第5話 次のサイクルへ(2)
つまり簡単に言うと彼らは宇宙人だった。
そう、モノリスがその星に住む生命の進化を促したのは地球が初めてではない…。
どこか宇宙の中心から放たれたモノリスは多くの星の生命をそうして導いていた。
カレンは未だに答えを出せないでした。
けれどカレン以外の5人が明確に答えを出せば…きっと自分もその流れに乗ってしまう。
カレンはそう言う流れになってしまうのをすごく怖く感じていた。
(どうすればいいのかな…)
やがてモノリスに選ばれた約束の子供達がモノリスのもとに集まってきた。
みんな独特の雰囲気で信念を持った顔つきをしていた。
それにみんな全ての事情を知って自分の役割を自覚した上で集まって来ているのが分かった。
カレンは自分だけが場違いな場所に来ていると感じていた。
それで自分を導いたモノリスに対してカレンは自分が選ばれた理由を聞いた。
けれどモノリスはそれはそう言う資質を持って生まれたからだとしか答えてくれなかった。
努力して手に入れた資格ではないからこそカレンは余計に自分に自信が持てなかった。
少しでもヒントが欲しいと思い無意識にモノリスに触れるカレン。
地下世界の住人にとってでさえそれはタブーだったようでその時の残り5人の慌てようったらなかった。
「?!」
「あっ!」
「おいっ!」
「な、何をっ!」
「早く手を離して!」
実はモノリスは常にある種の磁場を発生させていて誰にも触れられないものらしい。
では何故カレンがそんなモノリスに触れたかと言うとそれはその力をその身に少し宿していたから。
そう言う意味でもカレンは"特別"だった。
モノリスに触れたカレンはモノリスに宿っている宇宙の記憶にアクセスしていた。
それは俗に言われているアカシックレコードの記憶と言うものなのかも知れない。
その記憶はあまりに膨大過ぎて彼女の頭ではさっぱり理解出来なかった。
けれど気が付けば彼女は無意識の内に自然に涙を流していた。
モノリスを通して流れてくる意識は深い慈愛に満ち溢れた存在だった。
その優しくて偉大な愛情が宇宙全体を包んでいるのをモノリスを通じてカレンにも感じる事が出来た。
「私は…」
モノリスに触れたカレンは口を開いた。
それは恐れも迷いもなく自信に満ちた口調だった。
世界は…何も変わらなかった。
いや、少しずつは変わって来ているのだろう。
けれど、それに気付いたのはごく少数の人間だけだった。
カレンの決断はモノリスですら想定外だった。
この星の悲しみを引き受けると…。
星ですら受け止めきれない様々な想いの洪水を…。
「私が少しでも肩代わり出来ればきっと変化は緩やかになるはず…だから」
カレンの決断に残りの子供達は最初は驚いていた。
何を無茶なと止める子もいた。
けれどカレンの決意が強い事を知った子供達は次第に彼女に協力する事を決めていく。
最初に動いたのはルイだった。
ルイがカレンの手を繋ぐ。
するとカレンに流れていたエネルギーがルイにも伝わった。
手を繋ぐ事で想いを共有出来る事がその時に分かった。