表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エネクトロニック・オンライン2  作者: milink
本編3―重なり合う物語―
14/25

8 遠い、クリアへの道

 一方その頃。

 シュータとリーナがそろって話していた。

「何で、カズキは俺らを避けてんだ?避ける理由は一つも無いはずなのに」

「そんなの簡単よ。私が現実の方で会ってしまったからだよー。・・・知らなかった?」

 その問いかけに、シュータは、

「そ、そうだっけ・・・それはともかく、カズキの居場所は今現在、追跡できる。するか?」

 (リーナ)は少し悩んだが、否、結構悩んだが、答えは、

「そうしましょう。何をしてるか分かんないし・・・あと」

「・・・」

 場が沈黙したが、理由を私は言わなかった。

「いや、なんでもないわ。行きましょう」

 そうして、私たちはカズキの後をつけることにした。


―――――


「ただいまの移動距離、約3キロメートル。カズキまで、あと約5キロメートル」

「・・・遠いね。――あと、戦闘中でもないのにそれっぽく言うのやめてもらえる?」

 一番気になっていたところがそれだから、正直もう距離など覚えて無い。

「まあ、そのうち近ずくさ。あわてないで大丈夫だよ」

 根拠のない私の声かけに、シュータは、

「根拠無いけど、説得力あるなー」

 と、棒読みの返事をされた。


―――――


 そうして、シュータとリーナがこっちに来出した頃。

「やっぱりあいつら、来るんだな」

「・・・?」

「あ、大丈夫、気にしないで」

「はい・・・分かりました」

 やっぱり、何でも反応するな、と怒りたくなった(カズキ)がいた。

――表には、出せないが。

 そう思った途端、金属が見えた。

「・・・!?」

 短剣だった。そして肝心の紋章は――ある。

「これかな?」

「・・・」

 彼女はその短剣をよく見て、やがて、

「そうです。これです」

 こうして、街に帰れると思った、その時。

――何者かの、人の気配が。

「誰だ!!」

 返事は無い。ただ、投槍が一本、俺めがけて飛んできた。

「何です・・・」

「ちょっとしゃがめ!!」

 そう俺が言うと、彼女はしゃがみこんで隠れた。

「俺が原因を調べてくる。それまで待ってて!!」

「は、はい・・・」

 そうして、俺は何故槍が飛んできたのかを調べることにした。


―――――


「当たった?」

「いいや、当たって無い」

 そう言い合っているのはシュータとリーナ。今回の作戦はリーナが、実行はシュータがした。

「ちぇっ、面白くないなぁ」

「落ち込むなって。あくまで、今回はおびき寄せるだけだから」

 実はさっき、槍を飛ばしてきた人はこの二人だ。

「気付いてるね、こっちに走ってきている」

「流石に途中で勢いは止めるだろうけど、今が最高速度」

「シュータ、さっすが!!」

「茶化すな」

――カズキが来るまで、あと200メートルを切った。


―――――


「このっ!!」

 カズキはスピードを遅め無いまま、二人の方向へ。

「誰だ!!」

 もう残り10メートル。スピードを緩め出す。

「―――!!」

 ここで、見る。

――シュータ達が、仕掛けていたことを。

「・・・何故だ」

 俺は問いかける。しかし、シュータ達は無言を保っている。

「――何でこんなことをしたんだ!!」

 この問いかけに、シュータが答える。

「・・・じゃあ、訊くぞ」

 ここで一呼吸。

「――何で俺たちを避けるんだ!!」

「・・・そんなの、シュータ達には分からない」

「何か隠さないといけない理由あるのか?何でも・・・」

「――シュータ達には分からないって言ってるだろ!!」

 ここで、2度目の静寂。

「・・・もう行くよ」

「・・・何でだよ」

 間が空いて、続けて一言。

「何で、決めつけてんだよ!!」

 ここで、その怒りが俺に向けられている事に気付いた。

「そうやっていつも逃げてきただろ!?そうやっていつも迷惑かけてきただろ!?その後、こっちの訊くことも無視し出して、いつまで続けるんだよ!?」

 シュータの容赦ない論に、俺は対抗する術がなかった。

「一度でも、逃げずに言って来たことなんてあったか!?――どうなんだよ!!」

「ちょっと、やめて!!」

 そのリーナの発言が、この場の静寂をもたらした。

「・・・誰も、喧嘩がやってほしいわけじゃなくてこれをしようなんて思って無い」

 ここで一瞬の間。

「・・・カズキが1か月も来なかった事、でも今日急に来た理由が知りたくて、気付かれないようにこうしたの。でも・・・」

 その先は、リーナが言えて無いが、なんとなくは察した。

――『喧嘩がやってほしいわけじゃない』と、いう事だろう。


―――――


 その後、来なかった理由は『気まずかったから』で、今日来た理由は『クエストでSE:Oの配布をする、と書いてあったことを阻止するため』と、意図的に言葉を抜かして説明した。

「そうなら言ってくれよ・・・誰も怒らねえよ」

「ん?最後聞こえなかった」

 シュータが、意図的に最後の音を小さくして、聞こえなかった。

「とにかく、協力するよ。情報集めとして」

「・・・悪かった。そしてありがとう」

「何だよその心の無い返事」

「きちんと言ったつもりだけど!?」

 ともかく、これで揉めることは無くなった・・・のだろうか。

 疑問が浮かぶ中、夕焼は空一面に広がっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ