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一刻も早く



「それじゃコレット、また夕食時に」


「はい!」


コレットの部屋の前で別れて私は自分の部屋へと向かった


私の部屋はコレットの階の上にあり、そして一人部屋だ

本当はコレットと同じ部屋が良かったけど、入学が決まった時点で決まっていた部屋割りに文句を言うほどワガママになるつもりはない


それに考え方を変えれば一人部屋は私にとって好都合だ

流石に部屋でまで猫を被りたくないからね


自分の部屋に入ってベッドに倒れこむ

制服がしわくちゃになるって分かっていたけど今日は色々あったから私はまず休みを取らせてもらうよ


部屋の天井を眺めながら今日あったことを振り返る

入学初日だけど濃すぎる一日だったな~


一日目からクラスの皆からビビられる存在になるし胡散臭いチャラ男に絡まれるし、天敵に遭遇するしほんと散々な日だったけど


「……うへへへへへへ」


コレットっていう最高に可愛くて天使な女の子と友達になれただけで今日と言う一日は私にとって最高の一日に変わる


嬉しくて顔のニヤケが止められない

終いには枕を抱き締めながらベッドの上で転げまわった


うおおおおお!!こ、この喜びを一刻も早く誰かに伝えたいー!!

今すぐユーリに手紙を書いてこのことを伝えるか!?

いや、それよりももっと早い方法がある!!



「クロス!!」



そう叫んだ時にはもう、私は枕を投げ捨てて部屋から飛び出していた








「うーん、これは困った」


勢い良く飛び出したはいいものの、私は今、男子寮の前で頭を抱えていた


通る人通る人が向けてくる痛いくらいの視線には気づいていたが今の私にそれを気にする余裕はなかった

なぜなら、頭の中を占めていたのはこれからどうやってクロスに会うかということだけだった


女子禁制の男子寮に突入するわけにもいかないし、かと言って連絡手段も…



「あっ、誰かに伝言してもらえばいいんじゃ…」


「一人で何ぶつぶつ言ってんの?」


閃いた!と言わんばかりに顔を輝かせて前を向いた私の目に、まさに私が捜し求めていた人物が映った



「クロスー!」


「こんなとこではしゃぐな」



まさかの登場についハシャいでクロスに抱きつきそうになるもクロスがいち早くそれを予知してさらりとかわした



「冷たいー!…って言いたいとこだけど、それもそうだわな、さすがクロス、私より分かってる~!」


「お前が感情的になり易すぎなんだ」



まあそれは確かにある

でもでも!今は仕方ないと思う!だって今私はすごくすっごーく伝えたいことがあるんだもん!!



「そんなことよりクロス!あのね!」


「落ち着け、場所変えたら話聞いてやるから」


「うん!」


そう言って私の手を引いて歩き出すクロス

早く話を聞いて欲しくて私もされるがままで必然的に手を繋いで歩くような形になった


そんな私達を見ていた一般生徒は驚きざわついていたが、同じように私達をどこかで見ていた臙脂色の彼だけは、口元に得体の知れぬ笑みを浮かべていた





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