16 彼女の過去<1>
大変遅くなってしまい、申し訳ありません。
今回から本編に軌道修正します。
「私には、分かりません」
そうやって言ってきたのには理由が。
俺は、何を聞こうとしたのか。何を知りたかったのか。
――答えは、自分ですら分からない。
「私――それ以降の事を全く知らないんです」
これは、プレイヤーに初めて明かす、彼女の過去だった。
―――――
彼女の生まれは―設定上―央都から少し離れた町らしく、決して不便のある生活では無かった。
――あの事件までは。
彼女の父親は、街周辺にいたイノシシによって亡くなってしまった。
彼女の母親は、央都に雇われたまま帰らぬ人となった。
彼女を生かしていた両親は、どちらも残酷な方法で命を落とされた。
それから、彼女は剣技というものを覚えたらしい。最初は見て真似をしていたが、やがて剣技を一つもつようになった。それも、流派として登録されているものだ。
剣技に登録される前までは、剣に敵や、央都の人を人を嫌い、怒りに任せて練習をしていたらしい。
しかし彼女に、良い知らせが届く。
晴れた日の太陽の元、彼女は誰もいない家に向かって、
「行ってきまーす!」
と、誰もいない家に挨拶をして出た。
この時、街から出る、という覚悟は無かった。実感も無かった。
しかし、街を出るとどんな世界が広がっているのだろうという、興味や期待はあった。
街を出てみたい、そういう気持ちを持っていると、街長に頼むと許可をくれる、という情報を知り、早速頼みに言った。
街とは言うものの、さほど広い街では無いので、街長も彼女の事を知っていたらしいが、
「まだ早いのではないか? 街でやり過ごした事は無いのか?」
そう問われ、即座に、
「街でやり残したことはあるかもしれませんが、他の街に行ってみたり、世界を回ってみたいんです」
このような直談判は数時間に続き、最終的には、
「剣技を勉強していると言ったな? その剣技、私の前で見せる事は可能かな? 出来れば許可しよう」
こうして、許可を得たのだった。
許可を得てから早くも2年が過ぎる。この時、事件が起きる。
――プレイヤーたちの、テストプレイだ。
ネオに直接関係はほとんどなかったが、他の街の人たちは少し戸惑いながらも対応したらしい。
しかし、ほとんど、である。何かしら関わりはあったのだ。
それも、ネオには最悪の形でかかわっている。
いつものように狩りをしていると、突然プレイヤーの人に出会った。
「こんにちは・・・!?」
そのプレイヤーは、片手にナイフを持っていて、狂気を感じる。
その刹那、身に危険が迫っている事に気がついた。
剣を構え直し、迎撃態勢になったところで相手が仕掛けてきた。毒煙だった。
これにはネオも対応する術もなく、毒にかかった。
相手が近づき、剣を持ちあげる。しかし、斬り落とさなかった。
「・・・」
無言でしか対応が出来ない状態、それに対しての躊躇い。何があったのだろう。
「・・・どちらにせよ、君はもう用済みだ。消えて貰おう」
―――――
「その後起きた事が、全く思い出せません」
こうして、今に至る。
この説明中、幾つか疑問が残った。1つ目は、記憶がないなら、何故どうやって来たのかを知っているのか。2つ目は、――今は言えない。
協力をしてあげたい。
しかし、俺が聞けるのはたったこれだけだった。
「それを、どうしたいと思っているんだ?」
「それを・・・」
ネオは目元を潤わせながら、応えようとした。
「思い出したいです・・・」
否、答えた。
「じゃあそれを手伝う。だからこっちの事も手伝ってほしい。良いかな?」
「よろしくお願いします・・・」
こうして、ようやく話がすすみだした。
ここから、物語は前へ進みだす。
外伝のほうも投稿しました。
こちらも早く出します。よろしくお願いします。
祝・閲覧者400人(外伝含めて500人)突破!
これからもよろしくお願いします。