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剣士ルートと魔法ルート

 始まりの街WEから繋がる隣町は二つ。

 『剣士の町』と『魔法の町』。どちらの町に行くのかは、これからの戦闘スタイルを決めるために重要な選択だ。

 名前の通り剣士の町に行けば剣を扱うスタイルに、魔法の町に行けば魔法を扱うスタイルになる。


「その二つの町から、さらに先へ進むと合流地点であるCEの街に繋がる。本格的に冒険が始まるのはそこからだ」


 同級生の嵐山(あらしやま)君が俺たちにそう説明する。

 クラスメイト達は一時的にグループに分かれて、グループのリーダーが市長から説明を聞き、それを俺たちに伝える。

 俺たちのリーダーは嵐山君だ。茶髪でツインテールな女の子。


「俺は剣士の町に行く」


 彼は剣士になるつもりらしい。

 俺もそうしようと考えていた。魔法に興味があるが、剣も気になる。どっちがいいかと悩んだが剣で戦う方がカッコ良さそうに思えた。


「私は魔法の町に行くよ」


 月城さんは魔法使い。

 彼女とはここで別れることになるな。


「稲神君は剣士の方に行くの?」


「うん」


「それじゃあCEの街で合流しよ。剣士と魔法使いならチーム組む時相性良いだろうし」


 ……え?

 ああ、チームか。考えてなかったな。

 一人で冒険するつもり満々だった。

 まあでもせっかく誘われてるんだし、断る理由もないか。


「わかった、誘ってくれてありがとう」


「よかった。あ! 魔法組はあっちで集まるみたい。じゃあね!」


 広場の、西門側に魔法の村へ向かう人たちが集まっていた。

 東門側には剣士の村へ行く人たちが集まる。

 姿が変わっているが、誰が誰なのかはさっき正門前で行われた委員長の点呼で把握している。剣士側には男子が多かった。


「やっぱ男は剣だよなー!」


「魔法は難しそうだったしな」


「近接こそ正義!」


 みんなやる気満々だった。

 WE街で傷を癒す回復ポーションや、瞬時に街へ移動できるテレポートの羽などを購入して準備してから、東門を出た。

 道中、モンスターが山ほど出てきた。

 それらを切り伏せて進むうちに、剣士の町に一番乗りしてしまった。町の入り口にいた門番に説明してから、みんなが来るのを待った。


「は、はえーな稲神。どんだけのスピードで走ってたんだ」


 次に来たのは嵐山君。


「モンスターを探しながら進んでたら、いつのまにか町の前まで来てた」


「戦闘狂かよ、いかちぃな」


 次々とクラスメイト達がたどり着いて来る。

 しかし全員ではなく、中には脱落した者もいたという。その者達はダメージを喰らいすぎて戦闘不能になり、元の世界に帰っている。

 ゲーム的な表現で言えば、HPが0になると強制的に元の世界に送還される。


A2E2(エーツーイーツー)世界は現実世界の時間とリンクしている。今頃やられた奴らは教室で目を覚ましてるだろう。授業中だから、また異世界に戻って来るはずだ。俺たちは先へ進もう」


 嵐山君がいの一番に町へ進んでいく。

 俺もそれに着いていく。

 町では金属音が鳴り響いていて、大人が剣を打ち合って稽古していたり、鍛冶屋も沢山ある。

 道端では子供達が木刀でチャンバラごっこして、とにかく剣の町といった雰囲気。


「やあ、よく来たな若人達よ」


 町の中心に行くと、ライオンのような髭をたくわえた男性が待っていた。


「知っての通りここでは剣について学ぶ。まあ軽くしごいてやるだけだから、安心してほしい」


 ドカバキドコ!

 安心しろと言われたが、木刀でボコボコにやられた。


「よし、これで剣の基本は習得できたはずだ」


 ほ、本当だろうか。

 周りを見ればみんなアザだらけで倒れている。帰還しないギリギリまでやられて、ポーションで回復させられた。


「ただ一番の課題はここから。この町から、合流地点であるCE街まで、モンスター達を倒しながら進む必要がある。そこで死んでしまえば、またここから再スタートだ」


 いわゆる剣を学んだ後のチュートリアルみたいなもの。

 CE街まで辿り着かなければ冒険には出られない。


「おっと、その前に君たちの属性を確認しておこう」


「火、水、風、土、雷の五つの内どれかが自分の属性って話でしたよね。確かめる方法があるんですか?」


「ほれ、これを飲め」


 渡されたのは丸薬。

 一人のクラスメイトがそれを飲んだ瞬間、立っている足元がガタガタと震え出して、土が盛り上がった。


「お前は土属性のようだな」


「じゃあ俺も」


 嵐山君が丸薬を飲むと、彼の周囲に風が吹いた。


「お前は風属性だ」


(よし、俺も……)


 手のひらサイズの丸薬を丸ごと口に含み、飲み込む。

 味はわからなかった。無味無臭。

 ただ胃の中にズシンと重みを感じた。

 そして俺の周囲にパチパチと火花が散り、電気が流れる。


「お前は雷属性だ」


 雷、か。

 手に力を込めて見ると、拳の中で電気が激しく帯電した。


「これって魔法じゃないですか?」


「いいや魔法使いはこの属性を放出する形で使って遠距離攻撃をする。剣士は、火や雷を纏って身体を強化したり、剣に属性を付与して戦う」


 手に雷を宿したまま剣を手にしてみると、刀身に電流が流れて金色に輝いた。

 嵐山君は緑色の風を纏い、火属性の人は赤色の火を纏い、土属性は刀身が岩のように固くなって鈍器みたいになっていた。


「さあて、君たちはCE街へ辿り着けるかな?」

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