0-1『天と地の守護者』
0部分、投稿。
それは約1週間前、いつもの様にプレイをしていた時だ。
「そこの人。少し、手伝ってくれませんか?」
声をかけられた相手は俺、カズキだ。今日はシュータがログイン出来ないらしく、俺一人でクエストをこなしていた時だった。
「何ですか?聞かせてください」
そう俺が答えると、そのNPCはすっと立ち去った。
―――俺を残して。
「何だったんだろう」
疑問を抱えたが、今は続きが気になった。
翌日。
同じ場所で、同じNPCが来るかと思い、休みなので今日は朝から待ち構えていた。
そして、昨日と同じNPCがやって来た。
「すいません、手伝って・・・!!」
俺の事に気付いたらしく、颯爽と逃げて行った。
「ちょっ・・・待って!!」
現実だと明らかなストーカー行為だが、相手はプレイヤーじゃない。それが、走る原動力となった。
5分間追いかけると、NPCが止まり、俺が訊いた。
「何で、俺から逃げるんだ・・・?」
相手は一呼吸し、こう答えた。
「私は、神に背いた悪人。名は、ダミーという」
「・・・」
「つい1カ月前、央都禁忌を破ったのだ。・・・神が作ったと言われてるものを」
俺は、何故か呆れそうになった。
で?俺にどうしろと。――と、言ってやりたかった。
――しかし、俺には出来なかった。
「・・・続きをどうぞ」
すると、ダミーは、
「破った者は死罪、となっている。しかし、私は納得いかなくてね。――神が本当に作ったのかがね」
神、つまりゲームマスター。それしか思いつかなかったのだが。
ダミーは続けて、
「そこでだ。私と組んで、その神とやらを倒さないか」
・・・?話についていけなかった。
神がゲームマスターなら、ゲーム内からの干渉はないはずだ。しかし、そのNPCは信じている。もしくは、ゲーム内にいる。
―――意外と、面白そうだ。
「解った。手伝おう」
くすんだ空の下、今新しい物語が、始まろうとしている。
読んで貰ったら分かりますが、続きます。