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エネクトロニック・オンライン2  作者: milink
本編4―物語の第一歩
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19 過ちとその償い<2>

お久しぶりです。

「大丈夫か!? 一度意識が飛んでたぞ!?」

 この声は、カズキの声。しかし、どう足掻こうとも声一つでない。

 恐らく、毒が発言を拒否しているのだろう、私、ネオは何もできずにいた。

「早くこれを飲んで回復するんだ!!」

 瓶を渡してくる。これは多分、解毒薬だ。

 それを私の口に入れようとした時、不幸にも、相手の目線が。そして、状況を悟り、こちらに近づく。

 そして、敵の一番の武器である毒針を、カズキの体へ。鈍い音とともに、カズキの悲鳴が伝わる。

「・・・・・・後は頼んだぞ、アント」

 近くにいた情報屋のアントは、すぐにこちらへ駆けつける。

「まだ駄目だ! カズキがいないと、この闘いに勝機は無い!!」


「・・・・・・せめて、ネオだけは」

 カズキは一言そう言ってネオを押しだす。直後、蜘蛛の毒針が迫りくる。

 二度目の毒針。カズキは致命傷といえるほどの傷を負っている。

――そして、肝心の本人は、意識がなかった。


「・・・ん!」

 誰かの声が聞こえる。知らない人、では無いと思う、その声。

「早く勉強しなさい!」

 叱りつけてくる声。これは恐らく母親。高校受験目前にして、ゲームをしていて、叱られた。

 そう言えば、この時俺は何のゲームをしていたのだろうか。

 これまでいろいろなゲームをしてきたが、ここまで思い出そうとして、思い出せなかったことは一度もない。

 それ以前に、今何をしていたのかもわからない。

 思い出せ・・・と念じながら、思い出すのを待っている。

 そこに、さらに聞いたことのあるような声が聞こえてくる。

「カズキ!!」

 はきはきとした、女の人の声。この声は、一体? と考えたものの、誰なのかは分からない。

「・・・カズキ」

 今度は大人しい、男の人の声。

「カズキさん」

 この声は・・・。ここで、ようやく何をしていたかは思い出せた。

 俺は、ゲームをしていただけだ。それも、仲間の死の直前で助けることが出来た後だ。でも、ここで死を迎えると、仲間が心配するであろう。こちらも同様、今が心配ではあるが。

 ならば、助けるのが基本だろう。こちらが助けた代償に、自分が倒れ、周りも倒れては意味がない。

 助ける、とは、やり遂げてこそ意味がある。

 そのような言葉を思い出した。やり遂げなければ、何の意味もない。なら、立ち上がるべきだと、ようやく気付く。

「何でもかかってこい! 全てを終わらしてやるからな!!」

 そう決心した。いくら逆境に立っても、諦めはしないという心とともに。


「カズキさん・・・」

 俺が目覚めてから数秒後、ネオのそのような言葉が。

 俺が目を開け、ネオへ一言。

「・・・ごめん、心配掛けた」

 起き上がり、目の前にいる蜘蛛を見る。

 俺の残りの体力はもう一割にも満たないはずだ。しかし、やるしかない。

「・・・さあ、戦いの続きだ」

 決心とともに、また足を一歩進めた。

今後、またこのように投稿期間が空くかもしれません。

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