序章
注意!! この小説はチーレム異世界転生へのアンチテーゼです。
それらの類が好きな方は『今すぐ』ブラウザバックしてください。
「こ、これは……」思わず言葉を失う少年皇帝。あれは、この世のものとは思えない程に残酷な光景だった。
炎や氷等を纏った美少年や美少女が、『ケケケケ』と気味悪く笑いながら、森林や田畑を燃やし、川や海を凍らし、竜巻で民家を吹き飛ばし、隕石を降らしている光景ー。
地上は地獄と化し、逃げ惑う人々や子連れの女性達。 中には逃げ遅れて犠牲となる人もいた。
『奴等』が現れてからわずか数秒で、死者はとんでもない数に膨れ上がり、あちこちに死体の山ができた。
「『奴等』は一体、何者なんだ?」少年皇帝は、そばにいた古くからの家臣に尋ねた。
「『奴等』はー」
「『奴等』は?」
「平成の日本から来た『チート異世界転生者』でございます」
「…何それ!?」聞き馴染みのない言葉だ。詳しく知りたい。とばかりに、少年皇帝はその言葉に食いつく。家臣はささっと手にしたタブレットで『チート異世界転生者』と調べた。
「えーっとですね…『チート能力』とかいう本来は人間が持ってはいけない能力を神から貰った者達のことです。 彼等のせいで多くの世界が荒らされました。 ある世界は滅び、ある世界は現地民が元気や覇気をなくし、ある世界では『チーレム能力』を持った人間のせいで世界中から女性がいなくなりました」
「……そう」少年皇帝はうつむいた。自分の帝国も滅ぼされてしまうのかとしょんぼりとしている。
(奴等は、この大国さえもひねり潰してしまうのかな)
少年皇帝は、自分の帝国の歴史を思い出した。
科学と『掃除機の力』で多くの宇宙を併合し、わずか400年ちょっとで『宇宙帝国』へと進化を遂げた、自分の愛する帝国をー