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エネクトロニック・オンライン2  作者: milink
本編3―重なり合う物語―
17/25

11 彼女の探し物<3>

3/4編目。

<追記>

 状況を読むのが楽になるため、外伝を先に読むことをお薦めします。

――その発言とともに、この闘いは始まった。

「はあっ!!」

 そう言いながら使った技は『目晦まし斬り』と呼ばれる奴だ。

 目元に爆薬を置き、爆発したところで回転斬り。ちなみに、システムに無い技だ。

「グラァァァ!!」

 その技を零距離で受けると、相当のダメージを負うこととなる。

――しかし、何故か敵の体力は1割も減って無く、せいぜい5分といったところだ。

「・・・何故だ?」

 その理由、少し考えるとすぐに分かった。――つまり、『親の心子知らず』とは反対の、『親の身は我が身』のような状況だろう。

「あれは、あの敵特有の、防御手段です」

 アヴェルは小さな声で、しかしはっきりと言った。

――あれが、ジルコット・ストーの防御。

「なるほど。了解。じゃ、少し下がってて」

「・・・いいえ、私も戦います」

 これが、今日一番の意外な発言だった。

「一緒に戦わなければ意味がありません。――だから、一緒に戦います」

 俺は少し悩んだが、彼女の戦闘を思い出して、

「よし、そうしよう」

 俺は、許可という選択を下した。


―――――


「はい!!」

 そう言って敵を斬り倒したのはアヴェルだ。敵が四散し、周辺は静寂に包まれる。

「よっ、ナイスファイト」

 俺は彼女の戦いっぷりを見て、N(ノン)P(プレイヤー)C(キャラクター)だからと言って油断はできないな、と心に記しとめた。

「ありがとうございます」

 戦闘後の彼女は微妙にも表現のしづらい顔を浮かべている。まるで――

――戦闘に恐怖を抱いているような目つきだった。

「大丈夫?疲れてるように見えるけど・・・」

「大丈夫です。心配掛けてすいません」

「いや、そうじゃなくて・・・」

 いつか、この闘いが終われば訊こうかな。

 そのことも心に記しとめた。


―――――


 そして、闘いは終盤へ。

「これでも喰らえっ!!」

 この時、俺の愛用である『ブルー・レア』という片手剣が赤く、しかしほんのり青く発光し出した。

 こうやって光った時は、剣と人間の気が調合した時のみ。そして、光っている間だけの技が覚醒する。

『スカイブルー・クライマー』。

 それが、この剣特有の技だ。

 右から斬り倒しを行い、当たった部分には火傷がかかる。その次が左から斬りおろし。氷属性の反応があるため、氷結という効果が発生する時がある。

 その後が斬り上げ。最後に斬りおろし。どちらにも火属性効果がある。

「グラアァァァ!!」

 これはターゲットにしか当たらないし、ターゲットは相手側からは替えられない。

――つまり、最強と言える一撃。

 それをまともに食らった敵は。

「シャアァァァ!!」

 生きていた。実際は、防御が低いわけではない。体力が低いのだ。

「ウソだろ!?」

 体力は低いので、どうにかすれば一気に持っていけると思っていた。

――しかし、耐性が炎と氷にあるとは思って無かった。

「――どうでもいい。この手で倒してやろう!!」

「私もいるよ!!」

 そう声をかけてきたのはほかでもない、アヴェルだった。

「おう!一緒に倒そうぜ!!」

「了解!!」

 こうして、今戦のみのタッグが完成した。


―――――


「何、カズキだ!!・・・はい?」

「え、どうしたの?」

 そうやって呆気に取られているリーナに、シュータが説明。

「今、カズキはジルコット・ストーの親分と戦っているらしい」

「ウソぉ!!――あんなに強い奴を!?一人で!!?」

「いや、一人じゃないだろう」

 そう、あいつ(カズキ)にはあのNPCがいる。――あいつなら、しでかすだろう。

 でも、この不安な心情は何なのだろう。胸を締め付けるような、心が痛い感覚。

「――行こうか」

「そうね、そうしましょう」

 すでに数年を経験している二人だ。阿吽の呼吸などいとも簡単に成立する。

 そうして、この二人のタッグも、行動を開始した。


―――――


 そう言えば、彼女ってあんなに元気だっけ?

 今頃考えなおすと『?』が大量に浮かんでくる。

――それは良いとして、いまは戦闘に集中しなければならない。ここで負ければ、他人との差は圧倒的だ。

「ハアァァァ!!」

 そう声を出して放った技は、昔懐かしの、あの技。

『クロス・ジレイサー』。

 あの『ソードエンズ・オンライン』の頃の、かつて最強と呼ばれていた技。その打撃数は今でも最高を誇っている。その数なんと、52連撃。

――昔は、38連撃だったが。

 この時、俺の覚醒が始まる。右手にしかなかった剣が、左手にも。

 体自体に攻撃判定を持ち、属性は『無』。つまり、有利不利が無い。

「ぶっ飛べー!!」

 右に左に。そして、上に下に。

 超高速である一撃クラスの技がかけ合わさったかのような、必殺級の技。

「私も!!」

 そう言ってアヴェルも攻撃を開始。短剣技は知らないので、彼女に任せることにした。

――そして、彼女の技も最高級クラスの技の予感がした。

 この調子で攻撃を続ければ、勝てるかもしれない。

 しかし、そう思えたのも一時の間のみだった。

『クロス・ジレイサー』が外伝に出るのはもう少し後ですが、気長にお待ちください。

<予定>

・4/4編目はこの編の投稿日の12時間後に投稿されます。

・外伝は8月上旬投稿予定。遅くなってすいません。

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