5-3 自作剣技<3>
現実編、最終章。
ロワイヤル編は続きます。
俺ら(カズキ達)が話し合い的な事をしている頃、シュータは。
――丘の下にいる敵と、にらみ合いをしていた。
5分前、シュータは、弓使いから逃れた後、岩山の先にある丘で、敵と遭遇してしまった。――嫌ではなかったが。
「よーし、奥の手、出すか」
そうして、こっそりと所持していたスキルを、ここで使うことにした。
――弓スキル。
とある他のゲームでも使っていた、僕が一番得意とするタイプ。
「見えないように・・・よし、これで良いはず・・・」
システム外スキルである、『アイテム隠蔽』を発動。そして、スキルである『幻惑』スキルを使い、僕を相手が見ると剣を持って構えているように見えている・・・はずだ。
――正直、『アイテム隠蔽』と『幻惑』スキルの掛持ちは無双で、一時期は『チーター』とも呼ばれていた。今はそれに対抗できる『隠蔽解除』というシステム外スキルがあるが、『アイテム隠蔽』が出来る側からすれば『それもチーターだろ・・・』となる。
それはさておき、アイテム隠蔽を破っても幻惑があって、実際は意味がなかったのも現状だ。
後は、敵が『隠蔽解除』を持ってないことを祈るばかりだ。
――そして、今に至る。
敵は『隠蔽解除』を持っていないらしく、よく分からないまま弓判定の攻撃を喰らっていた。
「どういう事だよ・・・」
そう言ってそのプレイヤーは2秒前に撃った矢によって、四散していった。
「はぁ、疲れた」
――この技、集中力が切れるとすぐぼろが見えるのが弱点だ。
―――――
一方、俺カズキは、借りている制作データを眺めていた。
「ちょっと待って、これ何?」
隣にいるのはリーナ。かつて『ソードエンズ・オンライン』にて俺と攻略していったプレイヤーの一人だ。
「・・・!?――これは!!」
リーナは全く察してないが、俺はすべて分かった。
――これは、あの頃のリミッター解除装置だ。
「ボルタ、お前はまだ何か企んでいるのか!?」
「・・・何のこと?」
と、リーナは気付いてない様子だが、ボルタは今日何度目か忘れたが微笑を浮かべた。
「・・・やっぱり、気付いたか」
その後、ボルタは一呼吸して、
「それは再現装置で、ただの飾りだ。と、言うと嘘になるが」
「また同じようなことはさせないぞ!!」
「出来るのかね、私には無力な君が。・・・というのは嘘だ。これは前の『VRリンカー』にあった形の再現で、実際は異世界チャンネル受信機だよ」
紛らわしすぎて困る、とでも言おうと思ったが、それは少し自分から言えるような言葉ではない気がして、発言をキャンセルした。
「・・・!」
ここでようやくリーナが察したようで、目線が少し、しかし確実に冷たくなった。
「本当に冗談のつもりで言ったけど、これじゃあまるっきり信用して貰えないね」
「当たり前だ!!」「当たり前でしょう!!」
「・・・だろうな」
信用できない気がしてくるのは――気のせいと願いたい。
「・・・なら、試してもらおう」
「「はい?」」
俺とリーナ、同時に疑問符を浮かべた。
「実は、もう少しで試作品が2台出来あがるんだよね。・・・その身で試して、安全か調べてみればいい。――こちらには、執行猶予という物があるから、それを企もうとするのは不可能だ。・・・どうかね?」
確かに言っている事は正しい。執行猶予もあって、同じ手は通用しない。
「俺は、その試作品によって決める。利奈は?」
リーナ/利奈は、「・・・もう、ついていけない」と諦めていたが。
そうして、一応話は決着、続きは後日メールで、ということに落ち着いた。
「さっきまでの話、本当なのかしら・・・」
会話を放棄していた利奈が、俺にそう訊いてきた。決着してから5分後の、間もない後だ。
「・・・?・・・」
「どうしたの、さっきから。何かあるの?」
訊きづらいが、決心して訊いてみることに。
「リー、いや、利奈って・・・」
少し間が空き、とうとう訊いてしまった。
「EN:Oやってんのか?」
その、溜めに溜めた質問に、
「・・・!まさか!!」
――そう、その『まさか』だ。
「カズキ・・・?」
「そうだ」
「・・・遅くなったけど、久しぶり。改めて・・・」
そこまでさせるつもりはないので、最大限止める努力をする。
「ちょっと待った!!そこまでする必要は無い!!」
この後、少し言いたかった事の説明に時間がかかった。
4、5編目まで出ます。
4編目は6月末頃。
5編目はpixivと同時投稿。
予定は8月中旬。
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