答え合わせ
最悪だ…!!
私としたことが本当に今の今までこいつのことを忘れていたとは!!
自然と顔を顰めた私を見てケラケラ笑ってるハルに余計に腹が立つ
だいたいいるならいるでもっと存在感を出して欲しいものだよね!!全くもう!
はっ!ていうか私とソフィがいるところをハルに見られてしまったけどそれは大丈夫なのだろうか…
クロスのことについても詮索してきたんだ
なるべくこいつには私の大事な人たちに近づいて欲しくない
…そうと決まれば、早くソフィを連れてここから離れなければ
「ソ」
「フィー、鍵貸してくれてありがとね~」
「いきなり鍵を貸してって言うし、その後屋上に来いって言うし一体何事かと思ってたけど」
「ぜ~んぶ俺が頑張ってる幼なじみにご褒美をあげたくて仕組んだことでした~!どう?俺のサプライズは気に入ってくれた?」
「はは、ありがとうハル。セツに会えるのはもう少し後になってしまうと思っていたから、こんなに早く会えて嬉しいよ」
え?ちょっと待って
何この見るからに仲良しな感じは
普通にめちゃくちゃにお友達じゃん!!
ていうか、聞き間違いじゃなければ、今ハル、ソフィと幼なじみだって言ってたような…
呆然と二人のやり取りを見ていたが、二人の視線が私に向いたところで我に返ることができた
「二人は、幼なじみ…なの?」
「そういうこと~」
真意が知れない笑みを浮かべながらそう言ったハルの隣でソフィが今思い出したかのように言葉を続けた
「そっか、セツには言っていなかったね!ハルと出会ったのは僕がセツに救われたすぐ後だったんだ!…今でも思うけど、セツと出会って変わろうとしていたあの時の僕だったからこそ、今こうしてハルと友達になれているんだと思う…ありがとう、セツ」
改まってお礼を言うソフィだけど、私からしたらお礼を言われるようなことは何もしていない
きっかけは私かもしれないけど、ハルと仲良くなったのも、ソフィが変われたのも全てソフィが自分で成し遂げてきたことだ
「ソフィ、私は何もしてないよ、ソフィが今までに築き上げてきたものは全てソフィが自分で頑張った証なんだから」
「それでも」
「でももだももありません!とにかく!私は何もしてないんだからソフィはちゃんと自分の力で今に至ってるっていうのを認めなさい!」
「!」
ソフィのすべすべできめ細かいほっぺを引っ張りながら(に、肉が少なすぎて全く伸びない…!)言い聞かせるように言った
頬を引っ張られたことなんてないのだろう
とても驚いた顔をしているソフィはちょっと面白かった
普通ならここで「変な顔~」なんて言ってからかったりするのだが、ソフィは例え頬を引っ張られていてもお世辞にも変な顔にはなってないし、むしろかわいさがアップしているんじゃないかとさえ思ってしまう
うむ、やっぱり天使はどうなっても天使のままだな
また一つ目の保養になったわ
少し楽しくなって伸びない頬をぷにぷにしていたら
一瞬だけとてつもない敵意を感じた
突然手を離して険しい表情を浮かべた私が心配だったのだろう
「セツ?どうかしたかい?」
ソフィが少し戸惑ったような表情を浮かべながら私の顔を覗きこんだ
それに軽く「大丈夫」と答えてから一度深呼吸をした
ここにいるのは私とソフィとハルだけだ
目の前にいるソフィからの敵意ではないことは確実
てことは…
「ハル」
「なぁに?」
「答え合わせをしようか」
「……いいよ~」
これも、あんたが私に絡んでくる理由の一つなのかしらね?…ハル




