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ずるい



この大人の色気の権化みたいな人が!


今なんて言った!?


私の聞き間違いじゃなければ

さ、寂しいって…寂しいって言いましたよね!?


しかもテーブルに少し腰掛けるような感じで寄りかかってるからなんか必然的に私を見上げるような感じになって、上目遣いになってるしさ!!

もうあざとさに息切れしちゃうんだよ!!


それに、名前だって!


「アーレス先生ってちゃんと呼んでるじゃん!」


そう言えば少しムッとしたよう顔をしたシェリーに手を下に引っ張られた


それでさらに顔が近くなってしまい、もう頭が回らない



「まさかセツィーリア様からそんなよそよそしい呼び方をされるとは思いませんでした」


「よそよそしいって、みんなそう呼んでるじゃん!!」


「私とセツィーリア様は特別な関係だと思っていたのですが、そう思っていたのは私だけですか?」


「ヒゥッ」



手をギュッと握られコテンッと首を傾げて上目遣いで見てくる色っぽい顔面にストレートで殴られた


「いや、その、特別じゃないとは思ってないけど、、でも、そんな…」


運動をしているわけでもないのに息も絶え絶えになりながら答える

待って、まだまだお子様な私にとってこの色気は凶器すぎる

キャパオーバーが過ぎて私が潰れてまう…!!



ていうかさ!もうこれ何を言ったら許されるの!?どう言えば逃がしてくれますか!?



「先生だって困るんじゃないんですか?一人の生徒を特別扱いするなんて」



苦し紛れに出た言葉だったけど、教師としての責任感が強いシェリーには逆に効くかもしれない

ていうか、この際簡単に名前呼びたくないよね!ここまでからかわれたんだから、ちょっとくらい私だって仕返ししたいし!



「頑なに呼んでくれないですね、もしかしてセツィーリア様ムキになってますか?」


「違いますー、公私混同はしないってだけですー」


少し笑いが含まれてるシェリーの言い方が嫌で大人な対応をしたかったのに、言い方がとても子供っぽくなってしまった


チクショー!!絶対こういうとこがガキっぽいからこんなにからかわれるんだ!!

顔を横に向けて悔しがっていれば頬に手を添えられた


そのまま顔の向きを戻されて至近距離にまたシェリーの顔がこんにちはした

待って、もうこんにちはじゃなくてさようならしない?

あなたの顔心臓に悪いんだって!!



「もう、私の名前は呼んでくれないんですか?」


「うっ……」



だからあ!!目をうるうるさせるな!!あとその顔も!!



「ずるいんだってば…!」


「セツィーリア様?」


分かったよ!分かりました!言やあいいんだろ言やあ!!





「立派になって帰ってきたね、流石シェイルス先生」



「!……はい、セツィーリア様との約束ですから、頑張りました」





最後の抵抗として

シェリーの綺麗な髪をわしゃわしゃと乱す


セットされた髪を乱されてもシェリーは今日一番の笑顔で喜んでくれた


その姿を見ると今までムキになっていた自分が恥ずかしくなる

こんなに嬉しそうにしてくれるならもっと早くに言ってあげれば良かった




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