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赤の章  作者: 叢雲ルカ
赤の章
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終章 橘蓮が目指す世界

 蓮は携帯電話をじっと見ていた。

(僕は天才なのに、どうして凡人と同じように悩んでいるのだろうか?)

 今、蓮は頭を抱えていた。

「蓮君。どうしたの?」

 背後から蘭の声がした。

「なっ、君はいきなり現れるな」

 蓮は驚く。

「何よ」

「大体、何で毎日来るかな。本当に暇人だな」

「失礼ね。バイトよ」

「週3日、5時間労働だろう。それ以上働いていて、何がバイトだ」

 緋矢もその分のバイト代しか出していない。

 緋矢は別に強要しておらず、蘭が無理矢理ここに来ているのだ。

 蘭も、バイト代を請求しておらず、緋矢は間違った事をしていない。

 だから、蓮は緋矢ではなく、蘭に直接言うようにしていた。

「五月蝿いわね。あまり細かい事を気にしないの」

「全然、細かくないと思うけど、それで、今日は何しに来たの? 宿題の手伝いも、君の無茶振りも今は付き合う気はない」

 今、甘い物につられて、宿題の手伝いも、好奇心が動かされる玩具もする気は無かった。

「そうよね。今、瑠衣に連絡しようとするか、しないかで、困っているんでしょう」

「なっ」

「違った?」

「むっ」

「図星だったのね」

「別に、あんな奴」

 蓮は携帯電話をしまう。

「素直に電話しなさいよ」

「何で?」

「謝りたいんじゃないの?」

「別に」

「じゃあ、何で、悩んでいるの?」

「何でって、そりゃ」

「あっ、もしもし瑠衣?」

「聞いてる君!」

 蘭は瑠衣に連絡をしていた。

「って、現在使われて無いって、何よそれ!」

 蘭が激怒する。

「また、携帯変えているみたい。あの人しょっちゅう代えるから、仕事用は」

 蓮は本を読んでいた。

「仕事用?」

「瑠衣はプライベート用と仕事用と使い分けているんだよ。知らなかったの?」

「知らんわ!」

「あと数時間したら、その連絡がくるんでない?」

「何よそれ」

「君のタイミングが悪いんだよ。それと、君を仕事用にしているって事は、その程度にしか思っていないんだよ」

「なっ」

「君が、瑠衣の彼女になったら、プライベート用を教えてくれるんでないの? そっちは機種を変えるだけだから、番号変わらないし」

「蓮君はもう1つの連絡先を知っているんでしょう。連絡しなさいよ」

「君が無理矢理電話をした段階で、する気失せた。考えてみたら、僕と瑠衣が仲直りしても、僕に何の得が無い事を思い出したから止めた」

「諦めるの早いわよ」

「違うよ。論理的に考えたんだ。そうすると得が無かった。僕の気苦労が増えるだけだから、瑠衣は君と同じでトラブル体質で、あたたた」

 蘭は蓮の背中を抓る。

「五月蝿い。仲直りしなさい。携帯貸しなさい」

「嫌だ」

 蘭が携帯電話を取り上げようとしたが、蓮が携帯電話を床に落とし、踏み付け壊した。

「ちょっと」

「今の僕にはあまり必要ないだとう。幽閉されているんだし。それに番号は僕の頭に番号を全て入れている。壊れた所で何の問題も発生しない」

「ちょっと、そうやって自分勝手に動いて、本当にそれでいいの?」

「いい」

「どうして? 何も良くないよ。2人は仲が良かったんでしょう。そんな思い出を否定しないでよ」

「否定? 違うよ。もう、戻らない事にしがみ付きたくないんだよ。悲しくなるだけだから」

 蓮は立ち上がり、歩き出す。

「蓮君」

 蘭も付いていく。

「ともかく、もう、この事に突っ込まないでくれない? これは僕で解決しないといけない事だから」

 書斎の扉を開ける。

「じゃっ、僕、昼寝するから、君も帰ったら?」

「蓮君」

 書斎に1人入り、蘭は取り残された。

「もう、でも、何とかするつもりなのね。分かったわ。蓮君。携帯修理してくるね」

 蘭は壊れた携帯電話を持って、家を飛び出した。

「別に必要ないのに、おせっかい」

 蓮は別の携帯電話を持っていた。

 そう、蓮も2台所持していたのだ。

「まあ、いっか」

 蓮はイスに座り、瑠衣にメールをした。

 ありがとう。ごめんさない。許して下さい。

 それとは別の言葉を入れた。

『又、遊びたい』

 それは瑠衣の言葉の返答でもあった。

 そうする事で再び瑠衣に会える気がしたし、どの言葉より、今はそれが良いと感じた。

 謝っても許してもらえる物かと、疑問視も蓮はしていたのだ。

 蓮はメールを送り、その後、返信は来なかった。

 しかし、すぐにでも会える自信が蓮にはあった。

 柳川瑠衣と言う男を蓮はよく知っていたからだ。

 蓮はそれまで、楽しみに待つことにした。


                               終わり。


続きは気が向いたら続き書きます。



つまらない作品を読んで頂きありがとうございました。

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