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赤の章  作者: 叢雲ルカ
赤の章
1/6

序章 異能力がある世界

 それはどこかの世界で起こったお話。

 世界は無限に広がっている。

 今日の選択で明日は変わり、明日の選択は過去に繋がる。だから、世界は全て同じではない。

 世界が違えば人も変わる。

 今日の世界と明日の別の世界。僕は違う世界で人と触れ合う。

 そして、僕は知った。世界は僕が思っている以上に悪くない。と。だから、僕は世界を旅する。


『時の放浪者の手記より』

 西暦2010年。

 異能力者が存在している日本。

 元素が実体化する力。西暦1980年頃に地球上で突如として、生まれた異能力である。

 地球はあらゆる異常気象で、荒廃していった。

 自然の均衡が取れなくなり、人間の身体にも異状が現われ、突然変異したようだ。

 それが異能力者を生んだ事にも関係していると言われているが、まだ、謎の多い力である。

 異能力者は火、水、土、風、雷のどれか、1つの元素、1つの力を操っていた。

 異能力者達は生命と繋がっているので、異能力者の命とも密接に繋がっている。

 そんな異能力者であったが、自然が警告しているはずだが、人々は警戒する所か、異質な存在を忌み嫌い差別していった。

 舞台となるのは、日本の東京。ここも例外では無かった。

 この物語は異能力者同士の戦いを綴ったお話である。



 西暦2010年春。

『橘蓮。お前は太陽の下を歩く事を禁ずる』

 言われても可笑しくない。か。

 橘蓮はある事件をきっかけに、外に自由に出られなくなった。

 しかし、蓮はそれを受け入れ、抵抗もせず、言われるがまま幽閉された。

 蓮はと言う男は、顔は悪い訳では無いが、チビで、童顔で、モヤシであった。

 子供のような容姿だが、立派な二十歳の成人である。

 蓮は世田谷区の一軒家で独り、長い時を過ごしていた。

 1階はあまり使われていないキッチンに家具で密集したリビング。資料が納められている書斎がある。

 2階は寝室と秘密の部屋と本棚の三部屋。

 そして、地下もあり、地下は書庫となっていた。

 独りで過ごすにはあまりに広い部屋だった。

 しかし、蓮にとってはそんなに広い部屋でも無かった。

「橘さん。宅配便です」

 ダンボール2つ分の本が送られてきた。

 蓮はダンボールを1つずつ、息を切らせながら六畳の書斎に運ぶ。

 ガムテープを取り、本を積む。

 積み終わると、アイスコーヒーを入れソファに座り本を読む。

 蓮は本の虫で、1日10冊以上の本を読破していた。

 完全に本の虫であったが、それ以外にも、ゲームをやったりテレビを見たりしている。

 そうする事でしか、長い時を室内で過ごす事は出来なかった。

 辛いとかそんな気持ちにはならない。

 元々、そんなに外に出るのは好きでなかったし、友達もいない。

 幽閉されても、あまり困らなかった。

 そうやって半年と言う長い時間が、あっという間に過ぎ去った。

 このままずっと過ぎ去るものだと蓮は思っていた。あの日までは……。

「君。宅配業者でも何でも無いよね? 僕になんの用? 出来る事なら、帰ってくれない?」

 蓮は偏屈な男であった。

 目の前に可愛らしい女の子を、話も聞かずに追い出そうとしたからだ。

 しかし、この出会いが、蓮の人生を変えた。

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