表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生者、闇に潜む  作者: つぶれあんぱん
10/19

闇に生きるもの10

完全に整備された王都には溜息がでる。まるで地球でいうヴェネツィアにでも迷い込んだような風景は何度見ていても飽きがこない。水路が多いわけではないが、雰囲気とでもいうのか。城をはじめ民家や教会、商業施設に様々な教育施設。どれをとっても外観の作りが凝りすぎている。

ハジメ……いや、ロレーヌが通うことになった王都立魔法学院もいい例である。

学院の校門を潜ると大聖堂を入り、二階が礼拝堂になっている。

その一階部分をそのまま突き進むと出口になり更に進むと校舎棟になっている。そのまま校舎棟には入らず右に進むと第二大聖堂が佇んでいる。今日の入学式が開催されるようだ。

中に入ると正面は壁一枚がステンドグラスになっており、この国の宗教である神の使いが民に教えてを説いている姿が描いてあった。

そして、ステンドグラスの前に天井まで届く彫像が鎮座している。

盾を持ち剣を高々と天に向かい掲げている女神像だ。

大聖堂というだけあって500人は収容できる造りになっている。

その席の前列にロレーヌは座り入学式の話を聞いている。


(どの世界でも、こういうのは退屈なんだな)


必死に欠伸を堪えていると涙目になってくる。

退屈な入学式も終わり、各々が席を立ち始める。

これから学力テストならぬ魔法技能試験があるのだ。今日の魔力技能試験の結果によってクラスがA〜Eまでに分けられるそうだ。

AとEで天と地の差は無いにしろ、やはりAの方に振り分けられれば優秀ということだ。

今回の入学生が100名。それぞれのクラスに20名づつだ。


(この世界でも力によってランクづけされるんだな。こういうのあまり好きにはなれないな)


ロレーヌは周りを見渡す。

赤い髪、青い髪、金に白と様々で黒はいない。黒に近い灰色の髪は所々見られるが黒髪に金の瞳はいない。

キョロキョロと自分と同じ者がいないか見渡していると肩を叩かれる。


「いかないのか?場所が分からないなら一緒にいくか?」


振り返るとそこには、金髪碧眼のイケメンがいた。長い髪を後ろで束ねただけだが、いかにもイケメン臭がする。

キリッと睨んでやるが、イケメンは怖気づくこともなくニカッと白い歯を見せる。


(おのれイケメンめ!爆ぜろ!)


「僕の名前はミシェルだ。よろしくな。君と同じクラスになるかもしれないし」


そういうと彼は手を差し出してくる。


「ロレーヌ・イニティウム・オリカルクムよ」


名前だけ伝えると彼はそのまま手を引っ込めイケメンスマイルで笑っている。




仕方がないのでミシェルに付いて試験のある訓練棟まで歩いている。ミシェルの性格は非常に明るいもので、こちらが無言でも話続けている。


「お、付いたようだな」


歩みを止め目の前を見るとそこにはローマのコロッセオに似た闘技場があった。

受付にいた教師に名前を伝え水晶玉のような水色の丸い石に手を乗せる。


「本人と認証しました。それでは控え室にて待機してください」


ミシェルも認証を済ませ一緒に控え室に向かう。

控え室に入ると闘技場の中が見えるようになっていた。

闘技場の中央には高さ3mほどの巨大なゴーレムが棒立ちしており、その目の前に赤髪の女性が杖をゴーレムに向け何かを呟いている。次の瞬間、女性の周りを魔法陣が輝き、杖の先にサッカーボールサイズの炎の玉が輝く。炎の玉は杖から物凄いスピードでゴーレムに向かって飛んで……いかなかった。ゴーレムの目の前で急旋回し女性の後ろ、観客席の上方である評価をしている教師側に飛んでいった。幸いにも教師に当たる前に透明な壁の様なものに吸収され消えた。


「緊張して制御ミスしたんだね」


隣でミシェルが苦笑いを浮かべている。


「そんなこともあるんだな」


「ミシェル。ミシェル・クルアムスはいるか!次だ!準備してくれ」


ミシェルが次の番だと教師が伝えにくる。


「またあとでね、ロレーヌ」


にこやかに去っていく後ろ姿もやはりイケメンである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ