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ボクとランのモノガタリ  作者: 今田信義
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ランとの会話

夏休みになったけど、殆ど学校に行くことはなかったので毎日が夏休みみたいなものだった。勉強の方はさっぱりだったけど、お父さんもお母さんも、何も言わなかった。

時折、学校の先生が家を訪ねてきた。


「具合はどう?」


「うん!大丈夫っ」


先生は僕の病気のことを、知っているのか知らないのか分からなかった。

先生は、僕の前ではいつもニコニコと笑顔を絶やさないが、その笑顔の中に、なんとなく悲しみがあるように感じた。なんとなく無理して微笑んでいるように見えた。


先生は僕と会話したあと、暫く奥の部屋でお母さんと話をしていた。

いつもそうだった。


お母さんと先生が話をしている間、僕の話し相手はランだった。

ランは何でも聞いてくれる。

文句も言わないし、お説教もしない。

黙って目を閉じて、僕の話を聞いてくれる。


「ねえ、ランはさ、いつも目を閉じてるけど、何を考えてるの?」


「ふーん、そうか…何も考えてないのか…」


「ランっ」


「もうっ!遊ぼうよっ。ランっ」


ランの顔をのぞくと、ランはいつの間にか目を開けて、ボーッとベランダを眺めていた。僕はてっきり眠っていると思ったので、ランが僕の話をちゃんと聞いてくれていたことが、とても嬉しかった。


「ランっ!大好き!」


ランを抱き寄せ顔を近づけた。


ランは、ペロペロ、僕の顔をなめた。


夜眠るとき、熱がないとき以外はいつもランと眠っていた。

ランは僕に抱かれてスヤスヤ眠る。と、思っていたが、朝、目覚めるとランはいつも僕の足元で丸くなって眠っている。


ある朝お母さんに言われた。


「あきらちゃん、ランちゃんはヘルニアって言ってね、腰が悪いの。だから、抱きしめたりしてあんまり負担かけさせたらダメよ」


「この前、歩き方が変だったから、獣医さんに診てもらったの。そしたらね、ヘルニアですって。その影響で脚も弱っているみたいなのよ」


「だから、いたわってあげないとね」


お母さんは、ランの頭を撫でながら優しく僕に言った。




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