13 最後の試練―エラー発生Ⅰ―
第4部、開始。ちなみにあの『アヴェル』のクエストはまだ続きます。
― 本編6か7くらいに・・・。
シュータとリーナ、その異世界ゲームでの唯一の仲間であった2人と別れてからさらに1か月が過ぎようとしていた、とある夏の昼間。
――家に、昨日まで無かった、新しい段ボールが。
「・・・開けようか」
独り言が多い俺は、いつも周りに不思議がられる。
「・・・!これは・・・」
そう、中身はなんと――
『ソードエンズ・オンライン』だったのだ。
その同日。
シュータの家にも、同じ箱が。
そして、リーナにも。
「これって・・・」
「まさか・・・」
「あのゲーム・・・」
場所は違えど、タイミング同時に。
「「ソードエンズ・オンライン!!」」
―――――
俺はすぐさま『あの』制作者に問い合わせた。
出たのはごく普通の社員だったが。
「はい、こちら・・・」
「すいません、時間が無いので社長を呼んでくれませんか?」
何か時間がかかりそうだったので、省略してやった。
そして出てきた社長。ボルタだ。
「はい、どちらさまでしょうか」
「俺だ、カズキだ。――どういう事だ、これは」
俺はソードエンズ・オンラインのパッケージを持って説明したが、相手に見えてないことに気付いた。
「少し判らないからそっちに行くよ。場所はいつもの駅前ね」
「お願いだから早くしてくれよ・・・」
そう願って、俺は家を出た。
―――――
シュータはまさかの行動に出ていた。
家から近いので、ボルタのいる会社に押し掛けていた。
「すいません、社長いますか?」
「少々お待ち下さい」
少し待ったのだが、
「すいません、外出中とのことです」
咄嗟に閃いたのがカズキと一緒にいる可能性だ。
「あの、どこに行くとか聞いてませんか?」
「――・・・駅前、です」
こんなことがばれたらこの人クビになるぞ・・・とか思いつつ、
「ありがとうございます!!」
お礼をして駅前に向かったのだ。
リーナはというと、
「何これーやってみようかな?」
とか言って、起動してしまった。
しかし、『サーバーに接続できません。』という文が流れてくるだけで終了した。
―――――
「説明してもらおうか、最初から」
ボルタが来たのが俺の着いた15分後だった。何としても遅い。
「まあまあ、ここで話さずにいつものところで訊くよ」
そうして、いつもの喫茶店に行ったのだった。
「それは、SE・O経験者のうち、わたしとやり取りできる人に贈ったゲームだ」
ボルタは、嘘を漂わせる笑みを浮かべていた。
さあ、この言葉が本当なら、このタイミングで笑みを浮かべるだろうか?
その疑問が残ったが、それは良いとして。
「なら、何故に何も言わずに送って来たんだ」
「それは――楽しませるためさ」
? 全く訳が分からない。
「ソードエンズ・オンライン、気付いているだろうけど楽しくなかっただろ? 理由はただ一つ。死んでしまうからだ」
そのせいで楽しくなかったかというと、別かもしれないが、そのまま続けさせる。
「しかし、死んでしまう要素をとってしまえば、案外楽しいゲームなのだ。――見るか?」
そうして見せて貰ったのは、新しい機械。VRリンカーに似ている、新しい機械。
「これが・・・」
「そう。『異世界リンカー』とでも仮称を付けとこう。今の異世界サーチではつなぐ事が出来ない、最高級の形が出来ている。それで、してみた感想を教えてくれないか?」
俺は一瞬、戸惑いを憶えた。こうして渡されたのも、SE:Oなのだ。――勿論、ボルタからではないが。
「どうする?受けてくれるかい?」
「・・・分かった。受ける。その場合、安全は否定しないよな?」
ボルタが一度動きを止めたが、やがて、
「保障しよう」
と答えた。
―――――
シュータはというと。
「ここにいればいいんだが・・・」
そうして喫茶店の前にたどり着いた。勿論調べてきている。
中に入ると、一か所だけ不思議な場が。
「あれは・・・カズキ!!」
そう。カズキと一緒にいたのだ。つまり、相手はボルタだ。
「いらっしゃいませ。何名様ですか?」
僕に気付かなかったらしく、慌しく店員さんがきた。
「いや、あれです」
そうしてカズキの方を指さし、店員さんは「ごゆっくりどうぞ」と帰っていった。
その後、リーナが1カ月前から名を出さなかった、あいつの名を呼んだ。
「カズキ・・・!!」
―――――
「カズキ・・・!!」
そう呼ばれて振り返った瞬間、誰なのかを悟った。
――恐らく、シュータだろう。とまでだが。
「シュータ・・・!? 何でここに!?」
確かだが、シュータともフレンド登録解除されているはずだが。
「来たらいけねーのかよ。――僕の友達」
「!?」
全く意味が分からない。そう思った途端、
「――リーナとは違って消してねーぞ。フレンドリストからはな」
ここで、シュータの言葉の本当の意味を知った。
――俺のアカウントを、まだフレンドから外してない、という事だ。
「それはともかく、シュータは何しに来たんだ?」
シュータの目線がボルタの方へ。そして何かを取り出し、
「これはどういう事ですか?」
丁寧に、しかししっかりと問いただした。
その後、シュータの方にもきちんと説明し、それぞれに一台ずつ機械を渡してきた。
「早速、やってみるか!!」
そうして転生のためのボタンを押す。
しかし、この後早速事故が起こる。
次回投稿は本当に未定。