・・・さあ、戦いの続きだ」
決心とともに、また足を一歩進めた。
今後、またこのように投稿期間が空くかもしれません。