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ボクとランのモノガタリ  作者: 今田信義
2/9

友達

僕たち親子はマンションの一室に住んでいて、ペットを飼うことが許可されていたせいか、隣の家や、その隣の家の人も犬や猫を飼っていた。


小犬を連れ帰ってきた夜、早速、何て名前にしようかという家族会議が開かれた。


僕が、


「ジロちゃんがいいな」


と言うと、お母さんは、


「ジロって顔じゃないでしょ」


と、反論された。


お父さんは酔っ払っていつの間にか寝てしまい、家族会議は、お母さんと僕の2人だけになってしまった。


「あきらちゃん、可愛い名前にしましょうよ」


そう言ったお母さんは即座に、


「けど、確かこの子、10歳って言ってたわよね」


「うん」


「10歳の犬って、人間の歳で言ったら何歳くらいかしら?」


「わかんない」


「きっと、お父さんと同じくらいよ」


僕は驚いた。


「こんなに可愛い顔して、小さいのにお父さんと同じくらいなの!」


「そうよ。ワンちゃんはね、歳を重ねても、あまり変わらないのよ。シワができるわけじゃないしねっ」


お母さんは、笑いながら小鼻をきゅっとよせた。


結局、


『ラン』


と言う名前に落ち着いたが、別に、意味はなかった。


ただ、お母さんが、


「ランちゃんでいいわね」


と言ったからだ。


すかさず僕は、


「ランって女の子みたいだよ。お父さんと同じくらいの歳だし、オス犬だよ」


「いいの。可愛いし、大人しいから、いいじゃない」


と、膝元で寝ているランの頭を撫でて、お風呂に入っていった。


僕は、ランを見た。

ランは、ぼーっとした顔で僕を見つめ返した。


「らん、僕たちは、今日から友達だよ。明日から、一緒にご飯食べたり、お散歩行ったり、遊んだりしようね」


ランは、黙って僕を見つめ、すぐに丸くなって目を閉じた。


「すぐ寝ちゃうんだなこの犬は」


僕も、ランの横に体を横たえた。


「ねえ、ラン、僕はすぐに熱を出すんだ。なんでかな。みんな元気に遊んだり走ったり、缶けりとかしてるんだよ。なんで僕は走ることが出来ないのかな」


ランは目を閉じたままでいる。


「けどさ、僕もすぐに元気になって友達いっぱい作るんだ」


「そうしたら、一緒に外で遊ぼうねっ」


僕はランを抱きしめた。ランはされるがままに黙って抱かれていた。


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