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転生者、闇に潜む  作者: つぶれあんぱん
9/19

闇に生きるもの9

 月日の流れとは早いものである。


 あれから、あの日よりちょうど一年が立った。転生しルーナや、フェーゴ、あの討伐隊の隊長に会って王都に来て……本当に忙しい毎日だった。

 王都は北、西、東を広大な森に囲まれその森の面積は計り知れないほどだ。そして南を20km程進むと穏やか海が広がり他の大陸に繋がっているという。

 王都は主に海路より他国から物資を調達し、自国の広大な森より木を切り出し加工することで売却、森より魔物を狩り売却。そういう形で成り立っているという。

 それだけで国の経済が成り立つのか最初は不思議だが、大丈夫らしい。心配してもしかたないが、大丈夫というのも、王都は城から海までの海岸のほとんどが教育施設なのだ。

 教育施設と言えど、その本当の意味は戦闘訓練、戦闘に関する教育をし、卒業してからは他国の傭兵または軍に入る。魔法を志す者も同じくか、或いは魔法研究機関に就くか、はたまた王都に残る者、教師になる者と様々らしい。

 そして職に就きある一定の年齢まで、賃金の中から金を王都に支払う、また貴族など、ただ単に学校として入ってきたものは授業料を支払うという形を採っているのだという。よく就職組が支払いをしないという事態が起きないものだと考えたが上手くいっているらしい。

 話がずれたが月日の流れとは早いもので今年から高等部、日本でもおなじみの高等学校への入学の日だ。

 最初は魔族とういうこともあって何歳だと笑いながら聞かれ18だと答えると驚かれたものだ。実際には年齢を確認する術はないので本当の年齢は謎だ。

 見た目は人でいう13歳ぐらいらしいが、魔族ということもあって謎だったと当時フェーゴが言っていたのは記憶に新しい。

 この一年間は今の世界について教えてもらっていたり、王都のなかを案内されたり、住むところを将来は王都のどこかの職に就くという条件で無償で提供してもらったりとよく考えれば怪しい話だがとても有難い話であったので二の返事で承諾してしまった。

 当然ながら教師役や色々と用をしてくれたのはルーナであり頭が上がらない気持ちだ。

 このまま王都に仕えても良かったのだが、他人から見たハジメとは『美少女ではあるが口数がすくなく話かけずらい、いや友達が必要だ!』「「「それだ!」」」ということで決まったものだ……。

 まぁとにかく今日はその学校の入学式だ。

 今の住居はルーナの部屋といっても隊長クラスの住む場所は城での居住区画なのだが、かなり豪華だ。その一室を借りている。

 城から南に大通りを歩く。

 高等部の学校があるのは大通りの中間あたりで、その種類は様々でる。ハジメが通う王都立魔法学院は城からも見えるほど大きい。

 とにかく今は緊張で頭が痛い。


 「今日は入学式だけと言っていたから大丈夫だ」


 「甘いわよ。入学式から学校は始まっているんだもの」


 頭が痛い原因の一つに今朝のルーナとの会話もある。


 「いいこと?これからは女性の言葉で話すのよ。今までは俺といっていたけどこれからは、私よ。あとは名前。大丈夫よね?」


 「あぁ……ロレーヌ・イニティウム・オリカルクムだろ……でしょ」


 「よくできました。可愛い妹が出来てうれしいわ」



 そう……ルーナの養子にもなったのだった。ここまで甘えていいものか迷ったが、ルーナが言いだしたことだし、まずルーナに家族はいなく是非ということでこれも了承したが……。


 「いや、まぁもういいか……それより学校だ……」


 明後日から建国祭ということもあってか朝早くから通りは賑わっていた。

 ここ何日か朝から聖歌隊が町の様々な教会で歌の練習をしている。その歌はこの国がいかに国民から愛されているかが窺えると同時にどういう成り立ちかも分かる歌だ。たぶん国歌なのだろう。




 歌をうたう。我らはうたう

 この国のために

 我ら生まれた地は違えど想いが繋がっている

 ここに巡り合えた奇跡と喜びを共にうたおう

 威厳と誠実と誇りと愛で国を讃え

 威厳を剣に

 誠実を盾に

 誇りを胸に

 愛を唇に

 ともにうたう……


 

 「意外に嫌いじゃないよな……この国」


 そうしているうちに学校につく。

 

 「ここはもう覚悟を決めて……はぁ……」


 のちにG美人(がっかり美人)といわれる日はそう遠くない。

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