17 彼女の過去<2>
今回は無いよう調整も兼ねて少し少なめです。
――とある出来事から後は、1か月あるはずの記憶が3日分くらいに凝縮されているように、全く思い出せない。唯一覚えているのは使っていた剣の形と、なくした時期だ。
ネオは、苦しみながらもここまで来た。剣も無く、敵に襲われてしまうかもしれないのに、それでも、助けて欲しいという一心でここまで来た。
これまで気付きもしなかったが、少し前に軽く「過去の事を教えて」と言っただけだ。しかし、彼女はよく考え込んだ後、「思い出せない」と答えたのだ。詳しく聞かせて貰ったところ、詳しい事が分かったのだった。
それを教えようとシュータに伝えようとしたが、先に、
「すみませーん」
という声が聞こえた。誰なのかと考えているうちにシュータだけでなくリーナも一緒であると分かった。
「はーい」
戸を開けた、そこには予想通り、
「シュータ、・・・リーナ」
シュータとリーナ、最初に出会い、最後に出来たゲーム内のフレンドだ。
「ようやく終わったよ・・・」
「大変だった・・・」
二人がなぜこんなに疲れているのか、疑問に感じたが、今日は予定されていた地下層解放のための大規模戦闘が起きている。それに参加し、第一陣として戦闘を終えた二人だ。そう考えると、疲れるのも普通だ。
今回の拡大計画は、新マップとして実装された地下層の解放というものらしい。とはいえ、マップが一気に広がるので、一か所で開放、とはならない。東西南北に配置されている門を護るボスを1か所倒した後24時間以内に倒さないと最初からとなるつくりとなっている。
北、東、南、西の順で攻略する予定となっているそれぞれの門にグループを作り、それぞれが攻撃していく形だ。――同時に戦えるわけではないので、1か所ずつ攻めているところなのだ。
俺は少し気になった事をシュータに訊いた。
「他の3か所は行くのか?」
「そうじゃないんだ。他のチームが待機しているから、そっちに任せることにしているんだ」
シュータは堂々と否定し、理由まで説明してきた。
「私達が初陣だったよ」
リーナがそう付け加えた後、シュータは質問をしてきた。
「で、彼女はどんな感じ?」
「少し待ってくれ・・・」
そう言って、俺はシュータに借りていた録音機を取り出した。
「これを聞いて、質問をしてくれ」
―――――
『それ以降に何があったのか・・・』
少し不自然に録音が切れていた。多分時間オーバーだったのだろう。
録音が止まって、数秒の沈黙。その後。
「これは、どういう事だ?」
「・・・?」
リーナは理解しようと試みている様子だが、シュータはなんとなく状況は理解してくれたようだ。
「これが彼女の過去だ」
俺は一言でしか表しきれなかった。まだ頭の中で整理が出来てないからだ。
シュータはそれを察してくれたのか、それ以上の追及は無かった。
――少なくとも、今のところは。
「過去は今の通りだけど、今からすべきことは・・・」
「地下フロアを開放して、短剣を探し出す、かな?」
シュータはシュータは理解が早かったが、
「・・・?」
リーナはまだ疑問符を消してなかった。
次は外伝を出す予定ですが、また少し投稿できなくなるかもしれません。