闇に生きるもの13
やはりルーナの部屋は落ち着くなとロレーヌは思う。それにしてもここは居心地が悪いと溜息をついている。
そう……悪すぎるのだ。
目の前には三日月型のテーブルに先生方4人と中央に学院長が座っている。
先生方は苦笑いを浮かべているが、学院長はというと額に青筋を浮かべプルプルと震えている。
時は少し遡りゴーレムを倒した後だ。
静まり返る会場にミシェルが叫ぶ。
「ロレーヌ!すごく良かった!僕の魔法も凄いけど、君の魔法は見たことないし格好よかった!べらぼうに強かった!」
ミシェルはそう言うとサムズアップする。こんなキャラだったかと不思議に思い首を傾げるが……まぁ取り敢えずはそれに答えサムズアップする。
瞬間、静まり返っていた会場は歓声につつまれる。
ミシェルによって粉砕されたゴーレム。それを更に上回るロレーヌによる圧倒的なまでの強力な魔法は会場を沸かすには十分であった。
それを遮るように大声が上がる。
魔法によって最大音量までボリュームをあげられた怒鳴り声は耳を貫かんばかりに響く。
「この馬鹿者どもがぁぁぁ!ゴーレムを粉砕するやつがどこにおるんじゃぁぁ!二人とも学院長室にこい!」
「学院長。血圧が上がりますから。それに怪我がなかっただけいいじゃ……」
「怪我などするわけなかろうが!出力を抑えたゴーレムじゃぞ!それを二体も……馬鹿、ワシは大丈夫じゃ……なにをするんじゃ!」
先生方がなだめているがキリがないと言いながら奥に引き込まれていく。
「ワシは学院長じゃぞ!!何をする貴様ら!って、アーッっっ!」
ーー今日の試験は中止します。明日予定を一部変更し、まだ試験を受けてない生徒は午前中に試験を始めますーー
「お前たち……ミシェルにロレーヌと言ったな。今回の件は大目にみる。大切なことじゃから二度言うが、大目に見てやる。先生方に感謝するんじゃな」
学院長はそういうと、そっぽを向く。
「今回の件は学院長が大目に見てくれるそうで良かったですわぁ。それしてもミシェル君の神聖術による氷属性の魔法も素晴らしかったですが、ロレーヌさんの闇属性の重力魔法は正直圧巻でしたわねぇ」
白いフードを被った金髪の先生が話すが、にこやかで柔らかい表情に加えホワホワした喋り方は子供を褒める母親みたいであり、何処と無く無ず痒い。
「ふん、まぁお前たちの力は認めてやる。二人ともクラスはAクラスで確定じゃろう」
「学院長も素直じゃないんだから。ロレーヌさんの魔法を見たとき『すげぇ〜』なんて言ってたじゃないですか」
見た目は子供で、薄いピンクの髪の先生が椅子の上で正座という体勢である。
「やかましぃわぁ!もうよい!今日はこれで解散じゃ!」
学院長はそう言うと荒々しく立ち上がり隣の部屋に入っていってしまう。
ロレーヌとミシェルも部屋を出る。
校門に着きミシェルがロレーヌに話しかける。
「ロレーヌ。僕は寮だけど、君は?」
「私は……実家?だから家に帰るわよ」
「うん?そうか、それじゃまたな。同じクラスになれて嬉しいよ。また学院でね」
ミシェルはそう言うとイケメンスマイルで去っていく。
(よくわからないイケメンだな。まぁいいか……私も帰ろう)




