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エネクトロニック・オンライン2  作者: milink
本編3―重なり合う物語―
18/25

12 彼女の探し物<4>

『彼女の探し物』、完結。

――そう思えたのも、一瞬だった。

 敵の体力が残り5割を指していた時、事故が。

「・・・!?」

 明らかに、敵の動きが良く、そして鋭くなった。

「・・・これはまずいぞ」

 そう、普通は人間も敵も同じく後半は集中力の関係で動きが鈍くなったりする。俺はそこまで集中力は落ちないが、アヴェルの方が集中力が切れかけている。

 それも仕方ない。もうかれこれ1時間は戦いっぱなしだ。集中力が欠けてしまうのも仕方がない。

 それに対して、敵陣営――ジルコット・キングスやジルコット・ストーは前半の方が緩く、後半は倒すのが大変になっている。この後は下がる一方だが、俺も下がっていかない事は恐らくない。

「勝てるのか・・・?」

 そう思い絶望しかけたその時。

「「おーい!!」」

 誰かの、しかし聞きなれた声。それは、

――シュータと、リーナ。

「待て!!」

 俺はそう声をかけた。理由などは単純。乗り物はレンタルが無いため、自家用という事になる。

――そして、シュータ達が持っている車は、敵の攻撃による刺激に弱いタイプだと。そして、今が一番活発に動いているときであるのだ。

「当たったら壊れるぞ!!」

「そこ気にするな!!対策立ててきたから!!」

 シュータ達は対策を立ててきたというが、どういうことだろう。

「良いから乗れ!!」

 そう言ってシュータは走ってる車を止めずに手を差し伸べてきた。――勿論、アヴェルにも。

 手が差し伸べられ、乗った瞬間、後ろからの攻撃が迫っていた。

 もう終わりだろ・・・と思っていたその時。

「リーナ、あれを!!」

「分かった!!」

 そう言って取りだされたのは、何のための機械なのか分からない物を出して、

「吸引!!」

 と言ってボタンを押した。すると、相手にとって『背を向けているからチャンス』と思って攻撃した技を機械が全て吸収したのだ。

「マジかよ・・・」

 『こんなときを想定して買ったのか?』とか『そもそも買うお金あったのか?』というような意見が次々と浮かんでくる。

「カズキが今戦っていると聞いて、5分前に探しに探して買ったアイテムだ」

「嘘言わないで。車を買ったときに付いてあっただけなのに」

 と、シュータの言動は全てリーナに否定される。

「――この前は、悪かった」

 俺は、説明するのももどかしく、単刀直入にそう言った。

「何かあったんじなくて?ただただ怒ってきただけなのか?」

「いや、そうじゃなくて・・・」

 そうして、β版『ソードエンズ・オンライン』の事について説明した。


 5 minute later...(5分後・・・)


「え!?」

「それは本当なのか!?」

「ああ、そうだ。・・・って、メッセージ送られてきてるだろ」

 二人とも知らない様子。嫌な予感。

「・・・てことはもしかして――」

 つまり、俺にしか伝えられていない可能性が高いという事だ。

「そう言えば、最近最初が難しすぎるクエストが始まった、とまでは訊いたよ」

 そして、ここまで到達している人は少ないということか。

 嬉しいが、正直自分が馬鹿に思えてくる。

――しかし、そうと分かれば追いかけている敵がいないという事で一番乗りは容易いことだろう、そう強引に押し切ったことで、焦らずにクリアすればいいわけだ。

「よーし、じゃあもう一度行くか!!」

「――対策」

 その一言が、俺を大いに苦しませた。

「対策が無けりゃあ、また同じ結果だ。・・・それとも、対策があるとでも言うのか?」

 そのシュータの発言に、俺は「いや」と続けて、

「対策が無くとも、勝機は見つかる。――その時に、俺は賭ける」

 ここで、ずっと黙っていたリーナが、

「それは“無謀”ってやつよ。意味の無い戦いより、勝率の高い・・・」

「勝率なんて気にするか!!」

 俺は、許せなかった。その、少し弱気のところが。

 そして、もうひとつ、分かった事があった。

――この闘いは、俺の闘いだ、ということ。

「シュータ達と攻略するつもりでいたが、やっぱり俺一人で行くよ。それじゃ」

 俺は減速していく車からアヴェルと一緒に降りる準備をして、アヴェルに「行くぞ!!」と言って車を後にした。

「もう、これで良いんだ・・・」

 その直後、リーナからフレンド解除の知らせが。シュータからは来て無いが、時間の問題だろう。

「これで良かったんだ・・・」

 こうして、アヴェルと一緒に『ジルコット・キングス』を倒しに行ったのだった。


―――――


 戦闘が終わり、ジルコット・キングスからは大量の光石を入手した。

「これが光り輝く光石だ。20個、間違いないな?」

 アヴェルは一度中身を見て、確認をしてから、

「はい、問題無いです。ありがとうございます」

 そう言われ、一応、第二部クエストはクリア、という事だ。

――しかし、この時は気付いて無かった。

 この後のクエストも鬼畜なのと、とあるプロジェクトが進んでいる事を。

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