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お兄ちゃんというのはだいたいみんなシスコン

今一度お詫びいたします

物語の進展が亀並みに遅くてごめんなさい!!



結論から言えば



「エド、すぐにドクターの手配を」


「はい、只今」



拍子抜けするくらいあっさりと通った


いやね?なんとなく予想はついてたよ?うちの親ならもしかして案外簡単に許してくれないのかもしれないって


でもさ、ちょっとあっさりしすぎじゃない?もうちょいさ、こうさあ、その、だから……ちょっと甘すぎませんか!!?

私一応めっちゃ説得の言葉考えてたのにそれが飛び出す前に事情聞き終わった瞬間エドさんに申し付けたね父よ!

あなた顔本当に厳ついのに中身ちょっと甘すぎじゃないですか!?大丈夫!?簡単に変な壷とか買わされてない!?言い方悪いけどチョロすぎて娘心配!!



「どうした?セツィーリア」


口をあんぐり開けたままである私に怪訝そうな顔をするお父様

危ない危ない、女の子としてあるまじき顔になってた


「あっ、な、なんでもありません。シェイルスさんの件ありがとうございます。そして勝手な事をしてごめんなさい」


「?勝手な事とはなんだ?お前は正しいことをしたんだ、謝る必要はない。むしろよく言ってくれたと私は思っているぞ」


「あっ…へへ、そ、それほどでも~」


「まあ、廊下で声を張り上げたというのは少々言いたいことがあるがな。せいぜいこの話がアメリアの耳に入らないことを祈るんだな」


おいおい、上げて落とすなんてなかなか意地の悪いことをしやがりますねさすが我が父

でも、私も激しく思う

お父様も人並みには気にするが母は結構私の礼儀作法にうるさいから、遅かれ早かれ耳に入るとは言え、とにかく今はばれないことを祈るだけ


祈るだけなのに



「ヴァーシス様、それはもう手遅れだと思います」


「…セツィーリア、私は結果的には良かったと思っているぞ。私は」


「ええ、お父様…私その言葉を胸に頑張ってきますね…!」






「ふふ、セツィーリアちゃ~ん??聞きましたよ?少しお母様とお話しましょ?」



まさか祈る時間すらくれないとは!!神様のいけず!!


美しすぎる笑みを浮かべるお母様を見て父に振り返り兵士みたいに敬礼した

ではお父様!セツは、セツは…!



「もう!セツィーリア!あれほど言ったのに!またはしたない事をしてしまったのね!?」


「いやいや、あれは仕方ないというか」


「口調もまた崩れて来てるじゃない!」


「(やばっ!)お、お母様、あの時は緊急事態だったので!」


「とりあえずセツィーリアは暫くお母様のお部屋に行きますわよ!改めて一から教え込んであげますわ!」


「お母様ー!!」



セツは修行に行ってまいります!!









お母様から開放されたのはそれから30分後の事だった


女性って怖い…30分の間一回も止まることなく喋り続けられるなんて、私には絶対に無理だ


しかもやっと終わったかと思ったら「今日はこのくらいにしておきますわ」って言ってたけど、今日はって何?何その今まで聞いた中で一番不穏で嫌な言葉

まさか次があるなんて言わないよね?私この30分でかなりゲッソリしてるのにこれがまた行われるかもしれないの!?……オーマイガー




顔をしかめてため息をつこうとした時思い出した


そうだ!シェリーとその妹さんは!?

もうそろそろ戻ってきててもおかしくないけど


立ち止まって考えていたらちょうどミリアーナさんが廊下の向こうから歩いてくるのが見えた



「ミリアーナさん!」


「お嬢様!ちょうど今呼びに行こうとしたんですよ?」


「おっ?どうかした?」


「つい先ほどアーレス様たちが戻られて、ドクターにも診せて今はお二人とも客間にいらっしゃいますよ」


「!シェイルスさんの妹さんは大丈夫だった!?」


「ええ、ドクターが言うには安静にしていれば数日で元気になると。怪我も軽傷で済んだみたいで、安心していいそうですよ」


「怪我?でも確か熱って…」


「どうやら、妹様は熱があったのに木の上で降りられなくなった猫を助けようとしたら、足を滑らせて転落してしまったみたいです」



転落!?無事って分かっててもこれは心臓に悪いわ…!

てか…話を聞いた私ですらこんなにヒヤッとするんだ…シェリーなんてもっと……!



「ミリアーナさん!私ちょっと様子見てくるね!」


「はい、行ってらっしゃいませ、お嬢様」


ミリアーナさんに見送られ、私は早歩きで(走ってるところを見られたらお母様にまた魔の空間引きずりこまれる)シェリー達がいるであろう客間へと向かった





コンコンッ


「はい」


「入ってもいいかしら?」



いつもより小さく響くノック音の後に少し声を潜めたようなシェリーの声

どうやら小さくノックしたのは正解だったみたいだ


扉を開ければ奥の方のベッドの上に一人の女の子が眠っていた

ベッドの隣の椅子には少し疲労が見えるシェリーの姿があった


静かにベッドに近づいていく

徐々に見えて来た女の子はシェリーの髪より少しだけ色を濃くしたような灰色寄りの銀髪のショートカットのかわいらしい女の子だった

高熱のせいで顔は真っ赤だったけど、症状は落ち着いているのか安らかに眠っていた


シェリーの隣に椅子を持ってきてそこに座る



暫く二人共無言だったが



「セツィーリア様、ありがとうございます」


またシェリーが私にお礼を言ってきた


「ありがとうはさっき聞いたからもういらないわ」


「いえ、俺が…私が言いたいんです。本当に、あなたがいなかったら私はきっと…」



言い淀むシェリーの次に続く言葉はだいたい予想がつく

だからこそ、言わせねえよ?



「ねえ、シェリー、私に感謝してるなら世間話をしましょう!」


「…はい?世間話ですか?」


「うん、世間話!えっと、とりあえずシェリーの妹さんのことを教えてくれないかな?」


実はさっきからこのかわい子ちゃんの名前が気になってしょうがなかったんだ!


「あっ、妹はキュアラです。キュアラ・アーレス」


「キュアラちゃんか!名前もかわいいな~!年齢は?」


「ユーリ様と同じで7です」


「ってことはシェリーとは一回り近く離れてるんだね!年の離れた妹ってよりかわいく感じるでしょー!」


「そうですね、でもキュアラがいくつだとしても私の大事な妹には変わりないですから」


「ふっふっふ、シェリーってやっぱり結構シスコンだね~、完璧人間の意外じゃないけど意外な一面?ふふ」


「どういう意味ですかそれ。そもそも、私は完璧じゃないですよ、第一完璧な人間なんてこの世には存在しません」



からかわれて拗ねたのか少しだけムキになってるシェリー、なんだよかわいいかよコノヤロー

でも、確かに



「シェリーは完璧じゃないかもね……だって、動揺したら一人称が俺に戻ったりする時あるし」


「なっ!き、気づいてたんですか?」


「そりゃ気づくよ、私アホだけど馬鹿じゃないから、あと鈍くもないし」


「それになんの違いが…いえ、やっぱり聞くのはやめときます」


うん、それがいいと思うよ?

語りだしたらややこしいことこの上ないから



「え~、語る気満々だったのにー!」


でも私はからかうのをやめるつもりはないよ~!


「やめてください、キュアラが起きてしまいます」


「あっ、それはダメだ。シェリーをからかうよりキュアラちゃんの方が何倍も大事だわ」


「事実その通りなんですけど、なんでしょうこのいきなり切り捨てられた感」



顔を引きつらせるシェリーの顔を見たら無性に笑いがこみ上げてきた


キュアラちゃんと起こさないように声を抑えてはいるがどうにも止まる気配がない

そしていつの間にか私の隣でシェリーにクスクスと笑っていた



ああ、やっぱりこれだ

これが一番心地いい

こうしてシェリーと他愛もない話をして、からかったり、意地悪されたり、笑いあったり

このなんでもない時間が一番私には大事だ



だからもう思わないよ、この時間が大事だから

思うことを完全にやめるよ、この時間を壊したくないから



「あなた自身のことを教えてほしい、なんて」


そんなことは私の口から………あれ?



「え?」


「………え?」



え?







えっ





「シェリー…私今なんって言った?アサシンを仕込んでほしいって言った?」



え、下手かよ

嘘下手かよ

ごまかすにしたってもっと他に言い方あったでしょ!?何!?暗殺者(アサシン)仕込めって!怖っ!!誰暗殺するんだよ!いやむしろ誰か私を暗殺してくれ!!



「………」


「………」



うわうわうわうわ最悪だああああああ!!!!

なんかめっちゃ見てる!!めっちゃこっち見てるうううううう!!

横を向くのが怖いからずっと膝の上に置かれた自分の手を見てるけど、横からザックザクと視線を感じる


ああ神様仏様大魔王様!後生ですから時間を巻き戻してえええええええ!!!








「セツィーリア様には刺激が強いですよ?」



「……へ?」



予想外に優しい声が聞こえて反射的に横を向いたら、シェリーが落ち着いた笑顔を浮かべて言った


拒否、されなかった、?す、少なくともこの前みたいな顔にはなってないからそこは一安心だけど…



「……大丈夫なの?シェリーは」



無理してまで話してほしいなんて思わない



「大丈夫ですよ。少し長くなりますが、この世間話をセツィーリア様に聞いてほしいと思ったんです」



でも私の心配とは裏腹にシェリーは本当にゆっくりと、落ち着き払って口を開いた







「なあ、エド」


「はい」


「気のせいか?アメリアは口ではああ言っていたが、なんだか凄く楽しそうに見えたんだが」


「いえ、気のせいではないです」


「…やはりそうだよな……セツィーリアも難儀な親を持ったな」


「あなたがそれを言いますか」



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