第0項目
第0講目
最底辺の少年と最高位の少女
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
3月下旬、この日は入学式の日だ。何故、一月繰り越しなのだろうか、と新しい制服に身を纏う少年は思った。桜並木が花びらを散らして少年を歓迎するようで拒んでいるように思えた。少年は歩みを止めずに桜並木の道を行く。そうすると見慣れた少女がこちらへ向かって走って来る。
???「あ、春希!今日は入学式だね!」
少年は月音春希と言う。少女は春希の幼馴染みである。
春希「そりゃ今日なんだからそうだろうよ…しっかりしてくれよ亜鈴…」
少女の名は佐倉亜鈴。春希とは同じ小学校、中学校で、家同士が仲が良かったので古い付き合いになる。
亜鈴「いやぁ、ごめんごめん…私、頭悪いでしょ?だから、ね?」
春希「あぁ、まぁ、そうだな…」
よく入学式を覚えていたものだ、と春希は思った。亜鈴には1つ、得意な分野があった。その分野は春希との実力差があまりにもあり過ぎて春希は妬みを通り越し諦めていた。
そうこうしている内に春希達の通う高校。大学と中学もある一貫校だ。
春希「……デカイな、思ってた以上だなこりゃ」
亜鈴「うん、大きい…」
国立法技研究学園。ここが春希達の通う学校だ。春希は自分の腕時計を見る。もう時間だ。
春希「時間だし、会場行かなきゃな。」
亜鈴「だね!同じクラスになれるかなぁ…」
春希「なれるといいな。」
春希達は入学会場へ出向いて行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
春希「クラス割?なんだそれ?」
春希は廊下に貼られていた貼り紙を見て拍子の抜けた声を上げる。
???「なんだお前、そんなことも知らずに来たのか?」
春希は後ろの音源に体を即座に向ける。その身長は軽く180を越している高身長で、靴の色からして2年生だろう。
???「新入生だろ?クラス割ってのは自分の実力でどの階級になるかを決めるまぁ、いわゆる試験みたいなもんだ。」
春希「はぁ。そうなんですか…」
???「自己紹介遅れたな。俺は松野 健哉。プリエラニルガ所属、高校二年だ。」
春希「月音春希です。今日からここの生徒になります。」
ここの学校のクラスは分類として3つに別れる。
一つ目は1番良いクラス、マギクレシア。ある能力が格段と強いクラス。
二つ目は中間のプリエラニルガ。ある能力がずは抜けている訳でもない普通のクラス。
そして一番悪いクラスが、ノルマリオである。ある能力を持っていない者達の集まるクラス。別名、能無し共の吐き溜め。
そのクラスを決めるある能力とは、魔法である。
ある日突然魔法を持った人間達が生まれた。その人間達は俗に、魔術師と呼ばれていた。そうしてくると、魔法を持たない人間達が自然と出てくる。そういった人達は魔術師よりも何故か運動神経や、頭の良さが格段と上なのだ。この人間達を
神脈世代
と呼んだ。
現在の世界は殆どの人口が魔術師であり、神脈世代の人間こそ少ない。
健哉「もうそろそろ時間だぜ。会場は南校舎の第2体育館だ、頑張れよ!」
健哉に喝を入れて貰った春希は元気よく返す。
春希「はいっ!アドバイス等、ありがとうございましたっ!」
そして春希は第2体育館へと足を急がせた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
???「…ふん…あんなのが私のターゲット?有り得ないわ…」
その少女は1人の駆ける少年の方を向き、呟く。
その少女の居る場所は、この学校の廊下である。
???「全く…やる気無くすわ…本当に…」
心底うんざりした口調でため息をつきながら放つ。
???「私に殺されるだけ、感謝しなさいよ…月音春希。」
そういうと少女はそこから跡形もなく消えていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
春希が第2体育館に着く頃にはもう新入生の喧騒で埋め尽くされていた。そこには見慣れた少女の顔も見受けられる。誰を隠そう、亜鈴である。
春希「…広いなぁ、ここ…金どんだけかかったんだよ、この体育館。」
関心と興味が融合した感情が声に出る。春希はまじまじと建物の構造を見つめる。
教員「ほら早く並べー。遅れると即刻退学だぞー。」
春希「やばッ、早く行こ。」
新入生が慌ただしく並ぶ。春希も遅れまいとして、早急に並ぶ。並んだ場所は最後尾だった。
教員「これからクラス割を始めるー。それぞれ個別に魔力量を測る。尚、不正行為等、あった場合は中止とするー。」
ざっくりとした物だったが、春希は理解する。春希は気が気でないルールなのだ。春希には一つの隠し事があった。春希は自分の番が回って来るまでに言い訳を考えなければならないと思っていた時、周囲から歓声が上がる。その歓声が浴びせられる方へ向くと一つの青白い光の柱が立ち上っていた。これは魔力がオーラの様に見えるため、こうして柱の様に見えるのだ。
春希はこの魔力の感じに思い当たる人物がある。その人物とは…
教員「うむ、佐倉亜鈴!マギクレシア確定!」
そう、亜鈴だった。亜鈴は昔からの付き合いだが、亜鈴の魔力量は目を見張る。
亜鈴「えへへ…ちょっと照れくさいかな…」
亜鈴は顔を赤らめ、頭を掻いた。
それから、春希の順番が来るのはしばらくしてからだった。
教員「次ー、月音春希ぃー。」
自分の名前を呼ばれ、春希は自分が最後なのを確認してから、
春希「すいません…身体測定等はないんですか?」
と尋ねる。
教員「一応あるが、それはノルマリオを認める事になるぞ?それでいいのか?」
春希「構いません。少しだけ、運動には自信があるんです。」
教員「そ、そうか…じゃあ反復横跳び三十秒やるぞ。」
教員は少々面食らった様子だったが、了承をした。
教員「よし、やるぞー。」
春希は精神を集中させる。神経という神経に即座に反応させるための精神集中。
教員「さーん、にーぃ、」
カウントダウンが始まる。始まった瞬間に筋肉をいかに早く動かすかでこの測定は決まる。
教員「いーち…」
足に力を込める。そして、始まる。
教員「スタートッ!」
合図と共に大地を蹴る。そして左足を白線の外に出し、右に飛ぶ。
まさに疾風。春希の動くスピードはケタ違いに速すぎた。教員はこの一瞬で脳裏にある単語が浮かぶ。そして察した。
彼は、神脈世代なのだと。我々、魔術師とは段違いの種族なのだと。
この三十秒は永久とも思えた時間だった。
春希「ふぅ…何回でした?自分で数えた限りじゃ、3160回でした。」
回数でさえ、違う。魔術師の平均は354.6回なのに対し、だ。魔術師と神脈世代との差は絶対に埋められない。
教員「あ、あぁ、そう、だな…」
動揺を隠しきれていないのか声が震える。また、神脈世代が居るなどと思いもしなかったからだ。
春希「あ、そうだ先生。」
教員「な、なんだっ?!」
驚きを隠せず声がうわずってしまう。そうして、春希が口を開く。
春希「俺が、神脈世代なのは内緒でお願いしますね、先生。」
春希は一瞬だけ、感情を込めて言い放つ。教員は背筋に氷を落とされた様な錯覚に陥り、動揺する。
教員「わ、分かっている。この事は絶ッ対に口外しない、これでいいのか?」
春希は微笑むと、
春希「はい、頼みますよ。先生。俺…この事バレると大変なんで…」
頭を掻きながら、そう言った。
こうして月音春希は最底辺の常識を覆す人物になる。
その事はまだ、未来の事。今は、最底辺として生きていく事となる。
未来は誰にも予知出来ない。何が起こるか分からないから、未来なのだと。
春希はこの事を、知る由もなかった。
次回、~最底辺の少年は出会う~
あとがき
作者の神威です。
この度は自分の処女作、魔法使いのアイゼンロザリオを閲覧して頂き有難うございます。この世界観は、神脈世代という魔力を持たず、魔法が使えない人間の月音春希という少年を中心として物語が進んで行きます。亜鈴とは違うクラスになった春希ですが、これからのストーリーはもう作者の頭の中にありますので(笑)。そして、あの少女は一体誰なのか!?(次回も見て下さるなら)楽しみにしてて下さい。
…余った。どうしよう。最近起きたショックな事を書いていきますか。
・コーヒーがこぼれて、スケッチブック1個無駄にした。
・妹に先に買っておいたゴッドイーター2レイジバーストをクリアされていた。
・妹が私のガンダムダブルオークアンタのプラモ作り終えてた。
え?ショックじゃないかだって?
一つ目はあれかもだけど、残り2つ結構ショックだよ?妹は何でもかんでも私の部屋の物漁って、面白そうなのあったからって手をつけるようなお転婆娘だよ?
そろそろ厳しいので、この場をお借りしてお礼を。
この第0講目が出来上がったのは、友達のT氏、S氏、F氏等、様々な方々に支えられていなければこの小説、魔法使いのアイゼンロザリオは出来上がっていませんでした。
ですが、この小説を見てくださった方々にも感謝します。私大感激です。
第1講目まで待っててくれるのなら、長い目で見守ってて下さいませ。